表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アフレイドランナー

掲載日:2015/03/28

初めてこちらに投稿させていただきます。

よろしくお願いします。

タイトルはブレードランナーからもじりました。

私は探偵業を営んでいる。

客は専ら浮気を疑う主婦や亭主など…。

離婚率が多い世の中なので、くいっぱぐれることはない。

一度疑えば真実を見たくなり、そして破滅を迎える、皮肉なことだ。




「失礼します」

「どうぞ」


今日も来客が一名。


「ええと、予約されてた―――」

「はい」

「早速ですが、御用件を窺いたいのですが?」

「まず、これを見てくれますか」


そう言って来客者…彼女は一枚の写真を取り出す。

写っているのは仲睦まじき一組の男女。

勿論、写真の女は来客者ではない。


「旦那さんですか?」

「いえ、彼氏です」

「それで、一緒に写っているのが―――」

「彼の姉です」

「はぁ…?」

「調べてほしいのが…彼が彼の姉とどういう関係なのか、ということです」

「あまり事情がわからないのですが…」

「私達はもうすぐ結婚を控えています。ですが、彼の姉はどうも…私の事が

気に入らないみたいで」

「彼のお姉さんがあなたと彼の結婚を邪魔しようと?」

「というより…彼女は自身の弟を愛しているのじゃないかと…」

「それは…また…」

「お願いします。ちゃんと彼女と話し合いたいんです!このまま

わだかまりを抱えていては…」

「わかりました。調査した後、こちらから御連絡いたします。」




調査対象者の資料は依頼者から提供される。

果たして、姉弟間の恋愛などありえるのだろうか…?


おっと、出てきた。

対象者の一人、弟だ。

仕事が終わり、帰宅するのだろうか?

今は金曜日の夕方五時過ぎ、どうも定時上がりらしい。


後を尾行すること少し…自宅とは反対方向に向かっているようだ。

とあるビルの前で待っていた女性に話しかけている。

もう一人の対象者、姉だ。

事情を知らない人間が見れば確かに恋人、といっても不思議ではないかもしれない。

そんな親しさが二人の間に流れていた。




その後、レストランで夕食を摂る。

最初は和やかであったが、食後のデザートが来るころには、姉のほうが激昂していた。

付かず離れずの位置で夕食を摂っていた私は、大体の内容を把握していた。

弟は姉に、自分達の結婚の説得をしようとしたようだが…姉はそれに応じなかった。


終いには姉は泣き始めた。

弟は狼狽し、泣き止ますのに終始しているようだ。




会計を済ませて、二人が向かったのは―――ホテル街。

どうやら…事態は悪い方に転がっているようだ。




土日と、二人はデートして過ごしていた。

そこで決定的ともいえることが起きた。


大きな水槽の前で話す二人。

私は柱の陰から、さりげなく見ていた。


すると、人だかりが途切れた一瞬の隙に―――キスをしていた。


これはもう確実だろう…。


そう結論付け、立ち去ろうとし―――


「!?」


彼女は見ていた。

私を。

睨みつけるように。


私は足早にその場を離れた。


冷静に考えてみれば、キスするカップルを盗み見する男に対して睨みつけた、

それだけのことだろう。

私の正体がバレていることなんて、あるわけない…。

女を恐ろしいと思ったのはいつ以来だろうか…。




翌週になり、報告書をまとめて依頼者に電話する。


『こちらは留守番電話サービスです―――』


む、しょうがない。留守録に結果がわかったことを残しておく。

数日中には向こうから訪れるだろう。




「失礼します」

「はい、どう…ぞ…」


翌日に訪問者が来たのだが…。


「私の事、御存じでしょ?」

「え、いやぁ…」


来たのは何とあの姉であった。


「あの…ですね…」

「ああ、大丈夫です。全部わかってますから」

「え!?」

「これが依頼料です。どうぞお納めください」


受け取った額は、要求をはるかに上回っている…!


「あの、一体どういうことで?」

「あの女狐…いえ、女がどうなったか知りたいのですか?」


その眼は絶対零度を感じさせ、聞くな、と脅し威圧してきた。


「報告書はどちらに?」

「こ、これです」


震える手で渡す。

早く出て行ってほしい…。


「ふむ、確かに…」


やっと立ち上がり出口へ向かう姉。


「ああ、そうそう。あなたは腕がいいようですね。

次は私のために他の泥棒猫を見つけ出す仕事を―――よろしくお願いしますよ」


そう言い残し、立ち去る姉。




―――今日はもう早終いだ。

とても仕事をする気分ではなかった。

未だ、手が震えていた―――



御愛読ありがとうございました。


感想とかいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