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定時退社の男  作者: 三箱
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「かまぼこわさび醤油」

 今日は会社の先輩から簡単なメニューを聞いた。

 自分で料理を作るのが好きらしい。

 今回のは特にシンプルだから、苦戦はしなさそうだ。

 ということで会社帰りにスーパーに寄った。買うのはかまぼこだ。

 なんだけど、いきなり困ったことに。

 かまぼこ。どこに売っている?

 今日寄ったスーパーは、あんまり行かないところ。だから列びが違うと迷う。練り物系なのはわかるけど、どこらへんだったけ。

 てくてくと歩き回り数分して見つけた。

 いつものスーパーの反対の位置にあった。

 わかるかい。

 そうツッコミつつもピンクと白のかまぼこを買った。

 家に帰り、いつもの飯を済ませたあと、風呂に入ってさっぱりしたあと準備を始める。

 冷蔵庫からかまぼこを出し、ラップをはずす。そしてのっている木の板から手で外そうとする。


「ん? 外れない」


 かまぼこって、木の板から簡単に外れるものではないのか。

 少し粘るが身が崩れそうなので一度諦めて、とりあえず板の上からかまぼこを均等の幅で切っていく。

 そして切り終わって下の板からかまぼこを外す。

 外れない。

 切ったら取れるもの出はないの?

 マジかと思いながら仕方ないからかまぼこと板の隙間に包丁を入れて切り取った。


「ふう」


 かまぼこを切るだけで一苦労すると思わなかった。

 初めてのことに弱い私であった。

 切ったかまぼこを、そして中くらいの鉢に入れる。次に別の小皿を用意して、そこに醤油をいれる。そしてワサビをちょこっとのせた。

 これで準備か……。

 いや待て。

 冷蔵庫に走り込み、中から二リットルサイズの紙パックを出し、棚にあるコップを持って冷凍室からの氷を流し込んだ。そして別に箸を持ってき、テーブルに並べる。

 かまぼこ、醤油、ワサビ。そして、商品名なぜが疑問系。私の好物梅酒!

 よしこれで準備完了だ。

 蓋を開けて、梅酒を氷がたくさん入ったコップに注ぐ。

 そして梅の甘い香りと、アルコールの少しつーんとする感覚に少しだけ高揚する。

 箸でかまぼこを一切れ挟み、醤油を撫でるようにかまぼこに付けていく。そしてワサビをかまぼこの上にのせて、パクっと一口で食べる。


「うっ。うめー」


 かまぼこの少し弾力ある噛みごたえに、醤油の控えめな辛さにワサビのキュット鼻をつまむような刺激が見事に混ざり合う。

 こんな簡単な組み合わせで、こんなに旨いのか。

 いやー。世の中知らないことばかりだ。

 おっと、おっと、忘れてはいけない。

 コップを掴み、ロックの梅酒をごくりと一飲み。


「うめえ」


 梅酒の旨さは言葉では語れない。

 要はそれくらい好きだということである。言葉にせずに感じる。舌の感覚をフルに鋭くさせて、梅の甘さとアルコールを感じた。

 そしてまたかまぼこワサビ醤油。梅酒。

 箸の手を止めることなく食べていった。

 

 やっぱり仕事終わりは飲まずにはいられない。

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