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定時退社の男  作者: 三箱
12/23

「ささみカツ」

 そろそろ揚げ物でもやってみようかなと思ったこの頃。

 料理のバリエーションを増やしたいと考えていたし、少しでも料理スキルをあげたいと思っていた。

 家に何故か衝動買いしたささみが残っているので、食べておきたいというのもある。

 そこで揚げ物なんだが。

 揚げ物って私の中ではかなり危険なものだと思っている。

 何がどう危険かって?


 何となくである!


 とまあ言っても虚しいので、曖昧な恐怖で怯えるのも、そろそろ卒業するべきかと思った。

 ということでまず揚げ物用に必要な物を購入しにホームセンターに行く。

 まずは揚げ物用の鍋を探してみるが……。


「あれ。それっぽいのがないな」


 フライパンと圧力鍋とかはあるけど、揚げ物専用のガッチりした鍋が見つからない。

 悩んだのでここは文明の力、スマホンの出番である。

 調べてみるとフライパンでもできないことはないみたいだった。 

 商品の前で立ったまま、考えこむこと数分。

 フライパンでやることにしたのである。

 ということで鍋を買うのをやめ、他に必要な物、キッチンペーパー、温度計、油固める用の粉と紙皿を購入する。

 さっと店を出で今度は近くのスーパーに食材を買いに行く。

 パン粉はあるので小麦粉と卵を籠に入れる。あと予備の油を追加して終了。

 食材というよりほぼ調味料だったけど、これで必要な物は買い終わった。


「さてと」


 私はまな板の上にささみをドンと置いた。

 ささみは筋とりをしないといけないらしい。ということで筋を見つけて包丁を入れる。そしてスパッと切り取ることができればいいのだが、そんなことはできずに、グリグリと包丁を動かしながらゆっくりと切り取る。

 それを三つ切り取ると、ひと切れはそのままにし、あと二切れは三等分した。

 そして切り分けたささみに塩コショウを振ってとりあえず、別のところに置く。

 次に紙皿を小麦粉用とパン粉用を作り、そしてささみの入っていたトレイに溶き卵を流し込み、衣作り準備完了。

 切ったささみを持ち上げ、まずは小麦粉を満遍なくつける。次に卵に絡めていき、最後にパン粉を大量につけた。

 できたものは一旦別の皿に置いておく。

 次のささみ、そして次のささみと一つずつ小麦粉、卵、パン粉の順に付けていった。

 全部終えると「ふうと」一息ついた。

 あとは揚げるだけなのだが、一人で揚げ物をしたことのない私は、ちょっと緊張してしまう。とはいえここまで準備してしないのはさすがに阿呆なので頑張ることにする。

 フライパンを置き、そこに油を少し浸すくらい入れる。

 そして火をかけ、温度計を突き刺す。

 だいたい百八十度が目安らしい。私は片時も目を離さず温度計を凝視した。


「ひゃくにじゅう。ひゃくさんじゅう。ひゃくよんじゅう……」


 若干ホラー気質なのはおいといて、丁度百八十度になったときに、火を弱火にして作ったささみを菜箸で挟み投入した。


「……ん?」


 私は揚げ物っは綺麗な黄金色になると想像したのだが、最初に投入したささみが早くも黒っぽくなっている。

 すぐさま皿にあげようとしたが、後から入れたささみがそこまで黒くなっていないのを見て、菜箸を止めて考える。


「温度を見て入れるのに若干時間が空いたからその間に熱くなったのか」


 という結論を導きだした。結果あながち間違いではなかった。

 後々に追加したササミは良い色合いになっていたのであった。

 それらをキッチンペーパーの上にのせていった。

 全部のせおえて、コンロの火を切った。

 さっと片腕で汗を拭い。ふっと息をつく。

 黄金色に揚げたササミカツの中に、何個か混じる黒っぽいやつ。まあ初めてにしては上出来なのではないだろうか。

 ということですぐにテーブルに運んでいく。

 ご飯とササミカツとお茶をテーブルの上に並べて、手を合わせる。


「いただきます」


 言い終えるとすぐにササミカツにがっついた。

 衣のサクッとした食感に、中から溢れるササミの柔らかさとあったかさと、脂身がフアッと口の中に広がる。出来立てでしか味わえないこの味と食感に感動する。

 バグっ、バクッと食べていく。


「うめえ!」


 口直しにご飯を挟み、またササミカツを食べていった。

 あっという間に完食した。

 そして最後にシメのなたまめ茶をイッキに飲んだ。

 今日も飲まずにはいられない。

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