闘技会5
20話 闘技会5
二回戦が終了し、三回戦が始まった。
三回戦は、残っている参加者が27人のため、13回の試合と残り一人はシードで不戦勝となる。
抽選の結果は、ツバキがシード、俺とレインとルカはそれぞれ違う相手と当たることとなった。
そろそろ3人の誰かと当たることになると思ったが、何とかそうならずに済んだ。出来れば、四回戦は3人で潰しあってくれるとありがたい。
そして三回戦も特に何事もなく終わり、残った14人で再抽選となった。
抽選の結果、七回ある試合のうち、第3試合目でレインとツバキが対戦する事となった。俺とルカは当たることはなく、俺が第一試合、ルカが第5試合となった。
とりあえず、これでレインかツバキのどちらかとは次で当たらないことが確定した。まあ、どちらが勝ち上がってくるかは簡単に予想がついてしまうが。
そして、四回戦が始まった。
やはり四回戦まで残った者なだけに、そこそこ強い相手ではあったが、特に苦戦することはなく、俺は簡単に勝つことが出来た。
そして問題の第3試合。レイン対ツバキの試合。二回戦でのツバキの試合は一瞬で終わってしまっていたので、ここで改めてどのような試合をするのか見ておきたい。
試合が始まると、ツバキは二回戦同様、全く同じ位置に向けて突きを放った。恐らく、一撃で決めるつもりなのだろう。
だが、レインもかなりの実力者。一撃では終わらなかった。
『っ……ォォッ!』
当たりはしたものの、胴に直撃ではなく、身を翻したレインの肩を木刀が掠めた。大きな図体の割に、その回避の動きは中々に速い。
『ナメんじゃねえ!!』
レインは叫びながら反撃に出た。力はモーガンと同等といった感じだったが、剣速は違う。攻撃方法もワンパターンではなく、突きやフェイントを交えながら色んな方向、方法でツバキへの攻撃を続ける。
(あいつ、本当にただの農家なのか?かなり戦い慣れているように見えるが......)
とてもじゃないが戦闘経験がない奴の動きに見えないそれは、次第にツバキへと届きつつあった。だが、その動きにツバキもまたすぐに適応していった。
最初の二発くらいまでは攻撃がツバキの体を掠めたりしていたが、その後からは木刀が擦りもしない。どれだけレインが攻撃方法を変えようとも、結果は同じだった。
(やはり、レインでは無理か……)
ツバキの回避術は洗礼されていて、全く無駄がない。全ての攻撃をギリギリのところで避け、体力も残しながらの戦いをしていた。
だがそれと打って変わって、攻撃を続けているレインの体には、多大な負荷がかかり続けた。その結果、一瞬だが攻撃と攻撃の間に隙が生まれる。そしてそれを、ツバキは見逃さない。
『くっ……』
レインの手の甲に一撃が炸裂し、手から木刀が吹き飛んだ。結局、ツバキが自ら攻撃をしたのは最初とこれの2回だけ。最小の努力で、最大の結果を出してきた。
『俺の、負けだ……』
こうして、ツバキの圧勝で第三試合は終了した。
第五試合ではルカも順当に勝利し、7人の勝者が決定した。
そして再び再抽選。合計三試合の枠と、一人のシード枠がある。ルカかツバキと当たる確率は7分の2だ。出来れば、それを避けつつシードを手にしたいところだ。ルカとツバキがぶつかってくれると尚良い。
だが、現実はそんなに上手くはいかなかった。
俺は、ルカと第三試合でぶつかることとなった。
まあ、当たってしまったものは仕方ない。ツバキに目が行きがちだったが、ルカも前回優勝者の強者だ。あの剣捌きを見切れるかが、勝利の鍵となるだろう。
心の準備を固めつつ、俺は観客席へと戻った。




