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面接(前編)

仕事が立て込んでしまい、投稿遅れました。申し訳ございません。今後も遅れるかもしれませんが優しい目で見守ってくれると嬉しいです。

 面接当日、面接は私服で大丈夫という事だったのでTSしたときに母に買ってもらったとてもかわいい猫耳パーカーを着て、下にはショートパンツを履いてパーカーしか着ていないように見える服を着て、母と手を繋ぎながらステラライブの目の前に来ていた。


「はぁ…」


「もうどうしたの?流君なら大丈夫よ」


 お母さんはどうやらもうすでに受かった気でいるらしい。でもどう考えても無理だ。だって私がお母さん以外の人と話せる気がしない。というか絶対話せない。面接という事を考えれば絶対にお母さんと離れることになる。無理無理…、家でならともかく外出先でお母さんと離れるなんて、過呼吸を起こしてもおかしくない。今まで過呼吸を起こしたことはないけれどね。…はぁ、頭の中でならこんなにたくさんのこと考えられるのにどうして声に出せないのか…。いやまぁ原因は分かってるけどね。なんせ学校に行ってたのは小学校の3年生くらいまででそこから私は高校に中学を卒業するまで家に引きこもっていたわけだからね。それに高校受験は一応して合格もしたけど、結局高校にはいかずに今も在籍だけはしている状態だ。もしかしたら自主退学扱いになっているかもしれないけどね。


 それはともかく…、ついに、ついに来てしまった。私の面接の番が…。いや面接の待ち受け室まで母親と一緒に来ることを許してくれたのには驚いた。普通の企業なら絶対にこんなことはないはずだ。というかあってたまるかそんな企業。しかしおかしい。私以外に面接を受けに来た人がいない。いないというか出会わない。もしかしたら合格者の身バレ防止のための措置なのかもしれない。私としてはありがたい。だって他の人と一緒の部屋で一人だけ母と待つことになるのだから。何あの人とか変な目で見られたくない。そんな目で見られたら死んでしまう。


「天海さ~ん、応接室へどうぞ~」


「はーい」


 ?!?!ちょっとお母さん?!まだ心の準備ができていないのに…。どうしようどうしよう…。ここで悩んでてもしょうがないけど、そんなすぐに返事しないでよ。

 はぁ…もう行かなきゃ…。せめて泣かないようにしなきゃ…。もとから結構な泣き虫ではあったけど、どうも身体が女になってから、涙腺がかなり弱くなっているんだ。ことあるごとにこの身体は涙を流そうとする。今日家から出るときだってそうだった。お母さんに手を引かれて家を出ようとするときすら泣いてしまいそうになった。面接官とはしっかりと話さなきゃいけない。それもお母さん抜きで。

無理だよそんなの。できるわけないよ。とにかくもう行かなきゃ。はぁ…、気が重い。


「し、失礼しま~す」


「お待ちしておりました。本日はどうぞよろしくお願いします。本日面接官を務めさせていただきます、陽向と申します。まずはそちらのお席にお座りになってごゆっくりなさってください。」


「ひゃ、ひゃい!し、失礼しましゅ!あうぅ」


 うぅ、最初の一言目から嚙んじゃった…。もうヤダ、どうせこの人も私のこと変な目で見るんだ。そして私をいじめるんだ。心の中で私のことを罵ってるんだ…。ヤダもう、帰りたい。うぅ、そんなことを考えてたらまた目じりに涙がたまってきた。…ダメ、泣いちゃダメ。


「うぅ、ぐすっ」


「えっと…、天海さん大丈夫ですか?やっぱり緊張してますか?」


「うぇ、ひっぐ、ぐすっ、あい…、緊張してまう…」


「天海さん…落ち着いて…、とりあえず深呼吸しましょ?そこまで緊張しなくてもいいからね?圧迫面接みたいなことするつもりもないから、とりあえず落ち着きましょ?」


「あい…ずびばぜん…。ひっぐ、ぐすっ、うぅ」


 どうしよう、涙が止まらない、やっぱりお母さん以外の人と話すなんて無理だよ…。なんでこんなとこに来ちゃったんだろう?うぅ、涙が止まらないから絶対面接官さん困らせちゃってるよ…、どうしよう。いやまぁ涙止まらないからどうしようもないんだけどさ…。というかこんなことを頭の中で考えてる暇あったら、涙止める努力をしろよって話だよね…。ごめんなさい面接官さん…。迷惑かけちゃって…。こんなことなら来るんじゃなかった。電話なりメールなりで断ることだってできたはずなのに…。私もちょっとVTuberに憧れがあってそんな考えに行き当たらなかった過去の私が憎い…。そんなことはどうでもいいからこの状況を何とかしないと…。


「えぇっと、とりあえず自己紹介しますね?私の名前は陽向 夜宵と申します。よろしくお願いしますね?どう?少しは落ち着いたかしら?」


「あい…、少しだけおちづきまぢだ…。ずびばぜん、おがあさん以外とは上手くしゃべれなくて、家から出るのもお母さんに手を繋いでもらわなきゃ泣いちゃうくらいの引きこもりで…。」


 ふぅ…、少し落ち着いて話せるくらいにはなってきた…。涙は止まらないけど…。


「そうなのね・・・。だからここで一人になっちゃって緊張と怖さで泣いちゃったのね…。もしよかったらだけどここにお母さんも呼びますか?」


「ひっく、えぅ、いいんですか?」


「え、えぇ、大丈夫ですよ、その方が天海さんも落ち着くでしょうし、それに…(お母さんが一緒にいたほうがまともに面接もできそうですし…)」


「???最後何かいいましたか?」


 最後の方に何か言ってたみたいだけど、声が小さくて聞こえなかった。…もしかして私の悪口を聞こえないように言ったのかな?…まぁ言われても仕方がない姿をさらしたけど。


「いえ、何も言っていませんよ?とりあえずお母さまを呼びますね?」


「あ、はぃ」


 そう言って、陽向さんは応接室から出ていった。

面白い!続きが気になる!と思った方はブクマ&評価よろしくお願いします。

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