07話 15年ぶりの再会
出発の日、陽とレオンはアレイオスの門の前でカイオスに別れを告げていた。カイオスは陽とレオンを静かに見つめ、ためらいもなく、自分の腰にある剣を抜いた。それは、彼が長年戦士として使用してきた剣だった。
「レオン、これをお前に託す。」
レオンは驚き、カイオスが差し出す剣を見つめた。「カイオスの……剣?」
カイオスは静かに頷き、剣をレオンに渡した。「この剣は俺がアレイオスを守るために戦ってきた証だ。お前も、この剣と共に誰かを守り、強くなれ。そして、復讐に使うな。守るために、正しき力としてこの剣を振るうんだ。」
レオンは深く感動し、剣を慎重に受け取った。「……ありがとう、カイオス。俺、必ずこの剣を使って、誰かを守る戦士になる。あんたの教えを忘れない。」
陽もその光景を見守り、カイオスへの感謝の言葉を口にした。「カイオス、今まで本当にありがとう。俺たち、強くなるよ。」
カイオスは微笑み、二人を静かに見送る。
「お前たちなら、きっとやれるさ。旅に出て、その力を磨け。そして、またここに戻ってくる時は、さらに成長した姿を見せてくれ。」
陽とレオンは力強く頷き、新たな試練へと向かうため、アレイオスを後にした。
陽とレオンがアレイオスの門を後にし、背中が小さくなるまで見守ったカイオスは、ふと息をついて辺りを見回した。周囲は静かで、風がわずかに木々を揺らす音が聞こえるだけだ。
「おい、近くにいるんだろう。アポロン。」
カイオスが静かに呼びかけると、まるでその声を待っていたかのように空気が震え、次第に金色の光が現れた。光が凝縮され、やがてその中からアポロンが姿を現した。金色の髪が風に舞い、透き通った瞳がカイオスを見つめる。
「久しぶりだな、カイオス。15年ぶりか?」
アポロンは微笑みながら言ったが、その瞳には鋭い光が宿っていた。カイオスは微笑み返さず、真剣な表情でアポロンを見つめ返した。
「そうだな、15年か……だが今は昔話をしている暇はない。アポロン、聞きたいことがある。」
カイオスは剣を地面に突き立て、真っ直ぐにアポロンを見据える。
「なぜ、陽にはいまだにヘリオスの力しか与えていない?彼は明らかにオリンポスに関わる存在だというのに、どうしてお前は完全な力を授けないんだ?それに――オリンポスで一体何が起こっている?何かを隠しているのは分かっている。黒幕は誰だと考えている?」
カイオスの問いは鋭く、まるで彼が何かを察しているかのようだった。アポロンは一瞬表情を変えたが、すぐにそれを隠すように口元に薄い笑みを浮かべた。
「さすがはカイオスだな。昔からお前は勘が鋭い。俺が陽に完全な力を授けていない理由、それは――陽がまだ俺の力に耐えきれない可能性があるからだ。」
「耐えきれない?それはどういうことだ?」
カイオスは眉をひそめた。陽はこれまでの戦いで成長し、カイオス自身もその実力を認めている。だが、アポロンは未だに彼に完全な力を授けていないと言う。これは一体どういう意味なのか。
「陽は、確かに強くなりつつある。しかし、俺の力――太陽神アポロンの全ての力を受け取るには、まだ彼の肉体も精神も準備ができていない。力を与えすぎれば、彼自身が崩壊する可能性があるんだ。ヘリオスの力は、今の彼にとってちょうどいいバランスを保っているに過ぎない。」
アポロンの言葉は、力を制限する理由が単なる試練のためではなく、陽自身の保護のためであることを示していた。カイオスはしばらく沈黙した後、ため息をついた。
「……そういうことか。確かにお前の力は尋常じゃない。俺たちのような凡人が全てを理解できるものではないだろう。しかし、陽は強くなる。今の彼がまだお前の力に耐えきれないというなら、それも時が解決するはずだ。」
「その通りだ。俺も陽がいつかその力を手にする日が来ることを信じている。だが、今はまだその時ではない。」
カイオスは静かに頷き、次の質問を投げかけた。
「それなら、もう一つ聞かせてくれ。オリンポスで何が起こっている?お前たち十二神が混乱している理由を、俺にも教えてくれ。ゼウスが姿を消したという話も耳にしているが、それだけじゃないはずだ。お前は何を知っている?」
アポロンは一瞬表情を引き締めた後、静かに語り始めた。