物語の始まり……?
新章突入です!
「ソウゾウジン……?」
アルファは確かにそう言った。
俺の耳が聞き間違えたわけじゃない。
「そう。創造人」
――聞いたことがある。
昔の昔。大昔に、天地創造をした神の使いに、『創り人』という役があって、
その役にあたっているのが、今さっきでた『創造人』という人間。
その『創造人』には、天地以外の概念を創りあげ、この世界を調和させる使命があり、
何万人もの創造人が、一生を『創造』にかけたと言われている。
――だがこれは、『世界起源』という説にしかすぎなくて、誰も信じていなかった。
なのに今、その説は……『誰もが信じなくてはならない事実』に変わった。
「本当か……?」
さっきから、驚きの連続が俺の脳を襲い、整理が追いつかなくなっていて、
なんでも否定してしまう脳に変わり果て、今聞いた事実を肯定するには難しいんだ。
だが、アルファは「ええ、そうよ」と、即答する。
「…………」
ますます、俺の人生が壊れていく。それが目に見えてわかる――だから逆に、
これは『夢』なんじゃないのか。って……疑いたくなる。
俺は、左手で高鳴る胸を抑えるようにして、息を呑む
「……ひとつだけ、いいか?」
「まあ、いいわよ質問くらい」
俺は、この事態の元凶であるアルファに疑問をぶつけることにした
「俺は……これからどうなるんだ……?」
俺は今から、異世界にでも飛ばされるのか……?
俺は今から、この世界を脅かす敵と戦うのか……?
本当はそんなことを聞きたかった。けど、それを口に出してしまうと……
――俺がそれを望んでいるみたいで、嫌だった。
「……さあね」
アルファの返答は、単調すぎてリアクションに困るものだった。
「さあね。って……」
いくらなんでも無責任すぎる。そう言いたかった。けど、言ってしまうと……
――俺がそれ以上を求めてるみたいで、嫌だった。
「こっちもワケ分かんないのよ。お互い様よ」
確かにそうだ。アルファも俺と同じで、自分がどうなるのか分からないんだ。
――これは物語の序章なのか?
……いや。きっと、きっとこれは……
こ れ は 物 語 の 始 ま り だ
どこかで読んだ漫画に、「美少女が急にやってきて、謎の敵とたたかうハメに!」なんていう
展開があった。これはきっと、そのうちに入るんじゃないのか?
正直言って、突然『深い赤の目、薄い赤の髪』の美少女が現れたら、誰だって思うことだろう。
それに加え、「私は創造人よ」なんて問題発言を言われたんだ。間違いない。
――だったら、この先どうなる?
――読める展開のはずだろう?
――なのに、なぜ読めない?
――分からないんだ。
もし、この物語を書く人物が居れば、この先の展開をどうする?
でもそれは、客観的に見ているだけで、なんのヒントにもならない――
だったら――
‘俺’なら、この先どうするんだ――
ったくよォ、今日は金曜日だってのによォ……
なんだよ『勉強しろ!』しか言われてねえじゃねえかァ!
ウガァァァァァ!!!!