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大吾とアーティファクト②

●前回のあらすじ●

大吾さんとマールちゃんはお互いにフィットした。



『古代遺跡レゾナンス』


 ミスニーハより西へ馬車で半日の距離にある最近発見されたばかりの古代遺跡。

 遺跡内部の構造はシンプルで迷うような事はないが、光が射さないため薄暗いので松明が必需品。

 モンスターの目撃情報は無し。

 最深部に古びたランプがあるらしいのだが…。




「恐らくこれが例のアーティファクトのようね」

「そうなのか? 未だアーティファクト入手の成功者がいないって話なんだけど」

「発見する事は出来ても手にすることは出来ないか、それとも他に何か理由があるのか」

 それは行ってみないとわからないわ、と御者をしているスズランは言う。

 はい。

 俺たち三つ輪のクローバーとメアを合わせての五人と一匹は現在ミスニーハの街より古代遺跡レゾナンスを目指して馬車で移動中です。

 馬車で半日の距離なのでメアリー様の親書を確認後すぐスズランの家を経由してギルドへ行き、クエストの受注をしてミスニーハを発った。

 夜の遺跡捜査は危険じゃないのかと思ったが、入り口に他の冒険者や調査団がキャンプを張っていて外敵の脅威はなく安全らしい。

 遺跡の中ではモンスターは出ないみたいだからね。

 それにしてもクエスト依頼書と親書を見た時のスズラン可愛かった。

 え? えっと…え? みたいな感じでポッカーン可愛い顔して何度も俺たちの事見て来たし、やっぱり王家から直接依頼されるのは凄い事なんだろうか。

 ユリさんも同じような顔してたしやっぱり姉妹だった。

 でもちっぱいレベルは天と地の差があった。

「ふふっ」

「スズラン? 何かご機嫌だな」

 いつもはどちらかと言えば無気力系ちっぱい女子なスズランが今日は見て分かる程楽しそうだ。

 先日マールたちと気分転換したのがよかったのかしら?

「だって絆が深まるアーティファクトが手に入るのかもしれないのよ? 楽しみだわ」

「アーティファクトってゲームとかで良く聞くけどどういうやつなの?」

「げーむ? というのは分からないけど、大なり小なりある人の手でつくられた工芸品ね。それに古代遺跡のアーティファクトともなるとその価値も高そうだわ」

「へー。スズランもそういうのに興味があったんだな」

 なんだか意外です。

 まぁ俺たちの中じゃスズランが一番おしゃれだもんね。

 工芸品とかに興味があるのも頷ける。

 マールちゃんはどっちかっていうと色気より食い気な女の子。

 でもその色気は抑えきれない程の神聖なオーラが出ててたまらん。

 ヴィヴィもマールと同じタイプだけど、引き締まった体のアスリート系ちっぱい女子だからたまらん。

 ホットパンツも大好きなんですよ僕。言ってなかったっけ?

 そのフルもっふ族の二人と違い、食い気より色気のスズランは服装にも拘りを持っているし、真っ白なほっぺを桜色に染めて可愛かった。

「アーティファクト自体には興味はないわ。あるのは効果の方」

「効果? 絆がより深まるってやつ?」

「ええ。今よりも深い関係になるとどうなるか」

 楽しみだわ、と言ってじっと俺の目を見てくるスズラン。

 ブルルルッと身震いした。

 こ、このちっぱい受付嬢なんて目をしてやがる…!

 その目は百合さんがスズランを見るそれと酷似している。

 いや、酷似というにはユリさんにもスズランにも失礼なのだろうけど、その獲物を見るような目は怖いのでやめてくれたら嬉しいかな、なんて。

 でも俺もマールちゃんの事そんな目で見てるのかもしれない。

 寧ろちっぱい可愛いスズランやヴィヴィにもそんな目で見てるのかもしれない。

 やっぱり似た者同士な俺とスズランであった。

「ダ、ダイゴ様。マール様とヴィヴィ様とバニラ様のご様子がおかしいのです」

「はっ! …メア?」

「ちっ」

「え?」

 スズランの毒と言う名の目力にやられそうになっている所をメアの言葉で我に返った。

 危ない所だったぜ。

 もう少しで少女の青い果実をタッチするところだった。

 同意があろうものなら一度手を出しちゃうとそれはもう止まらないからね。

 一日中タッチしてる自信があるよ。

 ところでスズランちゃん今舌打ちした? 気のせい?

