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大吾とアジト⑤

●前回のあらすじ●

天使も堕天使もちっぱいだった。



 このチハという武闘家…、(まこと)に強いッ!

 ちっぱい女子に対し防御力0になってる俺は三つ輪のクローバーのクラン長という立場でチハのスキルである『反逆の狼煙』のリーダー、ボスモンスターに対した時自身の能力を50%向上させる効果も上乗せされて一発一発がワンパンされるレベルです。

 モンスター相手だけじゃないのかと思ったけど、マールに天使の目で視てもらったら能力がアップしているらしいのでバフがかかっているのは間違いないらしい。

 曖昧な発動条件であった。

 反逆の狼煙はめっちゃ仕事するスキルだった。

 早く帰りたいからって時間外で仕事する人がいるけど、それをやってしまうと上司は『何だもっと出来るのか』と思ってより多くの仕事を振られるから注意してね?

 あまりマイペースなのも考えものだけど、一般サラリーマンには程々が一番なの。

 休憩時間にはしっかりと休憩して、担当じゃない仕事は受けないで他に回さないと自分の首が絞まるだけなの。

 …さて。

 俺のサラリーマン時代の話はこの辺りにしておいて、今は目の前の状況を何とかしよう。

 ちなみに天井に突き刺さってた俺はマールちゃんに助けてもらいました。

 教会といったら天井が高い所が多いし、この教会も例に漏れずだったので自分で頭を抜いて降りると着地した時に足ぐっしゃあするから。

 だからマールちゃんが天使の羽でパタパタ飛んで支えて降ろしてくれました。

 ありがとうマールちゃん。あとでだんだん焼き買ってあげようね。結構買ってあげる数が増えて行ってる気がする。

 そういえば、昼間ここで見つけた黒い羽。

 結構前にどこかで見たなと思ってたけど色が違うだけでマールの羽にそっくりだったんだ。

 それはそうか。

 同じ天使。同じ羽を持つちっぱい天使なのだから。

 この異世界で見たのはエメラルドマウンテンでコーコー鳥を空から探してもらった時以来だったのですっかり忘れていたよ。

「ケイが捜してる天使はどんな巨乳なのかと思ったけど、アタシとそんなに変わらないじゃん」

「え? もしかして黒のフード被って街中で金髪の女の子の顔見てたりした?」

「天使の目で確認してただけ。普通の人間ばっかで空振りだったけど」

「この! お前のせいで俺はとんでもない冤罪を着せられるところだったんだぞ!」

「李下に冠を正さず、って諺知ってる?」

「知ってるけど! そもそも何で見て回ったのを金髪巨乳にしたし! つか何で自分の事だと思わなかったし!」

「だって、ケイが大きい胸が好きだって思ったから…」

 タワワニ・ミノルのメンバーたちの胸もずっと見てたし、と。

 いや、多分だけど驚きのあまり見てただけだと思いますよ?

