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定時退社の男  作者: 三箱
7/23

「梅酒」(作る編)

 梅酒の材料を買い終えて家に戻った。

 いつもなら先に風呂に入るのだが、先に準備をする。

 果実酒瓶の洗浄と消毒である。

 煮沸をしようかと思ったのだが、瓶が割れるらしいので、やめておく。

 まずは瓶を洗剤で洗い、ぬるめのお湯でかなり長めに洗う。そしてキッチンペーパーで綺麗に拭き取る。

 それを終えると今度は新しいキッチンペーパーで少量のホワイトリカーを染み込ませ、瓶全体を消毒拭きをする。

 拭き終えると、水気がない所に置いた。

 乾燥させるためである。

「よし」と一言呟いてから、一旦風呂と飯にしたのである。


 しばらく経って。


 私はボールとザル、そして梅、キッチンペーパー、竹串、氷砂糖、ホワイトリカーをキッチンに並べた。。

 梅酒作りの開始であった。

 まずは梅を一個ずつ流水で洗っていき、ザルに入れていくのである。一個、一個、一個……。

 かなり地道な作業だ。

 半分くらい洗うと少しだけ指が疲れてきた。疲れるのが早すぎだと突っ込みつつもひたすらに洗っていった。

 全て洗いきると、続けて一個ずつキッチンペーパーで拭いていくのだが。

 ザルの上にドサッと積もった梅を見て「うへー」と声を漏らす。

 いかんいかん。頑張らないと、首を振ってやる気を出す。そして一粒ずつ丁寧に拭いていく。

 拭いて、拭いて、拭いて、拭かれて……。

 いかんいかん。一瞬、酒と泪とナンとやらのフレーズが過りやがった。

 またもや首を振ってやる気を出した。

 変な困難を乗り越えつつ、ようやく全ての梅を拭ききった。

 乾くまで一休憩。

 グデンと座椅子に座りこみ、ボーッとする。

 十五分後。

 パッと見て乾いたので次の作業に移る。いつも通りの適当さ。

 竹串でへたを一つずつ取っていく。

 竹串で取れるものかと疑心暗鬼で挑む。

 スポッと、案外あっさりととれたのであった。

 よしこのままいけると思ったが、やはりそう簡単にはいかない。次のヘタはとれにくくてひたすら竹串をぐねらせる。

 

「あー。めんどくさい」


 ぼやきながらも、何とか一つずつ取っていく。気が遠くなりそうになったのを繰り返しながらも何とかヘタを取り終えた。

 ここまでくるとあと少し。

 瓶に梅と氷砂糖を交互に入れていく。梅を底に敷き詰めると、氷砂糖を適当に入れ、上からまた梅を並べ、そしてまた氷砂糖を入れる。そして全部入れ終わると、ホワイトリカーを1.8リットル流し込む。

 梅と氷砂糖に染み込むように入り、全体的に少しだけ浮かんだ。

 そして最後に蓋をきつく締めて完了。


「おお。できた」


 梅酒の瓶を眺めて簡単の声をあげる私。

 手間はかかったけど、完成すると少しだけ感慨深いものがある。

 よしよしとこの果実瓶をパシャっと写真を取って保存する。

 そしてそれを見ながら冷蔵庫から商品名が疑問系の梅酒を取り出す。そして梅酒瓶を見ながら市販の梅酒を飲む。

 梅酒が飲めるようになるのは早くて3か月後、飲み頃は半年後らしい。だから今は飲めない。

 待ち遠しいけど、そのときの予行演習として、梅酒瓶を見ながら梅酒を飲む。

 なんともまあ、梅好きなんだろうか。

 今度は梅干しでも作ろうか。そんなこと思いながら市販の梅酒をごくっと飲んだ。


 ああ。待ち遠しい過ぎて飲まずにはやってられない。 

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