開かれた異界の扉
設問に答えよ。
Q,創造神ブラフマーは、何を創り上げたのでしょう?
──ファンタジー話に、『空を飛ぶ主人公』はよく出てくる。
今まではそれを、第三者の視点で見たりしていたが──その感じとはまるで勝手が違う。
まず、どこに力を入れていいのか分からない。まるで海に浮かんでいるような感じがするだけだ。
そして、俺の左手がアルファの右手とつながっていることもあり、俺は空中に投げ出されているような……振り回されているような感覚が、俺の平衡感覚を狂わせている。
「──おい! どういうことだ──」
「──質問は後! さっき約束したでしょ!」
口を開くだけで、
口内や喉の水分がまるでなくなってしまうってのに、アルファはなぜか──笑顔だった
ふと。下を見たら。
「──ひぃッ!」
尋常じゃない恐怖が生まれた。
名水大公園自体、あまり高い場所にあるわけではないが、下の景色が遠くなっていくのでアルファが
上へ上へと上昇していることが分かった。それも、猛スピードで。
「なによシキ! あんた高いところ苦手なの!?」
「ち、ちげぇっ!! はじめてだからだ!」
とは返したものの、本当は高いところが大の苦手だったりする……。
というか、この状況で驚かない一般人なんて居ないぞ……。
「ふーん……!! だったら速度上げさせてもらいますよっと!!」
「ちょ──え!? えっ!?」
直後、アルファは言葉通り速度を上げやがった。
もう新幹線と同じくらいじゃ……って思うくらいのスピードだ。
「……もう……ちょっと……!!」
風圧で鼓膜が圧迫されていて、アルファの言ったことはもう聞こえない次元だ。
しかし、かろうじて目だけはまだ使える。その目でアルファの目線──名水神宿ノ山を捉える。
いっけん、何も変わっていないようにも見えたが、よーく目を凝らして見てみると、わずかに『山頂』あたりが光っていた。
「(あれか……? アルファが「やばそうね」って言ってたのは)」
たしかに、なんかヤバそうだ。雰囲気的に。
「飛……すわよっ──」
「──え?」
一瞬、アルファが何かを言ったような気がした……というか、絶対なにか言った。
でも、この風圧が妨害していてなにも──
「──って、うおぉぉおお!?」
グイッ と左手が引っ張られた刹那、俺には到底理解できない世界が見えた。
スローモーションで流れる映像。俺は……死んだ、と思った。
「とおうりゃぁああああ!!」
ザザザザザザザザザザザザッ!! と、地面を擦る音が耳に響く。
それに応じて、ガタガタガタガタガタッ!! と体が上下に揺れる──というか振動する。
「……い、いったい……」
いつのまにか閉じていたまぶたを、恐る恐る開けてみると……
「──さあ! 行くわよ!!」
──もうどうなってんのか分かりません。
答え。
A,地上界と天空界




