討伐報酬、ランクアップ
「さてと、これからどうしようか」
宿の食堂の隅に集まると塚本が早速切り出した。
稲垣健太(本物)
槍聖 レベル56 (25546/56000)
HP 1297/1297
MP 848/848
STR 40
INT 12
AGI 23
DEX 23
VIT 22
LUC 10
塚本幸子(本物)
ビーストマスター レベル55 (17375/55000)
HP 826/826
MP 1083/1083
STR 14
INT 21
AGI 20
DEX 24
VIT 14
LUC 25
中山徹
猫獣人・斥候 レベル56 (14412/56000)
HP 972/972
MP 972/972
STR 19
INT 15
AGI 49
DEX 37
VIT 12
LUC 19
松島浩平
剣士 レベル56 (149141/56000)
HP 1229/1229
MP 796/796
STR 35
INT 13
AGI 20
DEX 18
VIT 23
LUC 13
日野のどか
治癒術士 レベル56 (14322/56000)
HP 1000/1000
MP 1162/1162
STR 14
INT 30
AGI 17
DEX 16
VIT 19
LUC 15
越智香緒里
猫獣人・格闘家 レベル56 (15049/56000)
HP 1176/1176
MP 794/794
STR 33
INT 10
AGI 47
DEX 28
VIT 14
LUC 14
清水聡子
ドワーフ・重戦士 レベル56 (14427/56000)
HP 1330/1330
MP 825/825
STR 37
INT 15
AGI 15
DEX 26
VIT 25
LUC 15
「レベルだけ見ると一流冒険者の仲間入りだな」
「ステータスだけなら騎士団の団長にも勝てそうだ」
「はは……」
「あ、あははは……」
川合茜
ハーフエルフ・斥候 レベル321 (2823/321000)
HP 4912/4912
MP 5359/5359
STR 63
INT 77
AGI 211
DEX 146
VIT 44
LUC 72
「僕はそれよりも村田君が気になるな」
「俺?」
「もうなんて言うか、笑うしか無いレベルだよね」
「それについては否定しない」
村田幹隆
狐巫女 レベル661 (1/6610)
HP 28720/28720
MP 431/28720
STR 2872
INT 2872
AGI 2872
DEX 2872
VIT 2872
LUC 2872
「で、それを支えてるのがその狐火か」
「ああ」
「今いくつ出してるんだ?」
「えーと……約六千」
「それを一つにまとめている、と」
「まあね」
幹隆の狐火魔法はMPでは無く、狐火を消費するため、少しでもMPが回復すると狐火を呼び出すようにしているため、常時四桁が待機している状態だ。そのおかげで、狐火を二百個消費する収納も手間取ること無く使えるようになったのでとても便利。完全にチートキャラだ。
「ステータスもエグいなぁ」
「だいたい平均的な大人の三百倍以上か」
「本気で殴られたら人間なんて赤い染みになりそうだな」
「そんな村田にアイアンクローされてた川合って……」
「い、痛かったんだからね!」
とりあえず今日はもう寝るだけだが、明日からの予定を決めておく。
多分冒険者ギルドの査定は昼頃には出るだろうから、それまでの間は街で装備を調える準備。報酬はかなりの額になるはずなので、全員の装備をしっかり調えることにしよう。
そのあとは街の外に出て訓練することに決めた。
「ステータスがいきなり上がると、感覚がズレるんだよ」
「へえ」
「ま、何となくそんな感じはする」
「だから、いきなり実戦は避けて、慣らす」
「了解」
だいたいの方針を決めると、それぞれの部屋に。懐具合も良いので、全員が個室だ。
「アレ?ミキくんはそっちの部屋でしょ?」
「いいから」
茜の疑問には答えずに幹隆は茜の部屋に入る。
「茜、これは大事なことなんだ」
「え?え?う、うん……」
「いいか……」
扉を閉め、ベッドに潜り込む。久々に大量レベルアップをしたせいか、体の感覚がおかしい。明日、しっかり慣らさないと。
そう自分に言い聞かせ、そっと目を閉じる。
隣の部屋から「ちょっと!これほどいて!ミキくん!」という声が……聞こえない、聞こえないぞ。
「オークが八十九、ハイオークが十一、そしてオークロードでした」
「ハイオーク?」
「オークリーダーよりも上位の個体がいる集団で、オークリーダーになり損ねた個体、と言われてます。あまり見かけないのですが、これだけの数がいたというのはかなりの脅威です」
「そっか。間に合って良かったな」
「はい。あ、全てこちらで買い取りしてよろしいですか?」
「はい」
「では……こちらになります」
「ども」
ゴブリンの時とは袋の重さが全然違うことに感動しながら、午前中に見て回った店に行き、金に物を言わせて装備を調える。と言っても、サイズ調整が入るので、受け取りは数日後だが。
