大吾とパパーズ①
●前回のあらすじ●
マールちゃんのたんこぶは三段あってアイスクリームみたいだった。
皆はいい事と悪い事、二つの出来事があったらどっちから先に聞きたいだろうか。
上げて落ちるパターンか落ちて上がるパターンか。
今回は最近俺たちの間で上げて落とすパターンが多いので、先に悪い事、後にいい事を話そうと思います。…と思ったんだけど、悪い事の内容がいい事の内容を聞かないと分からない事なので今回もいい事を先に上げて落とすパターンになります。
そんな訳で早速いい出来事。
この度、ケイやチハ、ユリさん、オリオンさん家族、ナンシーさんギルさん、アンナにも手伝ってもらいアジトを手に入れる事が出来ました。
メアも本業の合間を縫っては掃除の手伝いをしてくれたし、シオンもサンとルナと仲良くなってバニラと一緒に遊んでくれた。
そんな事もあり埃まみれだった廃教会と住居用の別館が見違えるほど綺麗になり、廃教会は『聖マール大聖堂』として生まれ変わり、住居用の別館も住めるようになりました。
そこで大活躍だったのがケイの『アイテムクリエーター』。
想像した物を作り出す事が出来る能力でベッドやテーブル、椅子などの家具から教会用の長椅子や祭壇などを作ってもらった。
スキルと言っても何度でも使えるわけではなく、対象が大きかったり繊細な作りの物だったら消費MPが多いらしく休憩を挟みながら作ってもらいました。
さすがに悪いと思ったのだが、チハのお礼もあるしこれくらいやらせてくれ、と無償でやってくれた。有難い事です。
ちなみに天使に戻ったチハも相変わらずちっぱいで元気そうでなにより。
俺が開けた天井の穴も天使の羽でパタパタ飛んでマールと一緒にWちっぱい天使で塞いでくれた。すまんのぅ。
と、まぁいい出来事っていうのはこんな感じです。
そしてそんないい出来事を落とす悪い出来事。
悪い出来事って言うか困った事なんだけど、如何せん教会と別館を俺、マール、ヴィヴィ、スズラン、シオン、バニラで管理するのは非常に大変だという事。
とにかくデカいし広いので掃除が大変なんだ。
庭もあって折角刈った芝生もバニラが埋まるくらい伸びるのも時間の問題だし、ピッカピカにした教会内や別館が埃まみれに戻るのも時間の問題だった。
更には今までナンシーさんがやってくれた家事も持ち家を持つことで俺たちが全てやらなくてはいけなくなり、その分家事に時間を取られてクエストの時間もマール教の布教の時間も無くなってしまう。
何よりマールちゃんの生活サイクルが狂ってしまっている。
マールの朝はナンシーさんのおにぎりの匂いで始まるものだから。
「そんなわけでメイドさんを雇おうと思う」
「ヴィヴィさんに借金してるのに収入が減るのは申し訳ない気持ちでいっぱいです…」
しゅんとする俺とマール。
俺も元にいた世界で一人暮らしはしていたけどそこまで生活力が高いわけじゃないし、マールやヴィヴィ、スズランも料理スキルは皆無に近い。
料理をしないと上達はしないけど、それでも目標となる先生が必要だと思うの。
「あたしは別に気にしないよ。お金もいつだっていいし、皆で楽しく暮らせる方が全然いいからね」
そう言ってくれるヴィヴィちゃんマジちっぱい魔王。
ありがてぇありがてぇ。拝もう。拝んだ。
「でもだいご。そんな都合よくメイドなんて見つかるの? いえ、仮に見つかったとしてもだいごの舐めるような性的な視線に耐えられるの?」
「お前を舐め回してやろうかスズランちゃん」
「そう。じゃあ私もだいごのを舐め」
「ごめんなさい。俺が悪かったです」
大体なんだよ性的な視線て。
俺が性的な視線を向けるのはちっぱい女子だけだ。今はその視線をスズランに向けている。
「コメットさん知ってるだろ? オリオンさんの奥さんでサンとルナの母親の」
「私たちだけでは飽き足らず人妻も守備範囲なんて性欲の化け物ね、だいご」
「コメットさんはダメですよ大吾さん! オリオンさんもサンくんもルナちゃんも悲しみます!」
「そうだよダイゴ、落ち着いて! まだ牢屋に入りたくないでしょ?」
「お前ら俺の無尽蔵の性欲の捌け口にしてやろうか」
「ひっ」
ヒシッっと抱き合ってあわわわ…するマールとヴィヴィ。
スズランだけはトロ顔で俺を見て来ます。ヤバイ(本能)。あまりスズランを刺激すると一緒に住むようになった手前、皆が寝静まり帰った深夜とか危ないかもしれない。
「そうじゃなくて教会を開放する以上誰かいないといけないし、別館の警備から家事まで何でもこなせるスーパーメイドさんにコメットさんはぴったりなの」
コメットさんはCランクの剣士。
腕も立つし怪我をする前はオリオンさんと一緒に共働きで子供に留守をさせている事からサンとルナが心配って前々から言ってたし、お金が出るなら子守り兼仕事のメイドの仕事を引き受けてくれた。
