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清めの塩

作者: 雪宮紫月

「あなた、疲れてますね」

仕事帰り。家の近くの路地で声をかけられた。

見知らぬ老人、普段なら無視するがここ最近残業続きで疲れていたのもあって立ち止まって聞き返した。

「やっぱりそう見えますか?」

「ええ、しかも普通よりもかなり強く」

「最近仕事が遅くまで続いててなかなか休めてなくて」

俺が話している間もその老人は俺をじっと見ていた。

「ところでなんで声をかけてこられたのですか?」

「ああ、最近この辺りに越してきて……」

老人は懐を漁り、何かを取り出そうとしている。

「あの……」

「あれぇ、無いな……落としてしまったかな?」

「何を探されて……」

「ああ、すまん。どうやら今はどこかで落としてしまったようでなー」

「はあ、それで何を持ってたのですか?」

「普段のわしは死を、勧めてるんじゃ」

「はあ……」

死か……。会ったばかりの他人に死を勧められる程に俺は生きているのが苦しそうに見えたのか。

「それで、もし青っぽい袋を見つけたらここに電話してくれるかの?」

老人は紙に電話番号を書いて渡してくれた。

その後老人は落としたという袋を探しながら路地の暗闇に消えていった。

「そうか……」

俺は帰りにロープを買って帰った。


翌日、全国区のニュースに男の名前が上がった。

解説

この主人公は疲労していました。

そんな時に見知らぬ老人に声をかけられ「死を」勧められてそのまま自ら死出の旅へと出ました。

物語の最初、「つかれてますね」の一言が「憑かれてますね」と言われていることが分かっていたら、彼も冥土ではなくお寺などに駆け込めたかもしれません。

皆さんも普段から聞き間違えなどにお気をつけください。

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