 ちっぱい大好きな俺でもニュウバックさんのちっぱいレベル0の爆乳には驚きのあまりつい目で追ってしまう事もあるから。

「堕天使になってでも陰ながら守りたいと想ってる男の事を何も知らないとは」

「うっさい! アンタだって人の事言えんの? ちっぱいちっぱいって言うしか能が無いくせに!」

「俺に対してその返しをするとは愚かな。じゃあ教えてやるけど、マールちゃんの朝は今俺たちが泊っている宿屋の女主人であるナンシーさんのご飯を炊く匂いを嗅ぐ事で始まるんだ。俺は全く感じないが、嗅覚が犬並かそれ以上のマールはおにぎりの具材までもその場で嗅ぎ分ける事が出来る。その後は数分寝袋の中でウトウトしたらしきりに俺の様子を窺い始めるんだ。これはマールが毎朝欠かさずやっているちっぱいサイズチェックの為。嬉しいことにそのサイズは全然大きくなってなくて毎朝溜息を聞く事になるけど、俺からすれば何故溜息を吐く? と思うわけ。で、そのちっぱいチェックが終わったらマールちゃんは鬱憤を晴らすように俺にのしかかるんだ。起こしてくれるのは嬉しいし乗ってくれるのも嬉しいんだけど急に来るもんだからおえっ! ってなるんだよね。その後は二人でおにぎりを食べに一階に降りる。マールは決まって右側のおにぎりから手を付けるな。マールがおいしそうに食べるもんだからナンシーさんもちょっと大きめにおにぎりを作ってくれるけど、それが返ってフルもっふ族のマールちゃんに火を点けるのか頬張るレベルも段々と上がって来ている。ちなみに毎朝の一口の大きさでその日のマールの体調が分かるまでになったぞ。おにぎりに対し三割程度なら不調、半分なら普通、一気なら絶好調といった具合にな。ちなみにマールの一番のお気に入りは今のところは胡麻と鮭のおにぎりだな。それを食った時だけいつもの『ふまぁ~♡』が『ふんまぁ~♡』だったし、パンパンほっぺもとろけていたから間違いない。言い忘れていたけどマールは朝飯前には着替えを済ます。今の下着は上下お揃いの淡いブルー」

「わーっ! わーっ! 大吾さんわーっ!」

 ドシーンと背中に衝撃。からのダイナミック反転マウント。からの胸ぐら捕まられガックガク。

 おぉぉぉ…、マールちゃん今日も激しいよぉぉぉ…。

「何でそこまで知ってるんですか! 確かに胡麻鮭のおにぎりが一番おいしかったですけど!」

「ナンシーさんが洗濯してくれる際、マールちゃんの下着を皆から見えないように干すようにしてるけど唯一俺たちの部屋の窓からは見えるんだ。そこでマールが持ってる下着を逆算すれば今現在どんな下着なのかはわかるよね?」

「わかるよね? じゃないです! 何、先生ぶってるんですかー!」

 ガックガクガクガックガク。

 おぉぉぉぉ…、世界が揺れる。マールちゃんのちっぱいは揺れない。

「これで分かっただろ。俺が如何に知っているのかを」

「そんな格好で言われても説得力ないんだけど」

 うん。

 今の俺はマールちゃんにマウント取られて床にコローンしてる状態だからね。

 天井に刺さるか床に転がるかしかしてない俺はただの間抜けであった。

「アンタも大変ね。こんな変態に好かれちゃって」

「おい。誰が変態だ誰が。俺の事を言ってるなら今すぐ訂正むぐっ」

 チハに反論しようとしたら何かに顔を覆われた。

 いや? 覆われたというより踏まれた?

 これは…、スズランのあんよ!

 しかも足裏の温もりが直に感じる裸足でぺったり踏んできます。って何すんだいきなり。とある業界じゃご褒美だろうけど。

 視界が無くなる前に一瞬見えた純白の布は俺の秘蔵コレクションに似ているものだった(受け取り済)。

「この男が変態か否かと言われれば確かにそうでしょうけど」

 スズランちゃん普通に話し出した。

 話が前に進まないから見兼ねて出てきてくれたのかもしれないけど、俺の口を塞ぐのに足で塞ぐのはやめてね? しかも俺の変態容疑を否定じゃなくて肯定した?

「変態でちっぱい好きで女誑しなだけじゃないのよ、だいごは。何も知らないくせに知ったような口を利かないで欲しいわね」

「もごもご…」

「ちょっとだいご、くすぐったいわよ黙ってて」

「もご…」

 怒られて黙る俺。

 年下の女の子に顔を踏まれて黙る俺。

 ところでスズランちゃん今俺の事庇ってるの? 更に上から貶してるの?

「私にはあなたとけいがどういう関係なのかは知らないし、私とだいごに関係ないならお好きにどうぞって感じだけど」

 じっとチハを見るスズラン。

「運が良かったのか悪かったのか諦めるしかないわね。だいごに目を付けられて逃れられるちっぱい女子はそうそういないと思うわ。だってだいごはそういう人だもの。自分よりも相手の事を優先する、と思ってる。思ってるだけね。本当は欲望に忠実で、己の性癖の為なら手段を択ばない変態だけど」