 とりあえず俺は御者席から荷台へ移動した。 

 移動の途中で『もう少し攻めないとダメね』って声が聞こえたけどそれも気のせい。

 体の中の毒がまだ抜けきってないんだな。

「で? マールたちがどうしたって?」

(わたくし)が話しかけても返事をしてくれませんし、何やら荷をジッと見て心ここに在らずといった感じで」

「荷? …あぁ。なるほど」

 マールたちが見ている荷物。

 それは魔法で冷蔵機能が備わっている食品庫のようなもの。

 今回のクエストが往復一日以上とあって、最低でも五人と一匹分の食料を三食以上持って行かないといけないのでギルドでレンタルしたのだ。

 つまりはその食品庫の中には出発したばかりの現在豊富な食べ物が入っているわけで。

「「「ぐるるるるる……」」」

 フルもっふ族のマールとヴィヴィ、ついでにバニラがビーストモードになるのも頷けるわけで。

 なので俺はそんなフルもっふ族の二人のほっぺを両手でぷにっとした。

「ふぁっ。ほしたのダイふぉ?」

「ふぁっ。大吾ふぁん? もうおふぃるでふか?」

 ダブル)3(な顔してる二人可愛い。

 うーん。

 左右の手で握力が違うかもだから一概には言えないけど、ほっぺの柔らかさで言うとマールちゃんの方が柔らかいかしら。

 ヴィヴィは顔もきゅっと引き締まっているし、マールちゃんはぷにぷにほっぺだし。

「古代遺跡の近くに村はあるらしいけどそこに寄る気はないから食い物は計画的に食べないとダメだぞ」

「とりあえず全部食べてそれから考える計画にしましょう?」

「凄い計画だねマールちゃん」

 ダメ人間の考えじゃねーか。

 貯金出来ない子なのかもしれない。

 そういえば最近はクエストの報酬は分けてるから知らないけど今マールは全部でどのくらいお金を持っているのだろうか。

 ガチ休日の時にはヴィヴィやスズランと一緒に遊びに行けるくらいは持ってるのだろうけどフルもっふ族であるマールちゃんは食費で所持金の大半が持って行かれそうだよ。

 今度確認してみようね。

 もしかしたらまた300コーン(300円)だけって事になってるかもしれないからね。

「遺跡には調査団や他の冒険者もいるみたいだし、食べ物売ってる商人とかもいそうな気もするけどね」

「そういう所じゃ需要がある食品は定価より多少高くても皆買うだろ」

 一般道路に設置されている自販機的なアレである。

 コンビニ、スーパーなどで買えば安く抑えられるものを道路に場所を移した途端に料金が上がる。

 高速道路や山の上なんかにある施設や休憩所では驚きのお値段だしね。

 補充するのに移動費や手間がかかるのかその辺の事情はよく知らないけど、某モンスターゲームにあるデパートの屋上の自販機なんかジュース一本350円だもんね。

 どんだけぼったくるんだよ。俺は水を買うよ。

「へっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっ」

「バニラも落ち着け」

 ひょいっと毛玉を抱っこする。

 ぬくぬくもこもこなバニラ。

 ビーストモードの今、不意に手を差し出すとあむあむ齧られます。全然痛くないけど。

「流石です、ダイゴ様! 私では手に負えなかった皆様をこうもあっさり…!」

「メア。重要なのは食い物から注意を逸らす事だ。応用編として食い物で釣るという事も出来る」

「なるほど」

 勉強になります、と。

 ガチガチのフルプレートでぺこり頭を下げるメア。

 うーん。

 以前オリオンさんの護衛クエストでも思ったけどメアの所作というか座り方もそうだけど、一般人のそれじゃないんだよね。

 ユリさんや他の冒険者からも敬語を使われているし、もしかしたらとても偉い人なのかも? アンナ的な人なのかも?

