表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
定時退社の男  作者: 三箱
11/23

「オムライス」

 ある日。

 ふとオムライス食べたいと思った。

 仕事の現場から車で帰っているあたりで。

 最近ふと食べたいもの多すぎだろと、ツッコミがありそうなのは承知である。私は気まぐれに過ごしていくのが好きなんだと、こんなところで宣言しておこう。

 だからふと降りてきたもので大半の夕食は決まる。

 ということで今日はオムライスである。

 ドタバタと音をたてながら家に上がり、そのまま手だけ洗いってから米を洗う。そして洗った米を炊飯器に入れて蓋をし、ボタンをポチっと押す。

 一旦風呂に入って済ませて台所に戻る。


 ピッピー。ピッピー。


 丁度炊き上がった音が鳴った。

 ガチャっと冷蔵庫を開けて、玉ねぎを取り出す。そしてまな板の上にのせて、みじん切りをする。

 但しみじん切りの正しい方法を知らない私は、玉ねぎに適当に切れ込みを入れてから適当に包丁を動かして刻む。

 そういえば子供の頃玉ねぎを切っていたら涙が出ていたのに、最近出なくなったなと思いつつトントンと音を鳴らして刻んでいった。

 若干粒が大きめだが、とりあえず完了する。

 冷蔵庫からひき肉300グラムを出してラップを開く。フライパンに油を敷いて中火にする。温まったところで、ひき肉を投入しようとする。


 バサッ!


「あ。あああああああ!」


 何が起きたかと、私の絶叫が想像できただろうか。


 そう。ミンチをコンロにぶちまけたのであった。

 急いで火を止めこぼれた挽き肉を救出する。

 菜箸を使って一つずつ拾っていく。

 コンロの奥の方まである。しかもコンロは熱いので思うように進まない。相変わらずのドジッぶりであった。

 十分位の時間を要して、ようやく救出した。

 体力の三割を持っていかれた状態で再開する。

 挽き肉を炒め、赤色が消えたくらいでみじん切りした玉ねぎを入れる。そして玉ねぎが小麦色になった辺りで米を投入し炒めていく。

 若干のフライパンの重さと炒めにくさに苦戦しつつも右腕の腕力を駆使して炒める。

 塩コショウをふ振って、ケチャップを適当にかける。そしてまんべんなくケチャップの色が浸透したところで一旦火を止めた。

 戸棚から少し小さめのフライパンを取り出して別のコンロで火にかける。冷蔵庫から卵を取り出して割りお椀に入れて、全力でかき混ぜる。温まったフライパンに油を敷き、溶き卵を静かに流す。綺麗に円になるようにフライパンを動かす。

 そして上から作ったケチャップライスをのせて、火を止める。

 隣に皿を起き、沈黙する。

 フライパンの持ち手をしっかりと掴む。 

 ここから始まる一瞬の勝負。


「おりゃ」


 皿に向けてフライパンをひっくり返した。 

 結果。


「……ふぅ」


 何とかなった。

 卵は綺麗にご飯を包みオムライスの形になっていたのであった。

 一波乱あったせいか、普通の人の倍は疲れた気もする。でもやり遂げた感もあるので、結果オーライかなと思った。

 そしてさくっともう一つ作り、オムライスを二つ完成。

 テーブルの上に置き、できたオムライスの上に適当にケチャップをかける。

「いただきます」としっかりと両手を合わせたところで、さっそくスプーンを掴む。卵の膜をスッと切り、ケチャップライスと卵をすくいパクっと食べる。

 プルンと厚みのある卵に、ケチャップライスの味が染み渡る。二つの相反する味の応酬に舌は踊り出す。

 

「うまい」


 バグバクとスプーンで掬っては食べて、掬っては食べて、どんどん食べていく。

 無言で一心不乱に食べていく。

 気がつくと二つの皿は綺麗になくなっていた。

 オムライスは年をとっても変わらず美味しいものだな。


 美味しいものを食べたあとも飲まずにはやってられない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