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ゲーム

「あー、負けた!なんで負けたんだ!!!なぁー、負けた。負けた……あぁ、悲しみ。なぁー」


 陽太の随分と女の子らしい部屋から彼女の家のリビングへと場所を移して。


「あはは、まだ僕の方が強いみたいだねー」


 僕はリビングにある大きなテレビに映されているゲームで陽太からフルボッコにされていた。

 もうそれは見事な見事なフルボッコだった。


「お前、本当に女かよ!」


「あー!今は時代的にそういうこと言っちゃいけないんだよ?女の子でもゲームするからね!」


「それはすまん」


 僕は陽太の言葉に謝罪の言葉を口にする。


「ふふっ、君は永遠に僕には勝てないのだよ」


「ぬぁー!」


 僕は陽太の言葉に悲鳴を上げながら倒れる。

 なんでか知らないけど、僕はずっとゲーム弱いんだよなぁ。 いっつもみんなで遊ぶときとかも僕は負け続けるからなぁ。


「……ふふっ」


 そんな風に自分がうなだれていた中、隣にいた陽太が急に笑みを浮かべ始める。


「ん?どうした?そんなに僕が悲鳴を上げているところが無様だったか?」


 そんな陽太に対して、僕はジト目を向ける。

 負けて項垂れいてる僕を笑い飛ばすとは……はては、かなり性格が悪いな? 


「いや、そうじゃなくて」


 だが、陽太は僕の視線と言葉に首を横へと振る。


「……色々と、話して変わったあとでもこうして楽しく話せるのが嬉しくて」


「そりゃな、何があろうとも友達よ」


「へへっ」


 僕の言葉に陽太が笑みを浮かべる……まぁ、陽太の部屋で過ごすのがちょっと下半身的に色々とあれだったので逃げてきたわけではあるが。


「……っ!?」


 なんかそれとなくエモい雰囲気が流れていた中、急に陽太のお腹から甲高いお腹の音が鳴り響く。


「う、うぅ……」


 僕がそちらの方に視線を向けると、陽太は顔を真っ赤にさせて視線を俯かせる。


「お腹すいたの?」


「……うん」


 僕の言葉に陽太がうなづく。


「うしっ。それじゃあ、何か作るか。キッチンのものって使っていいかな?」


「うん、いいと思う」


「まぁ、うちの両親にはときとうに冷食食べてもらえば良いでしょ」


 我が家の料理番は僕である……ここで、自分が家に帰らずに陽太の家にいたままであれば両親は飯に困ることになるだろう。

 だが、一応カップ麺や冷食もある。

 なんとかなるだろう。


「なんか悪いな」


「別に良いでしょ……それじゃあ、何か作るわ。何がいい?」


「えっ?あぁ……うん、そうだなぁー」


 僕は陽太と会話しながら、この家のキッチンの方に向かっていくのだった。

 まずは何があるか、だよなぁ?

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