 でも領主家のアンナがあんな感じだからな。考えすぎかもしれん。

「大吾さん! メアさんに変な事教えないで下さい!」

「そうだよダイゴ! あたしたちがいつでも食べ物で釣れると思ったら大間違いだよ!?」

「そうか。せっかく俺の分の昼飯ちょっと分けようと思ったけどいらないのか」

「大吾さん疲れてませんか? 肩でもお揉みしますね」

「マールちゃん!?」

 フルもっふレベルがマール>ヴィヴィである事が分かった瞬間だった。

 食べ物に目がないマールちゃん可愛い。

 それにマールちゃんの可愛いおててが俺の肩を揉み揉みしてくれてる幸せ。

「ところで古代遺跡にあるアーティファクトの話なんだが」

「食べれるんですか!?」

「いや? 多分食べれないんじゃないかな?」

「食べれないんですか…」

 マールの中での価値観が食えるもの>その他である事が分かった瞬間だった。

 揉み揉みしてる手からも途端にやる気が無くなったんですがそれは…。

「まぁ聞けマール。俺の元いた世界の物語なんだけど、魔法のランプには願い事を叶えてくれる魔神が宿っていてだな」

「食べられるんですか!?」

「いや? 魔神を食うなよ可哀想だよ」

「食べられないんですか…」

 おかしいな、今日も宿を出る前におにぎり三個(一個あげた)食ったはずなのにもうお腹空いちゃったのかな?

 食べ物の話になると目の色を変えるからねマールちゃんはね。仕方ないね。

 一瞬揉み揉みする手に力が宿ったけどまたすぐ抜けたよ。

「そうじゃなくて願い事を叶えてくれるんだって。その魔法のランプを擦った人間の」

「へー。面白い話だね」

「そうね。そのアーティファクトがその力を持ってる持ってないは別にしても、願い事を考えるだけでも楽しいものね」

「そういう事だ。マールはともかく皆はそんなランプがあったらどんな願い事をするのかなって思ってさ」

「わたしはともかくってどういう事ですか! 大吾さんにわたしの願い事が分かるんですか?」

「だんだん焼き一生分下さいとかでしょ?」

「…」

「正解なのかよ」

 俺も凄いけどマールちゃん?

 その願いはさすがに勿体ないからやめようね?

 いや、願い事は個人の自由っていうのは分かるんだけど、それにしても勿体なくない?

 もっとこう…、自分の力だけではどうにもならない事をお願いしない?

「大吾さんだって人の事言えないくせに」

「ほぅ。聞こうじゃないかマールちゃん。一体俺がランプの魔神にどんな願いをす」

「お胸が小さい女の子が降って来ますように」

「ちっちゃいおっぱいの子おんぶしたい!」

「ちっぱいギャルのパンティおくれーーー! でしょ?」

「…」

「正解なんですか」

「ダイゴは分かりやすいもんね」

「今脱いだらスースーするから遺跡に着いて替えたらにして」

 皆も俺の事知り過ぎ嬉しい。

 ところでスズランちゃんが何か言ってる。

 使用済みの方をくれるんですか?

 実はヴィヴィゲームの時にもらったヴィヴィの髪の毛と一緒に我が家の家宝として末代まで継がれる事になるけどいいかな?

 その末代が俺になる可能性も拭い切れないけど。

「あ、あの…ダイゴ様は小さい胸の女性がお好きなのですか?」

 俺の真の姿を唯一知らなかったメアから驚きの声が。

 フルメイルで顔が見えないので分からないが、中の人の顔引きつってないでしょうね?