 あれおかしいな。下げられてばっかだ。

 そろそろ上げが欲しいと思う俺なのであった。

「でもどういう訳か、一緒にいるのはそんなに苦じゃないのよ。楽しいし、私の事もちゃんと見てくれているし。絆のアーティファクトを手にしてわかったわ。人は絆で繋がっている。一緒にいて、一緒の時間を過ごすのが一番嬉しい事なのよ。あなたはさっきから一緒にいても何も出来ないって言ってるけど、一緒にいる事が出来るじゃない。これはとても大切なことよ」

 違うかしら、と。

 違わないと思うけど俺の顔を踏むのは違うと思うな。

 急なマジモードだから足裏ペロペロしてどかす事も出来ないじゃねーか。

「チハ様」

 ザッっと一歩前に出る(予想)メア。

 その声もさっきまでのあわわわな声ではなく、マジトーンだ。

「私もダイゴ様やマール様、スズラン様、ヴィヴィ様、バニラ様、そして…シオンと行動を共にするようになり心に安らぎを感じました。チハ様も感じていた筈です。ケイ様と共にした時間の中で、安らぎを。だから今も、その安らぎをくれたケイ様を守ろうと献身されている。それはとても素晴らしい事。私も見習わなければなりません」

 しかし、と続けるメア。

「ケイ様のお気持ちも汲んで差し上げるべきです。ケイ様はチハ様と離れてまで冒険者を続けたいと思われていたのでしょうか? 聞けばケイ様のお店は冒険者向けの武器防具雑貨などを扱っているお店だとか。ケイ様のスキルならば他にも色々な道があった筈。しかしそこへ生業の場を移したのも武神の天使であるチハ様を想っての事なのではないでしょうか?」

 ケイの能力である『アイテムクリエイター』は自分が想像する物を出す事が出来る能力。

 もしもマールちゃんがこんなスキルを得た日には街の飲食店が悲鳴を上げるレベルのチートスキル。

 しかしケイは他の店が潰れるような営業はしていないし、恐らくだがギルさんの店にカップラーメンを卸してるのもケイだろう。

 そんなケイがわざわざ武器防具を扱う店を開いたのは冒険者をターゲットに金を得たいからじゃない。

 武神の天使であるチハなら武器の扱い方はもちろん、防具の重要性やアイテムの使い方なども冒険者にアドバイス出来るのではないか、と。

 前にクランの勧誘をした時に聞いた話だけどケイは金よりちぱ子と一緒にいたいって思ってたからな。クランも二人で作ろうって話をしてたって言うし。

「うっ、うぅ…」

 スズランとメアの言葉を受けて揺れるチハ。

 揺れると言っても心がです。お胸様ではありません。今は真面目なシーンなので。

 だがここまで言って折れないのは武神の天使としてのプライドか、もしくはケイの事を信じきれていないのか。

 後者だったら俺たちにはどうする事も出来ないけど、前者なら。

 武神の天使のプライドなら折る事は出来る。

「ももも…」

 ポンポンとスズランの足とマールの腰に『どいて』のアピール。

 思ったけど今の俺は床に転がってマールに跨れてスズランに顔を踏まれてるって。

 なかなかであった。

 シオンが寝ててくれて良かったよ。パパのみっともない姿を晒すわけにはいかないからね。

 そして解放される俺。

 解放ってのは語弊があるな。

 マールちゃんに跨れてるのは嫌いじゃないし、スズランのあんよにも正直興奮してました。

「こういうのはどうだろう」

「何よ変態」

「…」

 グサッと刺さる。

 確かにさっきまでの俺を見てたのなら変態と思うかもわからんでもないけど。

 でもそう思ってても口にしないのがアダルトなマナーじゃありませんか?

