迷い込んだ創造主 完
迷い込んだ創造主 この話で終わりです!
俺が気づいた、何かの気配――というよりか、本当はもっとまえに起こっていた事が
今になってやっと気づいた、と言ったほうがいいのかもしれない。
俺は気づいてしまった。今俺がおかれている状況を。
「まさ……か」
その真実に気づいた俺は、頭の整理が追いつかなくなって体中を震えさせた。
その様子を見た美少女は、「……?」と、首をかしげた後まゆをひそめた。
「これって……」
再度、俺は焦点が合わない目で美少女の“存在”を確認する。
――これって
――物語の始まり?
俺は疑っていた――けれど確信した。俺の目の前にある存在が、俺の人生を変えるんだと。
こういう展開って、ぞくに言う王道展開というやつに部類されるはずだ。
急に美少女が現れ、普通だった生活が普通じゃなくなる。つまり今の状況のことを指しているんだ。
――こんな展開。ありかよ。
「ちょっとあんた」
すこし強めにかけられた言葉で、俺は我に返った。
「な、なんだよ……」
「いい加減立ちなさいよ。その体勢じゃまともに話せないわ」
そう言った美少女は、スッと右手をこちらに伸ばす。
――手を貸してくれるのだろう。
そう思い、左手を美少女の右手に合わせた。のだが。
「あ……れ……?」
なぜか足に力が入らない。
「……なにしてんのよ? はやく立ちなさい」
「いや……足に力が入らなくて……」
「……なら、こうするしかないわねっ」
「えっ……てうおわぁ!?」
俺の左手が、美少女の右手に引っ張られる。その引力で俺の体も引っ張られ、
なんとか立つことができた。
「よいっしょ! 次からは自分の足で立ちなさいよ」
「あ、うん……」
俺の体は、右手が無いぶん軽くなっていて、少しの力で引っ張り上げることができる。
比較的いいことだ。
「そんじゃ、まずは私から自己紹介するわね」
「(そういえばまだ何も知らないのか……)」
俺は無言で頷く。
「私の名前はアルファ。でも本名じゃないの。んで、ここに来たのは今日がはじめて。そして最初に出会ったのはあなた。これくらいでいいかしら?」
……なんだこいつ。
「あ、ああ。アルファって言うのか……」
はは。と微笑しながら「もっとなんか言えよ」的なオーラを出す。
「……あっ! そうだった! 私、道に迷ったのよ!」
「……え?」
もはや自己紹介にすらなっていないぞ……この女……
俺は目を丸くしながらも、「どうして?」とアルファに尋ねる。
「どうしてって……、道が分からないんだもの。仕方ないわ」
道が分からないのに目的地までどう行くつもりだったんだ。と言いたくなったのだが、
さっきの自己紹介を思い返してみると、「ここに来たのは今日」と言っていたし、
もしかしたら、ここがどこか分からなくてってのもありえるし……ってか
「君、なに人?」
見た目からして、日本人ではないだろうとは思う……
深い赤の目、薄い赤の髪。
もしかして、帰国子女だったり……?
あ、でも「ここに来たのは今日が初めて」って言ってたしな……
アルファはすこし間をあけて、俺の思考をさえぎるようにして言い放った
「――創造人・アルファよ?」
次はやっと第一章! どきどきの展開にしてまいります!
そして100PV超えました! ありがとうございます!