「男性は女性の大きな胸に興味があり女性の価値も大きな胸にある、というお話を聞きまして」

「一体誰だそんなデマ流した奴は。ここに連れてこい。一年くらい説教してやる」

「ひっ。も、申し訳ありません…」

「あぁぁ…、メアさん大丈夫ですよ。大吾さんのどす声ビックリしますもんね? 怖いですもんね?」

 ぷるぷる震えてるフルメイルをなでなでするマールちゃん何かシュール。

 それにしてもそんな事を言う奴は我がマール教と相反する異教徒だな。

 別に他の宗派の教義内容をとやかく言うつもりは無いが、他を卑下する教義であってはならない。

 大があって小が映えるように、小があっての大だ。

 みんな大だとそれはただのメロンだ。

「たしかに俺は小さい胸、ちっぱいが大好きだ。でもだからと言ってメアを嫌いになるって事はない」

「そ、そう、ですか」

「大吾さんは変態ですけど、嘘は言わない人なのでこの言葉は信じていいと思いますよ、メアさん」

「マールちゃん? 一言多くない? 絆深めようか?」

「ひっ」

 ガタガタ震えだすマールちゃん。

 どんな事を想像したのか大変興味深いけど聞いたらもっと震えそうなのでやめとこっと。

「あ、あの」

「ん?」

「仮にですよ? 仮にですが、もし私がダイゴ様が好きなちっぱい女子? というものだった場合どうなるのですか?」

「メアが? そうだな」

 うーん、と考える俺。

 難しい問題でござる。東大入試レベルかもしれん。

 ユリさんクラスじゃないにしろメアもなかなかのものをお持ちだ。

 そのメアがもしもちっぱいだったらなどと、もしそんな事があったのなら。

「俺のスキルで拘束して身動き取れない隙に鎧を一枚ずつ順番に剥がしていく」

「……え?」

 女騎士と言えば『くっころ』だからな。

 正直メアを初めて見た時は第一はちっぱいじゃないショボーンだったけど、第二はくっころ属性キターでした。

 でも俺は変態ではないよ? だって男の子だもん。

 だが俺の答えを聞いた四人は皆が皆俺を見る目がゴミかそれ以下ですわ。

 スズランちゃんは危ないからちゃんと前見てね?

 それにそんな目でそんな事言ったってしょうがないじゃないか(かずき風)。

 嘘は言えないんだからしょうがないじゃないか。

「い、いえ、あの? 私が聞きたいのは好む好まないのお話であって…」

 ダイゴ様の性癖のお話では…、とごにょごにょ小声になるメア。

 なんだそういう事か。

 それならそうと早く言ってよね。

 マールたちからの軽蔑の眼差しを受ける前に言ってよね。

 慣れてるからいいけど。

 心が砕かれるくらいで済むからいいけど。

 全然慣れてなかった。

「今もメアの事は尊敬してるし好きだけど」

「なふっ」

 メアから変な音出た。

 そしてフルプレートの隙間という隙間からぷしゅーっと何か湯気っぽいの出て来た。

 メアちゃんロボだったの? ロボメアちゃんだったの? ちゃんとメンテやってる?

「お胸が小さくない女の人でも誑すんですね大吾さん」

「えっ」

「これはやっちゃったかもよダイゴ」

「え?」

「まさか防御特化のめあが攻めに転ずるとは予想外だったわね」

「ええ?」

 御三方からジト目いただきました。

 可愛いたまらん、のだけど俺がいつメアを誑かせたよ。

 それにちっぱいであろうとなかろうとメアの事は好きって言ったんだぞ?

 いい事を言った気がするのにそのジト目は何かな?

 これから古代遺跡で絆を証明するんだから誤解が解けて目も蕩けるまで絆を深め合った方がいいかもしれない(ゲス顔)。

 相変わらずメアは湯気出して動かないし、バニラは未だに俺の指あむあむ齧ってるし。

 そんなこんなで俺たちを乗せた馬車は古代遺跡レゾナンスへ向かうのだった。

 ちなみにランプの魔神に何を願うのかヴィヴィとメアに聞いたところ、二人とも『皆が幸せになれますように』との答えだった。

 双壁の戦乙女の二人はここでも素晴らしかった。

 御者をしてるスズランの背中から『私には聞かないの?』ってオーラを受けたけど、答えが怖いので聞かないでおいた。

 ちょっと不機嫌になってほっぺをぷっくり膨らませるスズランは可愛かった。



ちなみにオラの願いは『もっと世にちっぱいの素晴らしさが広がりますように』なんだ。

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