しかも美女であるからメイド服とシスター服を日替わりで着てもらったら教会の人気も出そうだ(ゲスの考え)。
サンとルナにもショタ執事とロリメイドとして各方面に受けがいいように出来る(ゲスの極み)。
しかしそうなると心配なのが三人分の給料。
ヴィヴィならまだしもDランクの俺とマールではとてもじゃないが自分の生活費、ヴィヴィへの借金返済、三人分の給料、将来の貯蓄を二日おきに受けるクエストでは補えないので。
「うわー! 凄いぞルナ! 部屋が広い!」
「ひろい! ひろい!」
スッタター! と部屋の中を走り回るサンとルナ。
はい。そうです。
現金が出せないので物資(住居)で手を打ってもらいました。
この別館は全八部屋あり、俺、マール、ヴィヴィ、スズラン、本業の都合で住めはしないけどメアと部屋を振っても三部屋余るのでその内の二部屋をオリオンさん一家にあげました。
聞けばオリオンさん達も宿屋生活みたいだし。
持ち家があればサンとルナも廃教会(現・聖マール大聖堂)に預けないしバニラもシオンもいるし庭もあって遊ばせられるし丁度良かったみたい。
でもさすがに一家で一部屋だと狭いのでメアに頼んで壁をぶった斬って二部屋を大部屋一部屋にしてもらった。
これなら四人でも十分広く使えるし、サンとルナが大きくなって個室を欲しがったら俺たちと部屋を交換すればいいしね。俺とマールちゃんが一緒の部屋になればいいしね。大賛成だね。
そんな訳で俺とマール、ヴィヴィ、オリオンさんがクエスト要因。
スズランはギルド受付嬢。
コメットさんとサン&ルナが執事とメイドで家事や教会の掃除などの分担になりました。
で、時間を見つけてコメットさんの家事スキルを教えて貰えれば将来オリオンさん一家が一軒家を建てて別館を出ても暮らせて行けるからね。
「大吾さんって前は人の上に立ってるお仕事してたんですか?」
「え? 俺まだ24だぞ。社会人二年目のペーペーだよ」
「その割にはお仕事が出来ると言いますかキッパリ割り振るって言いますか容量がいいと言いますか」
「惚れ直してくれたんだねマールちゃん」
きゅっとマールの可愛いおててを握る俺。
ぷにぷになおてては小さい可愛い柔らかい頬擦りし、はっ! オリオンさん一家がいるんだった。
サンとルナには優しいお兄ちゃんで通ってるから頬擦りは夜にしようね。
そういえばもうこれからは各々の個室になるからマールちゃんとは一緒に寝れないんだ。
俺とマールの部屋もメアに頼んで壁ぶった斬ってもらおうかな。
怒られるかと思ってマールを見てみたらほっぺをほんのり染めてジト目で睨まれてました。
心臓が口から飛び出てから破裂した。
―――
そんな日の夜。
俺たちはコメットさんお手製の夕食を済ませて風呂タイムの順番待ちをしていた。
風呂が家にあるのは素晴らしい事なんだけど、公共風呂みたいに大人数で入れるような大きさではさすがにないので一人ずつ入る事になる。
今日の順番はオリオンさん&サン、コメットさん&ルナ、マール&バニラ、ヴィヴィ、スズラン、俺&シオン。
シオンはお風呂必要なのかと疑問に思ったけど、公共風呂に連れて行った時に『ほぇ~…って気持ち良さそうでした』ってマールが言ってたので俺たちが順番で入れてあげる事にした。今日は俺の番。
ってバニラてめぇ。
何でマールちゃんと一緒に風呂入ってんだクソ。変われ、マジで。
マールちゃんの素肌を拝んでいいのは俺だけだぞ。
俺以外の男が見ようものなら寝首を掻かれても文句言えないレベル。
でもバニラは狼だから命を取るまではしない。
その代わりマールちゃんの生ちっぱいがどれだけ神聖なものだったか教えて下さい。高級串焼き奢るから(必死)。
てな妄想をしているといつの間にか俺の番に回って来てた。
リビングって言うかちょっと広い公共スペースも別館にはあるので、そこでシオンの事を高い高いして遊んでたらスズランが部屋着姿で言いに来たから。
…ふむ。
私服とギルド服姿はよく見るけど部屋着姿はなかなか新鮮だ。
マールもそうだが女の子は寝る時ブラをしないと聞くけど、スズランもそうなのかいつもよりもお胸様が小さく見えて可愛い。
「だいご。見惚れるのはいいけどそれ以上見ると孕むわよ。孕まさせるならもっと生活が安定してからにして」
「孕むとは」
見ただけで孕むかよ。
見惚れてたのは認めるけど、そんな格好で俺の前に現れるのが悪い(自己正当化)。
「私たちが入ったお風呂のお湯を全部飲んでお腹を壊さないかちゃんと見ててあげてね、しおん」
「ぱぱ、めっ!」
ぷんぷんと可愛く怒るシオンと優しく撫でるスズラン、って何でやねん。
風呂のお湯はさすがに飲まないよ? ちょっと嗅ぐくらいはするかもしれないけど飲まないよ?