ちなみにランクはDまでしか上がらなかった。Cランクに上げるには細かい条件があり、クリアしていないためだ。どういう条件が必要なのかだけ確認をしておく。
「さて、それじゃ少し体を動かして、ステータスに慣れよう」
「おう」
ステータスは、通常ならば何ヶ月、時には一年以上かけてようやく一つ上がるため、慣らすなんて事は必要ない。だが、一気に上がるとさすがに感覚が狂う。多少暴れても迷惑にならず、ケガもしにくい草原で体を動かしていく。
「うおっ!思った以上に速く走れる!」
「うわ、この距離で投げた石が当たるのか」
「うわわわわわっと、転びそうだけど転ばないってのも新鮮だな」
何だかんだ言って楽しそうである。
「アレ?村田君は?」
「ミキくん?上だよ」
「上?」
全員が見上げる。
小さな点が少しずつ大きくなってくる。
「え?」
「まさか……」
「ちょっと」
いくら何でもあんな高さから落ちてきたらと慌て始める。
「大丈夫だよ、ミキくんだし」
「いやいや、そう言う問題じゃ無いでしょ」
「大丈夫だって、ほら」
茜が耳に手を当てるのに釣られて、全員が耳をすませる。
「狐火の浮遊!」
かすかに聞こえ、そして数メートルの高さでほぼ静止。ゆっくりと地面に降りる。
「おかえり~」
「おう……みんなどうした?」
「いや、何やってんの?」
「ああ、どのくらいの高さまでジャンプ出来るかなーって」
「そうか……」
「あの雲に届くかなと思ったけど、無理だった」
それだけ飛べれば、ほとんど困ることは無いだろうなと、茜を除く全員が心の中で突っ込んでいた。
「じゃ、行ってくる」
「がんばってな」
翌日、幹隆たちと塚本たちは別行動を取ることにした。
幹隆たちはCランクに上がるための条件となるような依頼を探す。塚本たちは簡単そうな討伐依頼をこなしDランクを目指す。まあ、あのステータスだ。ゴブリンの群れがいても後れを取ることは無いだろう。
「さて、いい感じの依頼はあるかな……」
「Cランクに上がるには護衛とか荷物運びとかだっけ?」
冒険者ギルドに着くと、早速依頼を貼り出した掲示板へ。
「無いな」
「無いね」
荷物運びや護衛といった依頼は、若干面倒だが危険度がそれほど高くなく、報酬もそれなりに良いものが多い。おまけにランクアップのための評価もいいし、商人などとの顔つなぎもできやすいとあって、人気の依頼。
朝一で貼り出されたらすぐに持って行かれるので、二人のようにのんびりやってきたら残っていない。
「相談してみるか」
「だね」
考えても仕方ないのなら、相談あるのみだ。
「え、Cランクに上がりたいって……」
「ええ。国境を越えるときに色々便利になるって聞いたので」
「目指してみようかなって」
「国境を……超えるぅ?!」
ニムが飛び上がった。
かなり興奮しているようで、尻尾が膨らんで見える。何か変なことを言っただろうか。
「だ、ダメですよ!国境を越えちゃあ!」
「え?」
「な、なんで……?」
違法行為?
今更だよねと顔を見合わせる。
「そ、その……う……えーと、そう、危険!危険なんです!」
「危険?」
「そうです!」
ビシッと指を立ててみせる。決めポーズのつもりなのかも知れないが、見た目も相まってかわいらしさしか感じない。茜にいたっては飛びついてスリスリしたくてたまらないという表情だ。
「お二人はまだ成人してませんよね?」
「え」
「ああ、まあそうですね」
この国だけでなく、大半の国が十八歳を成人としているらしいが、獣人とかハーフエルフに適用されるのだろうか?
「未成年が保護者も同行せずに外国へなんて!攫ってくれと言ってるようなもんです!」
外国どころか異世界から来たんですけどねぇ、とまた顔を見合わせる。
「そうなの?」
「そうです!オマケにこう言ってはナンですが、お二人ともとても可愛らしいですからね。色々アレな感じの奴隷にしてやろうとかいう輩が出てくるはずです」
「そういうものなのか」
アレな感じって、アレなんだろうな。異世界って結構危険なんだな。
「ですから!」
「でも、俺ら、オークロードも倒せるぜ?」
「あ」
「往復の方が時間かかったよね?」
「え?」
「だな。あれだけ倒すのにかかった時間って、三十分くらいだし」
「さ、三十分?!」
あ、ニムが固まった。
「その三十分も村からオークの群れのところまでの往復込みだしな」
「ちなみにオークロードってどうやって倒したんだっけ?」
「こう、軽く一撃。粉砕しないように手加減するのが難しかったな」
「あはは」
「はぅ……そうでした。このお二人は、尋常じゃ無い強さでした……」
復活した。
「まあ、Cランクどころかお二人ならAランクの難易度も……それどころかSランクが手こずる相手も余裕かもしれませんね……はあ」
仕方ないかと観念する。
だが、この二人について報告をした結果、上からは「絶対に国外に出すな!貴重な人材だ!」という指示があった。何としても食い下がらねばならない。
「えーと、先ほど受け付けたばかりの依頼がありまして、お二人にちょうどいいかなとも考えているのですが……」
手元の書類をペラペラめくり、「これこれ」と取り出す。
「詳しく聞かせてもらえますか?」
「ええ、もちろん」




