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態度

「やっぱりここにいた」


 買い物袋をぶら下げて。

 公園の複合遊具。

 よくアニメとかでヒロインが体操座りして泣いている公園の半ドームへと僕はやってきていた。


「……輪廻」


 この名前の知らぬ半ドーム。

 その中には半泣きになっている蓮夜の姿があった。


「……わら、えるだろう?こんな格好」


 一度は、僕の方に視線を送ってきた蓮夜はすぐに自分から視線を外して自嘲気味につぶやく。


「ちょいと失礼」


 そんな彼の隣へと僕は腰を下ろし、半ドームの中へと隠れる。


「……」


「なんとなく母親と話して事情はわかったよ」


「俺は、男だ。あのババアが何を望んでいようと、俺は俺だ」


 僕の言葉に対して、蓮夜は確固たる


「まぁ……でも、仕方ねぇよ。相手は親だ」


 だが、そんな蓮夜を前にしながら僕は諦めるように声を掛ける。


「最近は、子供を大切に、子供は子供であり、親の道具ではない。そんな意見がよく見かけるけど、結局のところ子供は親の道具だと思うんだ」


 子供を実際に金出して、労力を払って、育てているのは親なのだ。

 親にこそ権利があり、周りの人間がそこまでとやかく言えるようなものではないだろう。一般の治安を崩壊させるような犯罪行為にまで波及しなければ。

 本来、子供は自分の仕事を手伝う労力として産み、自分の老後を支えるために作るものだと思う。


「でも、それは子供までだ。大人になれば違う。縁を切ることだって出来るし」


 子供は力なき存在だが。

 大人になってしまえば違う。力関係も逆転する。

 そして、大人となった親に反感を持つ子が反逆し、使えなくなった老人を助けることもなく山にでも捨ててしまう。

 それを恐れて親は子供をしっかりと育てる。

 これくらいの、個人主義的な価値観で良いと僕は思っているし、結局のところ自分で生きていく力のない子供であればそうするしかないだろう。


「……我慢、しろと?」


「じゃあ、お前は絶縁して一人で過ごすか?」


「……それは、無理だ」


「そうでしょう?だから、少しの我慢だよ」


「……我慢、我慢」


 僕の言葉に蓮夜は強烈な拒否感を示しながら言葉を漏らす。

 そんな彼の様子を気にせず僕は言葉を続けていく。


「君は変わってしまった。それでも変わらないところはあるから」


「……」


「僕は今でもお前を男友達だと思っているし、これまで通り接しようと思っている」


「り、輪廻!」


「言っていただろう?周りは利用してなんぼだって。なら女の子を望む母親を最大限利用してやれ、辛くなったらいつでも僕の家に来ていいからさ。いくらでも僕のものなら貸すし。変わらないものを大事にして、変わった者の中で嬉しいものがあれば、それを大事にすれば良いんじゃないかな?」


 ずいぶんと下手だったと思う。

 それでも僕はずいぶんと可愛くなってしまった友達に対して、優しく声をかけていくのだった。

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