「俺とお前で一対一の勝負をする。もし俺が勝ったらもう一度ケイと話す」

「…アンタマジで言ってんの? 勝てると思ってる?」

「そうですよ大吾さん! また秒で『*』になるだけですし、危ないのでやめて下さい!」

「またぷーぷー言いたいの? 持ちネタも見せる頻度が多くなると滑るだけよ」

「ダイゴ様でこれ以上教会に穴を開けるわけには参りません。ここは私が」

「仲間内からも信用がない。辛い」

 でも辞めない。

 ここがこの話のターニングポイントだから。

「どうするんだ?」

「別にいいけど、アタシが勝ったら?」

「絶対に勝てない。何故なら俺は『ちっぱいの神』だから!」

 ドッっと気を放つ。

 武神の天使からしたら何やってんのって思われるかもしれないが、俺は右手にありったけの想いを乗せて、


「マーーーーーーーーーーーーーーールッ!!! 俺の『愛』をッ!!! 受け取れえええええええええええええええええッ!!!!!」


 ぷにっ。)3(。

 全力でマールのほっぺをぷにっとした。

「むふー」

 むふむふマールちゃん可愛い。もっとぷにぷにしたい。した。ぱぱぱぱって音がする。

「…何してんの?」

 拳で語り合うと思ったチハからのジト目。

 その目はごもっともだけどこれは俺の勝利へのプロセス。

 俺はちっぱい女子に対してのみチート染みた能力があるちっぱいの神でありながら、ちっぱい女子には手を出せないというボトルネックの職ボーナスがある。

 それは『ちっぱい慈愛』の能力。

 その能力はちっぱい女子に対し攻撃を行う事が出来ないというもの。

 正直こんな能力が無くたって尊く儚い存在であるちっぱい女子に手なんて上げないからいらないんだけどね。手を上げないだけで手は出すけど。この違いは重要ですよ。

 で。

 今のマールへのほっぺぷに。

 ちっぱいの神本来の『自分の能力を一時的に相手に分け与える事が出来る』スキル。

 そう。

 能力を分け与えるのは何もステータスだけじゃない。

 スキルだって能力の一つだ。

 だから俺はマールに『ちっぱい慈愛(ちっぱい女子に攻撃不可』と『ちっぱい弱点(ちっぱい女子に対した時防御が0、DEX、AGIが50%ダウン)』をマールに与えた。

 つまり今まで重くのしかかていた足枷が切れ、ちっぱいの神本来の力が目を覚ます。




 青木 大吾(24)【ちっぱいの神】 


 レベル:1

 ※職ボーナス『ちっぱい特攻(STR、INT、DEX、AGIが元気100倍)』発動中 


 HP…157→157

 MP…42→42

 STR…37→3700

 DEF…67→67

 INT…17→1700

 MND…67→67

 DEX…12→1200

 AGI…57→5700

 LUK…9→9




 圧 倒 的 、神 ! ! !

 今までもこのステータスは変わらなかったが、ちっぱい弱点を持っていたが為にボコボコにされていた。

 しかもこっちからは高い攻撃力を活かせず優しく触れることしか出来ないおまけ付き。

 だが今は違う。

 圧倒的パゥワー。

 ちっぱい女子を力で蹂躙出来る。

 圧倒的スピード。

 ちっぱい女子の攻撃を難なく躱す事ができ

「シッ!」

 ドムッと一撃、顔は*。

 なかなかのパワーとスピードだ。

 全く反応出来ませんでした…って何でやねん。

 ちっぱい特攻でステータスが向上してるちっぱいの神であるこの俺に瀕死の重傷を負わせる…だと?

 どうなってるんだ! 武神の天使のスキルか何かなの!? ちょっと聞いてないですよ!

