小さなスナイパー
次の日の朝、レックスはメリッサとともに村のはずれにある道具屋に行った。
中には、いろんな食材から、洋服や松明、料理用のナイフなどといった様々な道具が売られていた。
まずは服を買わなくちゃな。おとといからずっと同じ服着てる。これから長旅になりそうだし、せめて三着くらいは欲しい。あと、ポーションも欲しいな。毒消しも、松明も。そして一番大事といっても過言ではない食料!
あっでも、俺お金持ってないや。まぁいっか、どうせメリッサが払うし。
レックスは生地が丈夫そうな服を三着と、ポーションを5つ、毒消しを2つ買うことにした。
「メリッサは何買うの?」
「着替えの服と、新しい靴。昨日、破れちゃったから」
「俺、これ買いたい」
レックスは手に持っていた品物をメリッサの持っている籠に入れた。
「これだけあれば十分ね」
メリッサは籠をカウンターの上に載せた。
「えー、服が6着に、ポーションが5つ、毒消しが2つ、靴が1つ、それからチャボ(芋みたいなもの)が6つですね。3520セニーになります」
メリッサは小袋からお札を3枚と、銀貨5枚、銅貨を2枚取り出し、カウンターの上に置いた。
店主は代金を数えた。
「3520セニーちょうどですね。確かにお預かり致しました」
二人は買ったものをそれぞれカバンにしまった。
「ありがとうございました。またご利用ください」
二人は店を出た。
メリッサは歩きながら言った。
「他に必要な物はない?」
「うん。大丈夫」
歩いていると、村の人に話しかけられた。
「おやおや、旅人さんですか。珍しいですねぇ。最近は、妖樹のせいで人があんまり来なくなったんですよー。」
「そうなんですか、大変ですね。エリの森にはよく妖樹が出るのですか?」
メリッサは何か探るように問いかけた。
「いや、ほんの数か月前まではちっとも出なかったんですよ。ただでさえ迷いやすい森だってのに、妖樹なんかが出たら、出られなくなっちゃいますよ!そうだ、あなた方はあの森を抜けて来られたのですか?」
「えぇ」
「よかったですね。生きて出られて。つい最近、妖樹が出て危ないので、この村にお城の兵隊を呼んで、守ってもらってるんです」
「そ、そうなんですか。あ、そろそろ行かないと。失礼します」
そう言ってメリッサはフードを深くかぶり、歩き始めた。
そしてレックスに小声で言った。
「レックス、すぐにこの村を出ましょう。兵士に見つかる前に」
「えっもう?」
メリッサはレックスの腕を引っ張って走りだした。
なるべく人のいない道を選んで走っていると、どこからか、矢が飛んできた。
とっさによけたので、当たらなかったが、それと同時にレックスは足を少しひねってしまった。
「誰だ⁉」
レックスが喋ると、近くの木から人が降りてきた。
レックスは驚いた。矢を放ったのは、まだ小さな男の子だったからだ。