迷い込んだ創造主
特にないです☆
俺の唇に感じるやわらかい感触の正体――
それは、目を下にやるだけで分かってしまうほど、単純明快だった。
「――っ!?」
ソレに気づいた俺は、瞬時に、俺へ倒れこんでいた美少女を突き放そうとする。
ふに。
体を左手で離そうと思ったのだが。どうやら俺の手のついた場所が、柔らかいのだ。
ふにふに。
もう一度、確かめるようにして、俺は左手でその物体を揉みしだく。
「い、いがいと大胆なのね……ニンゲンって……」
微妙に顔を引きつりながら、めまえの美少女は言った。
「……あっ! いや! そそそそそいうわけじゃ――」
「――責任取ってもらうわ」
俺の言葉をさえぎるように発せられた、美少女の言葉。
澄んだ殺気とともに、俺の耳がそれを聞き取ってしまう。
「せ、責任……?」
俺が聞き返したと同時に、美少女は立ち上がる。
左手にはまだ、あの感触が残っていて空中をさまよっている。
「あったりまえじゃない! そんなことしておいて、ただで済むと思ってんの!?」
「い、いやっ……これは不可抗力だって――」
「――言い訳無用!」
ビシッ と、美少女は震える人差し指で俺をさす。
――なんだよこれ。
俺はさっきまで、藤堂先輩と世間話をしていたんだ。
なのになぜ、今はこんな状況になっている……?
俺がこけたから? 大声を出したから? 美少女が現れたから?
――意味が分からない。
さまざまな場面が、俺の脳内で再生される。
原因は――――分からない。
「なんなんだよ……」
ポロッ と出た本音。美少女はそれを聞き逃していなかった。
「こっちが言いたいわよ! あんたこそなんなのよ!」
地団駄をふみながら荒い口調で言う美少女。
……そりゃそうだけど。
俺が‘イロイロ’なことをしたことは事実だ。だけど要因は――
――要因は
「……って言っても仕方ないわよね」
答えが出る一歩手前。美少女はその言葉で俺の思考を全うした。
「あんたも、気をつけなさいよね」
「あ、ああ……」
やっと開いた俺の口から出た言葉は、弱弱しいものだった。
「……んでも、責任はとってもらうからね?」
「……え?」
思わず、間抜けな顔になってしまうほど、美少女の言葉は軽々しいものだった。
「私のファーストキス奪った罪と、胸を触った罪」
「だ、だからそれは……!!」
「これは事実よ! 言い訳は聞かないわ」
そ、そんなあ…… と、肩を落としながらボソッと呟く。
裁判でも開くのだろうか……?
さまざまな不安が、俺の肩にどんどん積み重なっていく。
「……む、むしろ喜びなさいよね! 光栄に思いなさい!」
「…………」
美少女の言葉を聞く耳など持たず、俺はどんどんネガティブ思考へと切り替わっていく。
「あ、あんたねえ……!!」
――俺がその気配に気づいたのは、もう手遅れの世界だった。
ない…………って言うとでも思ったか?
※テスト期間中なので、更新遅れます