仲間3
28話 仲間3
俺が擬態する事が出来て、遠距離攻撃をする事ができる者。それは、お前だよ、ルナ。
「もうお手上げですかロイ様!!そのままだと、いつか当たっちゃいますよっ!!」
湖を背に、ルナはこちらに水を撃ち続けている。纏っている水が無くなれば、再び湖に木刀をつけるだけで足す事ができるため、実質無限にあの水は飛んでくる。中々威力はあるが、所詮はただの水だ。生身の体に当たれば貫かれてしまうかもしれないが、鉱石に勝つ事は出来ない。
「擬態は使わないのですか?このままでは、勝負がついてしまいますよ!」
完全に勝ったと言わんばかりの笑顔で、ルナは水を放ち続けている。それに対して俺は近づくことも出来ず、ただ逃げ回っていた。そろそろ、反撃するにはいいタイミングだな。
「そうだな。じゃあ、遠慮なく使わせてもらう!」
そう言うと、俺は擬態を使いルナの姿になった。
「なっ!!ちょっ!!やめて下さい!!」
ルナは赤面しながら、自分の姿になった俺を凝視していた。
俺の擬態は、生物の姿を真似、能力を使える。彼女の魔力も、例外ではない。
「付与!!」
俺はルナと同じように叫び、付与を発動させながら地面に触れた。そしてそれを飛んでくる水に合わせて飛ばしてみる。
ここら辺一帯の地面は、そのほとんどが土だ。そして土の中には、小石など小さくも硬いものが大量に含まれている。その一つ一つ全てが、水を穿つ弾となった。
「くっ......」
ルナは、水を撃つのを止めた。このまま撃ち合っても、意味がないからだ。土も水も、大量にある。無くなるまで撃ち合えば、日が暮れてしまう。
だが、これでは五分になっただけ。このままでは勝負は付かない。
せっかく手に入れた力だ。今まで、出来なかった事に挑戦してみるとしよう。
「擬態付与!」
俺は右腕にクリスタルスライムの表皮を纏い、それを木刀に付与した。本来なら俺の擬態は俺の体以外には影響を及ぼす事は出来ないが、ルナの付与ならそれを可能に出来る。
「いくぞ!」
体の擬態を調整する。木刀を持った手首より先だけをルナのものにし、その他は俺の体にもどした。それでも触れているのはルナの手のため、俺の木刀はクリスタルスライムの硬度まで高められたままだ。木刀のままではあの水は切れなかったが、今の硬度ならば問題はない。
「そ、それはズルイですよォォォォ!!」
ルナは、再びこちらに水を撃ち続けたが、俺はそれを剣で斬り、避けながら距離を詰めた。
対応するため、ルナも剣を構え直そうとするが、もう遅い。一気に間合いに入り込み、剣が届く位置になる。
「っ……!!」
そして、剣の触れる距離まで近づいた俺は、擬態を解除して剣を木刀に戻し、それをルナの顔の前に突き出した。本当は当てることが勝つ条件だったが、やっぱり怪我はさせたくない。
「俺の、勝ちだな」
ルナはとても悔しそうにしていたが、やがてその場で膝をついた。
「その能力、チートすぎますよぉぉ......」
まあ、擬態については詳しくは話していなかったからな。多分、魔力まで真似されるとは思っていなかったのだろう。だが、それでも……
「いや、ルナは相当強かったよ。とてもこの間まで、奴隷をしていたとは思えないものだった」
そう言うと、ルナは頬を膨らませて言った。
「うう、からかわないでくださいよぉ。せっかく、ロイ様の隣で戦えると思ったのにぃ......」
正直、ルナを戦いに巻き込むのは、自分勝手過ぎると思っていた。それに、そんな戦闘能力が彼女にあるとも、思っていなかった。だが、彼女が共に戦ってくれるなら、とても戦力になる。近距離の剣捌きが申し分ないうえに、遠距離攻撃まで出来るのだ。彼女がいれば勇者を殺す効率も、上げることが出来るかもしれない。
「なあ、ルナ。俺は、自分一人では勇者を殺せる数は限られるし、それにかかる時間もかなりのものになってしまう。それで、だ。もし、お前さえ良ければ、手伝ってはくれないか?お前が隣で共に戦ってくれるなら、正直心強い」
俺がそう言うと、待ってましたと言わんばかりの表情で、ルナは俺を見上げた。耳をピクピクと動かし、満面の笑みを浮かべている。
「い、いいのですか!?やったぁ!!ロイ様と、一緒に戦えるんですね!!!」
しっぽをぶんぶんと振りながら、身体を震わせている。そんなに、嬉しかったのか。
「じゃあ、これから、改めて宜しく頼む」
「はい!!必ず、お役に立ってみせます!!」
こうして早朝の試合は決着し、俺は最強のパートナーを手に入れた。




