物語の始まり……?
そろそろ『起』の部分が終わりです!
ーー時刻は午後21時。車の姿もあまり見なくなり、街は静けさを取り戻していく。
「はぁ……はぁっ……!!」
俺は全力で走っていた。学校指定の革靴じゃ多少の影響はあるけど、それでも全力で走っていた。
ーーアルファを探している。
俺の体力はもう限界を越えて意識を保つのがやっと、といえるほど俺の精神面の影響は多大だった。
もともと目はいい方だけど、今この暗さの中で気づいた。俺は、夜目がきかない。
走っていて、いくつもの建造物やインテリア家具を視界に入れていた、だけどそのほとんどが、なんだったのか分からない。
「(どこに行ったんだっ……! 行く当てなんてないはずだぞ……!)」
学校近辺を探すのには至らなかった。なんせうちの学校は扇型に造られていて、校門へ向かうほど道が狭くなっている。だれも寄り道なんかしないんだ。
それに、校門をぬけるとすぐに商店街がある。名水商店街だ。あいつが行くとしたらまずはそこだと思っていたけど……
「(……結局いないか)」
俺は全長1kmはある名水商店街を走り抜け、住宅街へと入っていく。
ーーいない。
ーーいない。
ーーいない。
もしかしたら誰かの家に入ったのでは……? と思ったが、あんな奇怪な容姿していてそれはないと確信した。
だとしたらどこに……
ーーアレを使うか……
アレ、と言ったらアレしかない。困ったときとか迷ったときにつかうアレだーー要するに、勘だ。
……俺の勘はあまりたよりになったことがない。使ったことさえないかもしれない。
けどーー
「ものは……試し……だよな」
……と、どこかで聞いたことがある。たぶん藤堂先輩あたりに……
しかし、今この状況で勘だなんて、思いついた俺は神様級のバカだ。だけど、その勘にたよるしか、この状況を打開する方法は皆目検討がつかない。
「俺の勘……いい答え出してくれよ……」
そう願い、答えを絞り出す。
…………
無意識のうちに、俺は立ち止まっていた。息を上げ、肺は酸素を存分にとりこむ。
「……よし」
答えはでた。あたかも最初からそこが目的地だったかのようにでてきた。
場所はーー
「名水大公園にいるはずだ」
名水大公園ーーかつて俺が幼少のころによく遊んでいた場所だ。今は週に一度程度さんぽに行った時くらいしか寄らないようになってる。思い入れがある場所だ。
今日は二話投稿しちゃいまする




