第3話 雪解けの 兆しは未だ ありえない
そのあと、聞いたところ自分の部下になった社員をパワハラや、雑用を押し付けて失敗したら部下に責任を取らせるなどをして、退社させているという噂だった。
だから昨日あんなこと言ってたんだな。
「まぁ、大丈夫だろ。ほら、俺鈍感だから。パワハラとかわからんし。」
「全然だめです。前田さんがやばかったら私が止めますから。」
「おう、その時はよろしくな。」
菜火はそのあと、もともといた部署の方に向かっていった。
まぁ、何があろうと俺はやめないんだがな。
「おはようございます。げ。」
「おう、おはよう。二回目だな。」
「ちょっと、なんて格好してるんですか」
「お、おう、ここオフィスだったな。すまんすまん。」
「今日から俺の後輩も配属なのでしっかりしてくださいね。」
「あぁ、あの小柄な生意気そうな女か。」
「見てたんですか。」
「私の体に興味ないのは、前田君はロリコンなのかと。」
「違います。」
しばらくしてから、菜火がオフィスの前に来た。
という、ラインがきた。
「どうしたんだよ。入ってくればいいのに。」
「やっぱ怖いですよ。これなんて読むんですか?さらてる?」
「これで、カエデって読むんだよ。女の人だし仲良くできるんじゃないか?」
「え?女の人なんですか。」
「だから入れ。いくぞ。」
ドアをもう一度開いて部屋に入った。
「ブロック長、後輩が来たんで挨拶してもいいですか?」
「おう、君が前田君の後輩か。」
「は、はい。菜火です。よろしくお願いします。」
「よろしくな、麻木だ。前田君とはどこまで行ったんだ?」
「どこまでってなんのことですか。」
「いやいや、遠慮は無用だ。オフィスラブもオフィスでやってくれても私は構わんからな。」
「ちょっと、麻木さん。菜火にセクハラしないでください。俺と菜火はそんな関係でもないですから。」
「なんだ。まぁ、よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。ところで、ここって、マネジメント課ですよね。タレントさんはどこにいらっしゃるんですか?」
「あぁ、もうすぐでFAXで管理対象のタレント名簿来るから。・・・。お。噂をすれば。」
FAXで、タレント名簿が来た。
総勢17名のタレントが載っていた。
「じゃあ、だれがどのマネジメントしますか。」
「そうですね。3人で17人なので一人6人って感じですかね。」
「あぁ、すまん。私マネジメントするの苦手なんだよ。だから二人で17人で見てくれ。」
「何言ってるんですか。そんなの通じるわけないじゃないですか。ねぇ、前田さん?」
「俺はどんな感じでもいいですけど、麻木さんもやってみませんか?」
「ええ。無理無理。前田君に任せるよ。」
なんとなくだが、カエデさんのこういうノリが慣れてきてる感じがした。
そんな時オフィスのドアがノックされ、ドアが開いた。
入ってきたのは見慣れた顔であった。