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2011年・2012年

世界が朽ちるなら

世界が朽ちるなら、いっそのこと美しく堕ちてほしい。

憧れの在処すら滅べば、僕は戦争捕虜になりうるのだろう。

そこには何もなくて、脳の中をぐるぐる廻るものは幼い頃の怖い思い出。

昏い観覧車に乗る僕の幼ごころ、もう天国に昇ってしまったのだろう。

それとも奈落に嘔吐したのかもしれない。腐って溶けてしまう足首。

厭世的に止血しても、いつまでも排出される赤外線の狙撃。

老犬の咳。石炭のかたまり。空想科学小説の束。汚れたブロック塀。

草莽から飛び出た冒険心は、立派なネクタイに吸収されて、

ちっぽけな自尊心と高価な腕時計に殺された少年の夢。

毒蜥蜴は終末のメタファーで、テロリズムは廃兵院のモチーフ。

平和という斜塔は脆く崩れる。まるで亀裂の入ったコンクリートのよう。

空から核エネルギーを拡散する牛頭馬頭は人間のことなど見もしない。

僕は君へ遺言書を書いていない。新しいブラックユーモアだ。

乾涸びた泉。ステンレス製の包丁。ピアノソナタ。ビー玉。

切ない交霊会はいつも芳しい結果なんか残さない。

それもそのはずだ。まだ誰も死んでなんかいないんだ。

みんな生きているじゃないか。烏だって子供を育てているんだ。

ケロイドだらけの啓蒙文学は、国民のためになったとは思わない。

涙を流さない人々の歌う君が代には多分、兎糞に似て、乾いている。

真っ赤に燃えている空がいつでも僕を呼んでいる。

「芝居はもうやめたらどうだ? 明日はいい天気だ」

もう、疲れ果てた。誰もかもが忙しそうに挨拶をしている。

どうせ、何もかもが終りなんだ。人類の科学には欠陥があったんだ。

風は乾いている。残照のオレンジ。懐かしい「右に倣え」。

嘘つきの大人たちはお菓子を捨てて、苦虫を好んで食べていたし、

祈りと吐き気だけが繰り返される日常に飽きた悪魔はそれぞれ自殺した。

凱旋パレードの過去の歌はもう誰も口ずさんでいないし、覚えてもいない。

泥の中の憎しみはマリーゴールドの花弁に溺れ、

手首を切った幾重の筋は流れ星に似ていた。

あぁ、いっそのこと飛び降りようか?

長い長い人生のお終いを何色に塗ろうか。

翼はもげて、鈍磨した細胞は加速しない。

民衆の絶望と神への冒瀆をテーマとした下らない小説を読みながら、

人工着色の弁当をコンビニで買って終焉を待とう。それでいい。それがいい。

あとは全てが亡んで、埃をかぶって、長い眠りについてくれる。

テレビをつけても、ずっと砂嵐。ざあ、ざあ、ざあ。

ざあ、ざあ、ざあ。ざあああぁ、ざあああああぁ。


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