同期とマネージャーとの初通話(前編)
今回は長くなりそうなので二つに分けて投稿することにしました。
あれから少しだけ同期とのチャットを楽しんでいた(眺めていた)が、1時間ほど喋った後その日は解散となった。お母さんからは涙の後を見られて、「どうしたの?同期の人たちにいじめられたの?!」なんて言われた。いやまぁ私が泣いてたらお母さんもいじめられたって勘違いするよね…。というよりこれまでお母さんにはたくさんいじめに関して親身になって心配してくれていたから私はそれだけでとても嬉しく感じてたんだよね…。私が学校に通っていた時はお母さんと話したりすることだけが救いだった。私が身投げを選択しなかった理由はひとえにお母さんが居たからだ。…ほんとにお母さんには頭が上がらないよ…。私もいつかそうやって私みたいないじめに苦しんでいる誰かを助けられたらいいなって思ってる。まぁお母さんには内緒だけどね。
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二日後、私はまた頭を抱えていた。いやだっていくらラインコードでチャットした仲とは言っても、いまだ声すら聞いたことがないのだ。声を聴いたことがあるのは面接官の陽向さんだけ…。つまり、ほぼ初対面もいいとこだ。一応ライバーとしての設定はみたけれど…、私ほんとにあんな設定で大丈夫?だってコミュ障ってのはあってるけど妖狐だよ?妖狐って言ったら妖艶ってイメージが強いんだけど…。私、先日女の子になったばかりだから妖艶さとか出せないんだけれど…。ほんとに大丈夫なのかな…。イラストはちゃんと完成した日に渡すって言われてるからそっちはまだ見てないけれど…。まだ心配だ。だけれどもうすぐ時間が来てしまう…。私はニートしてるからいつでも問題ないけれどね!いやまぁ小説家だからニートとは言えないけれども。それでも緊張はするし、憂鬱にもなる。いくらチャットで優しい言葉を投げかけられたとしても、結局それを打っている間、どんな顔をしているか分からないからね。だけど声を出すということはそれなりに感情が声に乗るだろう。それがめんどくさそうだったり、いやそうな感じが出て居たら、確実に私にいい感想を持っていない。そんなこと小説を書くくらい妄想力、もとい想像力がある小説家なら簡単に読み取ってしまう。それはそうだろう。物語系の小説を書く人は、人の行動の機微や心境を完全に再現しなければいけない。それも複数人をだ。そんな小説家としての能力を持って生まれてしまったが故の弊害だ。いやまぁ今まで私に向けられてきたのは、私のことをうざったく思うような感情ばっかりで、優しさの籠った声や態度を示してくれたのは家族だけだ。だから今まではこの能力と言っていいのかは不明だけど、絶対に向けられるいやな感情しかなかったけれど、今回の通話は少なくともチャット上ではいい感情を向けてくれた人たちだ。そんな人たちからうざったいと思ってるような声を聴いてしまったら、私はもう立ち直れない…。
あ、みんながもう通話に入ってる…。どうしよう…。でもまだ陽向さんは入ってない…。うぅどうしよう…。
そんな感じで迷っているとチャット欄が動き出した。
『流ちゃんはまだ来ない?マネージャーさんが来る前に少しみんなで話さない?』
そうやってチャットしてくれたのはグループに参加した日に真っ先に自己紹介した茜さんだった。
あぁこれ以上時間を空けると間違いなく入りにくくなる…。絶対だ…。いくら私が人と関わっていないからって人間関係における人の感情の変異が分からないとでも思うなよ?小説家において感情の変化は絶対に見逃せない。だから人と関わっていなくても人の関係性なら簡単にわかる。…アニメで学んだなんて絶対に人前では言えないけれど…。ま、まぁアニメで学ぶも実地で学ぶもそこまで違いは無いでしょきっと。
そんなこと考えてる暇があるならさっさと通話に入れって言われそう…。はぁ…、入るか。
『え、えっと、は、はじめまして…』
『あっはっは、初めまして!私は茜だよ!えっとねライバー名は…確か、紅上 紅葉だよ!よろしくね流ちゃん!』
『はぁ~い、私は蒼羽よ、よろしくね~。ライバー名は、水上 アクアよ~、困ったときはお姉さんとコラボしましょうね~、私が優しく誘ってあ・げ・る♡』
『これこれ皆そう詰め寄るでないわ、流ちゃんが困ってしまうぞい。我は喋り方で分かるだろうが、星羅じゃ。ライバー名は星川 真珠じゃ。これからよろしくのぉ、流ちゃん』
そう言って茜さんをはじめみんなが自己紹介してくれる。こ、これってまた自己紹介する流れだよね?またあの地獄の行事が…。うぅみんなみたいにうまく自己紹介できる気がしないよぉ。でもしなきゃ…。
『あぅ、わ、私の名前は流星って名前でふ…。あぅあぅ、えっとえっと、ライバー名は、天神 日葵でしゅ…。か、噛み噛みでしゅみません…。あうあぅ』
そうして私の初めての通話が始まった。…はぁ、もう抜けていいかな。緊張で心臓が持たないや…。
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