物語の始まり……?
俺のものは俺のもの。お前のものはお前のもの。
「お父様の命令? 同じようなことは前に聞いたが」
「あらら。そうだったかしら? よく覚えてないわ」
ほんの1、2時間しか経ってないのに、よく忘れられたもんだ。
「……で。それがなんだっていうんだ?」
「実は……」
アルファは俯き、肩幅をせばめた。
「実は……?」
「実は、その勇者を探さないと‘なにもかも’が終わっちゃうのよ」
なにもかもが終わっちゃう……? 少しーーいや、意味深すぎる。とくに、『なにもかも』ってとこが。
「終わるって……具体的に何が?」
「そうね……、『世界』が……って言ったらどうする?」
アルファは、目だけが笑っていない顔でこちらを向く。
「世界が……終わる? なんでまた急に?」
「話せば長くなるけど、それでも聞く?」
少し抵抗があったが、俺は「聞くよ」とうなずいた。
「……あたしのお父様はね、天空界でもっとも力を持つ『予言師』なの。予言師は、その名のとおり未来を予言することができて、天空界でも慕われてる職業だったのーーつい最近まではね。けど、この前、あたしのお父様は‘妙な未来図’を夢のなかで見たらしいの。その内容が、『調和の乱れ』を大きくうながす内容だったって、お父様はいってたわ」
「調和の乱れ……?」
「調和っていうのは、天空界と地上界の対立をつりあわせてる『境界』みたいなものよ」
天空界と地上界の対立……? まさか、天空界ってとこは地上界に何か攻撃をしているのだろうか? ……だったら、この世界ーーもとい、アルファの述べた表現だったら、この地上界に影響がでるはず……
「地上界と天空界は対立してるってどういうことだ?」
「戦っているとかじゃないわ。共存しているの。この地上界と天空界で、共存の対立が起こっているの。分かるかしら?」
「ま、まあ……なんとなくだけど……」
なんとなくどころか、さっぱり意味が分からない。そもそも天空界ってどこにあるんだ
「なんとなくでいいの。天空界を知らないあなたにとっては、異界の地なんだから」
異界の地……、まさにそうだ。聞いたこともなければ、今まででその正体を知った者も、この世界ーー地上界には居ない。
「天空界と地上界の対立は、見事に調和されていたわ。人類の起源『イヴ』によってね」
ーーイヴ どこかの偉いさんがたてた説に、人類の起源『イヴ』が記されていたはず。
それもまたここで証明されたっていうのか……? ありえない……
「イヴによって調和されていた天空界と地上界は、ちょうど今年で五億年目」
「ご、五億年!? そんな期間も、地上界と天空界は対立していたのか!?」
「ええ。創造神ブラフマーが両界を創りあげてから、天空界と地上界は対立しあってるの」
ーー信じられない。信じれるものか。
ブラフマーは創造神、ここ重要




