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22話 次から次へと

ベオリアへの道中、陽たちは深い森を進んでいた。周囲には木々のざわめきがあり、時折動物の声が響くものの、どこか不穏な空気が漂っている。ふと、前方から何かの物音が聞こえてきた。


「おい!レオン今の聞こえたか!」陽は周囲を見回しながら警戒の声を上げた。


「ああ!!誰かが襲われているみたいだ!」レオンが素早く反応し、セレーナが何かを見つけた!


「陽!あそこ!男の子が襲われてます!」


陽たちは音の方へ急いだ。そこには獣人の男の子が盗賊たちに囲まれ、必死に抵抗している場面が広がっていた。


「放せ!僕を捕まえてどうするつもりなんだ!」男の子が叫び、懸命に抵抗しているが、盗賊たちは笑いながら彼を捕まえようとしていた。


「行くぞ!」陽は決断し、レオンとセレーナと共に盗賊に向かって突進する。


セレーナの精霊魔法が盗賊たちの足元を固め、レオンは敏捷な動きで次々と敵を倒していく。陽も前方の盗賊の頭目に飛びかかり、激しい一撃で彼を地面に沈めた。


三人は素早く敵を制圧していき、辺りは静けさを取り戻した。


「ありがとう、助けてくれて……」男の子がほっとした様子で陽たちに感謝の言葉をかけようとした、その瞬間――。


突然、謎の女性が木々の間から現れ、陽に向かって襲いかかってきた。


「次は何だ!?!?」陽は驚きながらも、とっさに体が反応し、ヘリオスの力が体内で活性化する。瞬く間に陽の身体は筋肉が増強され、強靭な獣のような姿へと変わった。


女性は鋭い爪を振り下ろし、激しい力で陽に迫る。だが、陽はその爪を手で受け止め、衝撃で地面がわずかに揺れた。


「力強い…くそっ、次から次へと…!」陽は手を振り払い、女性との戦闘が始まった。素早い攻撃が飛び交い、二人の動きが激しく交差する。


女性の爪が再び振り下ろされるが、陽は軽やかにそれを避け、次々と彼女の攻撃をいなしながら反撃の機会を狙うが、ちょうどその時ーー



「ストップストップ!!やめろって言ってるだろ!姉上!!」男の子の必死の叫びが響き渡り、その声に女性はピタリと動きを止めた。


彼女は振り返り、男の子の顔を確認すると、瞬間的に表情が硬直した。驚きと戸惑いが彼女の顔に浮かび、攻撃を止めた拳がゆっくりと下がる。



「何のつもりだ、カイル…?」彼女の声はさっきまでの威圧感とは打って変わった。



カイルは陽たちの方を向き、必死に説明を始めた。「彼らは僕を助けてくれたんだよ!盗賊たちが僕を捕まえようとしてたけど、この人たちが戦ってくれたんだ!いい?もう一度言うよ!た・す・け・て・く・れ・た・の!!」



その言葉を聞くと、女性の顔に明らかな衝撃が走った。彼女は手のひらを広げ、無意識に攻撃しようとしていた自分を恥じるかのように、それを静かに下ろした。



「なんてこと…誤解してしまったのか…本当に申し訳ない。」彼女は深く頭を下げ、心からの謝罪を述べた。


陽は体が元に戻り、戦いが終わったことにほっとした。彼は女性を見つめ、静かに呟いた。


「獣人族……なのか?」


その声は獣人族の彼女に僅かながら届き、彼女は誇り高く胸を張り、毅然とした態度で応えた。


「ああ、私はライサ・ヴァルクレア。狼の獣人族の一員であり、このカイルの姉だ。お前たちが弟を助けてくれたことに心から感謝する。」


陽は軽く頷いて微笑みながら答えた。

「気にしないでくれ。助けられる状況だっただけさ。初めまして。俺は日向陽だ。」


次にレオンが一歩前に出て、陽気な笑顔を見せた。

「俺はレオン・アストライア。何かあったらいつでも声をかけてくれ。」


そしてセレーナが一歩前に進み、優雅に頭を下げた。

「私はセレーナ・グランディスです。よろしくお願いします。」


その瞬間、ライサの目が鋭くなり、驚いた声で質問した。「セレーナ・グランディス…精霊族の姫が、なぜこんな場所にいるのですか?」


セレーナは一瞬だけ微笑み、「色々ありまして。」とさらりと答えた。



ライサは少し考えた後、肩をすくめて言った。「まあいい。それよりも、この森を通ったということは、お前たちベオリアに向かっているのか?」



「はい、ベオリアに向かっているんです。」陽が答えた。


ライサは頷き、少し微笑んで言った。「それならば、私が案内しよう。この森は私たちにとって庭のようなものだ。道に迷うことはない。」



陽は驚きつつも、彼女の申し出に感謝を示した。「本当か!それは助かるよ!」


「私の弟を助けてくれたお礼だ。ベオリアでも、もし何かあれば力を貸す。いつでも頼ってくれ。」


カイルも嬉しそうに口を挟んだ。

「そうだぜ!ベオリアには美味いものもたくさんあるし、宿泊は特別にサービスするからさ!思いっきり楽しんでくれよな!」


ライサは冷たい笑顔を浮かべながら、カイルに鋭い目を向けた。「おい、カイル。お前は帰ったら覚悟しておきなさい。」


その黒いオーラに圧倒され、カイルはすぐにレオンの後ろに隠れた。


「ひぃっ!レオン、助けてくれ!」


レオンは苦笑しながらカイルの肩を軽く叩いて、

「あれは帰ったら生きて帰れるかわからないやつだな……実はな隣にいる姫さんも、たまにあんなオーラを出すんだよ。いいか、そう言う時はな……諦めろ。」と囁いた。


その声がセレーナの耳にも届き、彼女は微笑みながら冷たく言った。「レオン、何か言ったかしら?」


「い、いやあ!何でもないです!」レオンは慌てて逃げるように後退りをする。



その場の緊張感が少し和らぎ、ライサは笑みを浮かべて言った。「さて、行くとしよう。ベオリアまではまだ少し距離があるが、私についてくれば最短距離で着ける。」


陽たちはライサの提案に応じ、再び旅路を進み始めた。風が軽やかに吹き、木々のざわめきも次第に心地よいものに変わり、彼らは少しずつベオリアに近づいていくのを感じた。


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