信用がない俺は心を癒す為にシオンを抱っこして風呂場へと向かった。
スズランは俺の事をただの変態だと思ってるようだけど、俺ほど紳士的でちっぱい女子に優しい男もそうそういないぞ?
だがこれも李下に冠を正さず、普段の行いなのだろう。
なので俺はこれから先は紳士的に大人の男、クランのリーダー、シオンのパパとして立派に生きて行こう。
と思ってた時代が俺にもありました。
脱衣所の扉を開けるまであれ程決意した心が早くも試されている。
何故。
何故脱衣所にこれ見よがしに脱ぎたてほっかほかパンツが落ちているのだろう。
一体誰だこんな罠を仕掛けた奴は!
サイズからしてマールかヴィヴィかスズラン…って落ち着け、今の俺はシオンを抱っこしている為まだシオンにはパンツの存在を知られてはいない。
ここは迅速且つ冷静にこの試練を乗り越えるんだ。
このまま完スルーするのは簡単だ。
しかしそれは逃げだ。
アダルトな俺はパンツに逃げるほど落ちぶれてはいないし、負けるわけにもいけない。絶対に負けられない戦いってやつだ。
なので俺は静かにシオンを降ろして速攻パンツをポケットにしまっ…はっ! こ、この視線…はっ!
「…」
「…あの」
「気にしないで、続けていいわ」
脱衣所のドアの隙間からスズランが覗いてるんですがそれは…。
いや、知ってたよ?
実は既にスズランのパンツは一点頂いてますし、それとよく似たパンツ様だったから見た瞬間『あっ…(察し)』ってなったけどね?
俺はパンツを、脱ぎたてほっかほかパンツを拾ってスズランに渡した。
「食べないの?」
「食うわけあるかよ」
「ちっ」
マジで俺の事なんだと思ってるんですかね。
パンツは食い物じゃないだろ。飾って見るものだ。
そういえば俺のコレクションどこにやったっけな。
ナンシーさんの宿から引っ越す時に全部まとめて箱に入れたけどまだ見てないや。
あとスズランちゃん今舌打ちした?
そんなスズランは俺からパンツを受け取るとドアを閉めて部屋へと帰って行った。
「んー…、んんー…」
ふと足元に目をやるとシオンが服を脱ごうとしているが頭に引っ掛かってバタバタしてた。
あぁぁ…、ごめんなシオン。今脱がすからね。バンザイしてね。
「…ぱぱぁー♡」
ぱぱっと服を脱がすと視界が塞がれていたシオンが満面の笑みです。
可愛いのぅ可愛いのぅ。
てな訳で素早くシオンをすっぽんぽんにして俺も裸になります。
「…」
「…なに?」
「ぱぱぁー。しーもそれ欲しい」
「これはあげれません」
「ふぇぇぇ…」
シオンは自分の事を『しー』って言う可愛いってそうじゃねぇ。
俺のユニコーンの角をぴっと指してそんな事を言って来たけどキッパリ断りました。
風呂場に入った俺とシオンは背中の洗いっこをして一緒に風呂に浸かった。
やっぱり風呂に入った時にシオンは『ほぇ~…』って言って気持ち良さそうだった。
―――
「マール。シオン風呂入れたぞ。一緒に寝てあげてくれ」
「ありがとうございます。大吾さん」
風呂から上がった俺はシオンを連れてマールの部屋へ。
シオンの寝床は基本ランプなんだけど、外でも寝れない事はないのでアジトを持ってからは誰かと一緒に寝るようにしてる。
それなら結界いらないんじゃね? と思うかもだが、ランプがないとご飯である魔力水があげられないので結界を消すわけにはいかないのだ。
で。
部屋から出て来たマールちゃんはいつものキャミソール&ショートパンツの部屋着。正直たまらん。
「バニラは?」
「バニラはサンくんとルナちゃんが一緒に寝たいっていうのでそちらに」
「そうなんだ」
ほっと一安心。
一緒に住むようになるとバニラはマールにハムハムされながら寝るっていう羨ましい問題が出るからね。
「バニラがいないからってシオンの事ハムハムしちゃダメだぞ」
「わたしバニラだってハムハムしてないですよ?」
「え?」
まぁマールちゃんは寝てるからね。知らないよね。多分バニラアイス食べる夢を見てるもんね。
シオンは何かな?
