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迷い込んだ創造主
ないよ
「って、もうこんな時間か……」
「何か用事でもあるのか?」
腕時計を見て言った俺に対して、藤堂先輩は顔を覗きこんでにってくる
「今日、晩飯の当番があたってて買い出しに行かなくちゃならないんですよ」
「……大変だな」
「……はい」
同情してくれた藤堂先輩につられてか、ため息が漏れる。
その様子を見た藤堂先輩は、「頑張れよ」と、左肩をバンバン叩きながら言ってくれた。
――優しい人だ。
「それじゃ、また月曜日な」
「はい! お疲れ様でした!」
藤堂先輩は右手を上げ、俺は会釈をした。
「……さてと、片付けるか」
そう思い、椅子から立ち上がった瞬間。
――俺の背中に、“何か”の気配が走った。
「――っ!?」
それに気づいた俺はすぐ、首を九十度右に回転させ、背中方向に目を向けた。
そこには――
「…………」
「…………」
視線の先には、深い赤の目。
その目に映る俺の顔は、『驚愕』の二文字で表せれるような顔をしている。
時間が経つごとに高鳴る鼓動。手の震えが止まらない。
――間違いない。
ここに――
――美少女が居る。
なっしんぐ☆