第7話 共鳴
ミラが進捗報告会から霧の湖に帰ってきたが、やはり遅かったようだ
布都「はは…もう1ヵ月霧の湖のコースを削ったかき氷生活してるのう…最近はコースまるごと齧りつくのが美味しく感じるのう…」
ミラ「布都~!ごめん!ゆっくり話しすぎた~!!!」
布都「う~ん?お主誰じゃ?ここは我の土地じゃよ?」
ミラ「私がこのコースの主じゃ~い!」
ミラはそう言うと布都を凍らせてしまう
布都「え!?ミラ!?帰ってきてたのか!?待って、さっきのことは謝るから許し」
ミラ「【氷操作】絶対零度!!!」
ミラが唱えると布都を覆う氷の温度が絶対零度に近づいていく
布都「待って寒い寒い寒い!!!ミラ!ごめんって!いやあああ!!!」
ミラが我に返った時には布都は氷漬けになっており、急いで灼熱地獄跡地のコース王、イオブを呼び、溶かして貰う
イオブ「ミラ、ムッと来るときはあるんだろうけどもう少し抑えなよ…これで何回目なのよ能力を布都にぶつけちゃったの…」
ミラ「もう34回目です…」
イオブ「一般人ならコース王の能力一発で死んでるからね!?ここまで苦しめるあんたもそうだけどこれを耐える布都もバケモノじみてるからね!?しかも布都はもう自然治癒で意識戻っちゃってるでしょ!?意味わかんないからね!?」
布都「あ、割と意識戻ってたりするとバレるもんなんじゃな」
イオブ「まあ触れてると分かりやすいからね~…じゃないのよ!その自然治癒能力はどこで身につけたのよ!?」
布都「ここで生活していると勝手に習得したというか、我もあんまりよく分からないんじゃ」
イオブ(あ~これミラが気に入ってどんどん知らない内に能力習得してる感じか、コース王に好かれれば好かれるほどコース王の能力が譲渡されていくらしいからね。これ多分よっぽど気に入ってるんだろうなあ)
イオブは布都の身体状況を完全に回復させて灼熱地獄跡地へ帰っていった。そしてミラが申し訳なさそうに布都に声をかける。
ミラ「布都、後で謝りたいから部屋に来てくれないかしら…」
布都「うん?ああ、わかった」
布都は部屋に来てほしいなんて珍しいと思った。今まで色んなところで2人で言葉を交わすことはあったが、部屋に呼ばれたのは初めてだからだ。
数時間後、布都はミラの自室を訪れる
布都「ミラ、入っても良いか?」
ミラ「はい、いいですよ」
布都が部屋に入ると、ミラは苦しそうに横に来て、という仕草をする。それに気づき、布都はベッドで座っているミラの横に座る
布都「どうしたんじゃ?苦しそうにしておるが」
ミラ「布都は…その…すぐにムッとして能力をぶつけちゃうような私は…嫌い?」
布都は何も不思議に思わずにすぐに答える
布都「我はミラのことを嫌いと思ったことは一度もないぞ。あれはたしかに痛かったが、自業自得じゃよ」
布都は笑いながら話す。そんな布都を見てミラは言う。
ミラ「じゃあ、私のこと…どう思ってる?」
ミラはどんな答えが返ってきても後悔しないと覚悟していた。そこに布都の正直な答えが返ってくる。
布都「我はお主を愛している。昔は親しい友人関係だったが、生活している内にお主を好きになってきたのだ。」
ミラはその答えを聞いて赤面する。予想外すぎる答えだったからだ。一方的な恋の関係かと思ったらまさかの相思相愛の関係。ミラは頭の中が真っ白になり、パニック状態となっていた。そんなとき、布都がミラに話しかける。
布都「我からお願いなんじゃが、その…我で良ければ…お主の…あなたのパートナーになっても良いだろうか」
ミラはもう心臓がはち切れそうなくらい鼓動が早まっていた。本当に良いのだろうか。こんなに幸せなことがあるのだろうか。自分が恋した相手からプロポーズが来るなんて。もう何も考えられなくなっていた。早く返事をしなければとミラは口を開く。
ミラ「はい…よろこんで…これからよろしくお願いします…」
ミラが布都をパートナーと承認したとき、青白い光が2人の周りを包み込む。【共鳴の光(霧の湖)】である。互いが互いを認め合い、これからを共に生きる2人である証。それが共鳴の光だ。
イオブ(ミラ、おめでとう。数年間夢見てたことが叶ったじゃん。)
イオブはミラの様子が変だったため、外から2人の様子を観察していた。
イオブによると、2人はそのままベッドに倒れ込み、手を繋ぎながら幸せそうに眠っていたという。