小さいしぷにぷにほっぺだからスズランみたいにマシュマロかしら?
スズランと違ってほんのり褐色肌なのでチョコマシュマロかもしれん。
「じゃあ俺も明日に備えて早く寝るとするよ。マールもシオンも早く寝るんだぞ」
「明日はクエストの日ですもんね!」
「ぱぱー。んー」
シオンの必殺技であるバンザイからの抱っこおねだり攻撃。
これを受けて抱っこしない者はいない。
俺も例外ではなくひょいっとシオンを抱っこします。
「ぱぱー♡ ねんねー♡」
そう言ってシオンは俺とほっぺを合わせてすりすりする。
シオンがランプの外で寝るようになってからこれをするようになったけど、可愛すぎて皆に真似して欲しいレベル。
「そんな訳でマールちゃんも俺にほっぺすりすりし」
「では大吾さん。また明日」
「あっ…」
ひょいっとシオンを抱っこしてドアを閉めるマールちゃん。
つれないマールちゃんも可愛いよおおおおおお。
………。
……。
…寝るか。
俺は肩を落として自室へと戻ってベッドインした。
マールが隣にいない部屋はがらんっとして寂しい寒い早く会いたい。
「そう言えば」
チラリと部屋の隅へ視線を向ける。
ナンシーさんの宿にいた時は結構な確率でヴィヴィが大の字で張り付いてたけど、さすがに一つ屋根の下で一緒に住むようになったらいないだろう。
「…」
「…」
「…」
「…」
………なんか、おる。
なんかって言うのはなんかだから。
ヴィヴィじゃないなんかだから。
そこに居た『なんか』は、ヴィヴィのように大の字で壁に張り付いていたのだが。
そのなんかは、銀髪で、褐色で、手足が長くて、ただヴィヴィとの決定的な違いは上半身裸の細マッチョなダンディーな男だった。
そして俺とバッチリ目が合ったダンディーな男は、
「やぁ」
と言ってニタァと笑った。
その笑顔を見た俺は、
「ぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
と可能な限りの大声を上げた。
効果があってかドタドタドタと足音が聞こえてバンッと俺の部屋のドアが開かれた。
俺は眼鏡を無くした小学生みたいに目を3にして四つん這いでその人のちっぱいへダイブした。
怖かったよマールちゃあああああああああああああんんんっ!!!!!
あぁ…、気分が落ち着きます。
俺のマールちゃんはこんなにもちっぱい可愛い良い匂い…ん?
いや、待てよ?
この感触…マールちゃんのものではないぞ?
マールちゃんの神聖なちっぱいはもっと大きいリンゴちっぱいな気がする。
でも俺が今、顔を埋めているこのちっぱいはリンゴちっぱいより小さいミカンちっぱい。
こ、このちっぱい…はっ!
「ど、どしたのダイゴ。そんな慌てて」
ふよん、と顔だけミカンちっぱい様から離すとそこには頬を染めたヴィヴィがいた。
さすがAGI値がギルド史歴代最高の持ち主。行動が早いですね。
そのヴィヴィの後ろにマールやスズランがジト目で見てます。
これはヤバイので俺は早速言い訳をする事にした。
「違うんだ、聞いてくれ皆。俺が寝ようと思ってパッと上を見たら壁に誰か知らない男が張り付いてたんだよ」
「え?」
俺の言葉を受けて部屋を見上げるちっぱいガールズ。
俺も一緒に目線を上げるとその男がまだ張り付いててくれて助かった。
結構な大声だったし、ビックリしていなくなってしまったら俺が嘘を言ったと思われ
「あれ。お父さんじゃん。何してんの」
る方がよかった。
だってさっき見たニタァとした笑顔は変わってはいなかったが、血管が浮き出る程ピキピキしてたのだから。
現れるっ…! ヴィヴィパパっ…!