「むふ、むふ」

 マールがぷにぷにしてる俺の手をポンポンする。

 何か言いたそう。

 無理に剥がさないマールちゃんの優しさに顔の凹みが1センチ戻った。

「大吾さん。わたし大吾さんの信者じゃないですよ」

「ぷー」

「大吾さんのスキルを分け与えれるのは信者に方に限るって」

「ぷー」

「いや、『そんなに俺の愛が受け取れないの』って言われましても。そもそもが信者じゃないんですってば」

「ぷー…」

 これは失念してました。

 確かにちっぱいの神のスキルは信者にしか能力を分け与えられないってスキル欄に書いてあったような気がする。

 俺のレベルは1のままだが信者数は六人。

 信者はサン、ルナ、魔法使いの幼女、ヴィヴィ、オリオンさん、コメットさんの六人。

 スズランやメア、ジョージアおじいさんは入っていない。これは後で布教しないといけませんね。

 それに一番の問題はちっぱい天使マールちゃんが信者ではない事。

 ちなみにこの信者の六人とも厳密に言えば女神マールを崇拝する信者であって俺の信者ではない。

 マールは信者が増えればそれだけ力が付くのは知っているが、では俺はどうやって力を付けるか。

 神も天使も本質的には神族であるが俺は人間でもあってちっぱいの神でもある。

 人であれば信者云々関係無く成長するが、今までのクエストで経験値は貰えていない。

 しかし俺個人の信者はいないがステータスは上がる。

 ステータス画面では信者数も一応は増えているけどマール教の信者の数であって俺の信者の数ではない。

 これは多分だけどマールが強くなっているからそれだけ俺も強くなっている、んじゃないかと思う。

 俺のスキルを覚えるタイミングは全部マールに何かしらの出来事があった時だったし、この線が一番濃厚な気がする。

 なので。

「マールちゃんが俺の信者第一号になってくれ」

「えっ。でもわたし一応マール教の祖であるわけですし、仮にも他の神様の信者になるというのは…」

 マールのいう事はごもっとも。

 ごもっともなんだけど! マールちゃんにしか頼める人がいないの。

 スズランもメアもマール教に入って貰いたいし、マールがマール教に入るっていうのは『信者』としてはカウントされないっぽいし、今この状況を打破できるのはマールが俺の信者になるしかないんだ!

 そうすればスズラン&メアをマール教に入れればそれだけで200の能力アップが見込めるんだから。

「だって大吾さんの信者になるとスキルを分け与える対象になるって事ですよね? そうしたら今までの反動で皆さんが何をされるか」

「何もしないよ! …いや、何もしないっていうのは強制的な意味では何もしないって話であって同意があればそれは何かはするよ」

「やっぱり皆さんに手を出すつもりなんですね! 大吾さんの『お気に入り』フォルダの薄い電子書籍みたいに!」

「マールちゃんもそのお気に入りフォルダに追加しようか?」

「ひっ」

 おっと今はマールを怖がらせてはいけないんだ。

 信者にしないと。信者にすればこっちのものなんだ(闇宗教)。

「マール信じてくれ。これは皆が幸せになるために必要な事なんだ。俺が今までマールに嘘を言った事があっただろうか」

 さっき言ったじゃないですか、と間髪入れずに答える代わりにジト目を頂きました。

 ケイとチハの為に声にはしないマールちゃんマジ優しさの塊。

 でもマールちゃん信じてくれ。

 優しい嘘もあるの。

 それにこの先、俺のこの能力を分け与える力が絶対何かの役に立つと思うの。

 俺がちっぱい女子に対してのみ強くなれるだけじゃなく、俺の能力をマールに上乗せしたりとかも出来るんだから。

「はぁ…」

 そんな俺の熱意が伝わったのかマールは溜息をついた。

「確かに大吾さんは相手が傷付くような嘘は付かないですし、今回も、これからの事を色々考えての事なんですよね」

 それが分かってしまうのも何だか悔しいですが、と。

「先に言っておきますけど、能力を分けて力を私利私欲の為に使おうものなら信者なんかすぐに辞めますからね」

「そんな事に使わないよ。マールちゃんは俺の事なんだと思ってるの」

「小さいお胸が大好きな変態です」

 今度は間髪入れずに声に出した。

 声に出しただけ俺の胸に深く突き刺さった。辛い。

「でもわたしたちの為にいつも一生懸命で、一緒にいると楽しくて、そんな大吾さんだから皆さん大好きでついて行こうと思えるんですよね」

「…マールちゃん? 今俺の事大好きって」

「大吾さん。人のお胸はよく見るのに、心の中は全然ですね」

 そう言ってマールは俺の手をきゅっと握った。

 いつものぷにぷにお手手の感触だったけど、今日はいつもより熱いくらいだ。

「わたしも大吾さんを見習って嘘は言わないつもりでしたが」

「えっ?」




「わたし、大吾さんの事『嫌い』だなんて言ってないと思いますけど?」





大吾さん驚きのあまり心停止の危機

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