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GOD Buddy ~ある日突然神から力を託されました~  作者: 白蛇白楽
ー盟約の刻編ー【ベオリア】
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29話 頼る事

陽は混乱した表情でセレーナを見つめ尋ねた。

「う、浮気って…どういう意味だよ!?」


セレーナはじっと陽を睨みつけ、

「昼食の帰り道で急に女の人を見つけて、どこか行っちゃったと思ったら、こんな遅い時間まで…。何してたんですかっ!遊びに来たんじゃないんですからね!」と、少しふくれっ面をしながら、両手で陽の胸をぽこぽこと叩いた。


「ごめん、ごめん!」

陽は苦笑いを浮かべながら頭をかき、セレーナをなだめるように続けた。

「リーナさんとはただ、同じ召喚者として力を合わせてるだけだよ。他にもヘルメスの召喚者とも会ってさ…」


陽は今日の出来事をセレーナに話し始め、リーナやアレクと出会ったこと、影の組織に対抗するための協力関係を築いたことを、ライサさんとの稽古の話など一から説明した。


しかし、セレーナは陽の話に耳を傾けて納得したものの、まだ少し不機嫌そうに見えた。

「理由はわかりました。けど、それなら私たちにも声をかけてくれてよかったのでは?」


陽はハッと気づき、反省の色を見せた。

「確かにそうだな。心配かけて悪かったよ。」


セレーナはふんと小さく息をついてから、陽に部屋の鍵を手渡した。

「わかったならいいです。はいっ」


陽は不思議そうに鍵を見つめた。

「これは…?」


「男二人であの部屋は狭いでしょ?レオンのいびきもすごそうですし、一部屋空いたとオーナーさんが教えてくれたので、そちらを借りました。荷物も移動して置いてあるので、今日はゆっくり休んでください。」

セレーナは少し照れくさそうに言い、そっぽを向いた。


「気を遣ってくれたんだな…セレーナ、ありがとう。」

陽は彼女の気遣いに気づき、思わず微笑んだ。


「ふんっ…」

セレーナはそっぽを向いたまま、照れくさそうに小さく返すと、

「じゃあ、私はお風呂に入ってくるので。」

とつぶやき、浴室の方へと向かっていった。


陽はその後ろ姿を見送り、彼女が用意してくれた新しい部屋で少し休むことにした。


今日の疲れがどっと押し寄せ、陽は横になった瞬間、すぐに深い眠りに落ちていった。


しばらくすると、背中に何か温かいものを感じ、陽は少しずつ目を開けた。何の温もりか確かめようと寝返りを打つと、そこにはセレーナが寄り添っていた。


「なんでここに!?」


陽は驚いて声を上げたが、セレーナの少し悲しげな表情を見て落ち着きを取り戻し、もう一度聞き直した。


「どうしたんですか?」


「おやすみって、ちゃんと言ってなかったなって…」


「それだけですか?」


セレーナは小さく頷き、「さっきは感情的になってごめんなさい。沢山胸を叩いてしまって…」と、陽の胸にそっと手を置いた。


陽はすぐに首を振った。「そんなことないです。俺もちゃんとセレーナやレオンに説明しておけばよかった。」


セレーナは陽をじっと見つめ優しく語りかける。


「陽はもっと私たちに頼ってください…。あなたの使命は理解してます。だから仲間として、その使命も一緒に背負いたいんです。」


陽は少し困ったように視線を逸らし、

「でも…セレーナとレオンを危険に巻き込むわけにはいかないんだ。これは俺が背負うべき責任だから…」と呟いた。


セレーナは、その言葉にすぐに反応し少し強めの口調で陽へ訴えた。

「生半可な気持ちで仲間になったわけじゃないです。少なくとも私は、あなたの隣でこの世界と私の故郷を守るためについていくって覚悟を決めたんですよ。その気持ちを…分かってほしいです…」


陽はその言葉を受け止め、さらに思いを巡らせた。

「セレーナ…」


「陽、あなたは元いた世界でもこうやって一人で抱えることが多かったのですか?」

続けて、セレーナが尋ねると、陽は少し考え込んで、日本での生活を思い出した。


確かに、責任感は人一倍強いほうで、毎日上司と部下の間に立ちながら、なんとかチームがうまく回るように、自分を犠牲にして働いていたことを思い返す。何かあれば「俺が責任を取る」が口癖だったかもしれない。


「ああ、そうかもな…自分では気づかなかったけど、こう言われると、確かに俺、誰かに頼るってことをしてこなかったかもしれない。」


セレーナは優しく微笑んで、「陽、ここはエリュシアであって、陽のいたニホンじゃないんですよ。だから今は、私たちも頼ってみてください。それとも、私たちじゃ力不足ですか?」


「そんなことはないです!」


「なら、ちゃんと頼ってください」


「でも…そんな簡単にできるものじゃ…」陽は再び視線を逸らした。


セレーナは少し困ったような顔をしつつも、再び優しく声をかけた。「陽、少し下向いて。」


陽が少し下を向くと、セレーナはそっと彼の額に口付けをした。


「なっ…!」陽の顔が真っ赤になった。


セレーナは微笑み、「これで二回目ですね。」と言って、ペロっと舌を出した。


「そうやって、からかって…」


「それが狙いですっ」

セレーナはくすっと笑い、陽の髪にそっと左手を伸ばし、優しく撫でながら続けた。

「陽、私もレオンもあなたの仲間です。これからもずっと。だから、あなたの使命も責任も、私たちに分けてください。背中を預けてください。あなたは一人じゃないんです。もし辛いことがあれば、こうやって元気になるまで抱きしめます。だから…今日みたいなことがあっても、自分ばかり強くならなきゃなんて思わないでください。みんなで強くなりましょ。」


そう言ってセレーナは、陽を自分の胸元に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


「ああ、分かったよ、セレーナ…ありがとう。」陽は温かい気持ちが溢れ、気づけば一筋の涙が頬を伝っていた。その涙は悲しみのものではなく、安心から流れた涙だった。


セレーナの温もりを感じながら、陽は心から安心し、再び深い眠りに落ちていった。


「おやすみなさい、陽…」


セレーナは自分の額を優しく陽の額に当てると、陽の寝顔に微笑みながら静かにささやいた。



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