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大吾とアーティファクト①

●前回のあらすじ●

ちっぱいをこの上なく愛でる会の会員は皆ちっぱい愛に満ちていた。



 小鳥がチュンチュン囀るも平和で穏やかな朝、事件は起こった。


 ダダダダダダダダダッ! バンッ! バタンッ! バッ!


「んん~…? 何だこんな朝早くから…、え?」

 俺は何やら物音に目を覚まし、薄目を開けるとそこには白いワンピースを来た天使が今まさに俺にのしかかる一秒前だった。

 つまり飛んでいた。

 それを俺は下から眺めていた。

 うーん、前にもこんな事があったような?

 あの時の俺はこののしかかろうとしている天使の下着を説明する途中で時間切れになってしまったが、今回は違う。

 人は学習するのだ。

 なので俺は、

「ふぁ~…、よく寝たぁ~…」

 と、わざとらしく欠伸をしながら両手を上げ、掌は何かを優しく受けるように広げた。

「大吾ひゃああああっ!!???」

 そしてやってくる祝福の時。

 ちっぱい天使マールちゃんは俺の腹の上にのしかかろうとしたが、そこには俺の掌が待ち構えていた。

 のしかかり自体は成功し、俺は『おえっ!』って声を漏らしたけどそれ以上に今、掌にある温もりがたまらない。

 その温もりはマールちゃんの可愛いリンゴちっぱいでした。

「大吾さん! わたしとの約束を破りましたね!? お互いの同意がないとお胸を揉まないって約束したのに!」

 ぷんすか怒ってるマールちゃん可愛い。おててぬっくぬく。

 でもそんな可愛く怒ってるマールちゃんはどうやら誤解しているようなので訂正しておかないと。

 嫌われちゃったら俺が死んじゃうからね。

「俺はマールのちっぱいを揉んではないよ。触ってはいるけど」

「そういうのを屁理屈って言うんです! 触るのもダメです!」

「俺は触りに行ったんじゃないよ。寝起きに手をのびーってやったらそこにマールちゃんが降って来たんだよ」

「確かにそうかもですが! でもだったら何で今も手をお胸から離さないんですか!」

「マールが俺の腹の上にぴったりフィットで落ち着くように、俺もマールのちっぱいにぴったりフィットして落ち着くんだ」

「確かに大吾さんのお腹の上はぴったりフィットで落ち着きます」

「でしょ? だからこれからはこの体位でお話しようか」

「体位ってなんですか!」

 そんなの嫌です、と手を払われてしまった。

 あぁ…、また暫くの間お別れだね。

 俺の手とマールのちっぱいは宛ら織姫と彦星。本家と違って月一、二のペースで再会するけど。

「で。どしたのマールちゃん」

「はっ! そうでした」

 ぽん! と思い出したようにおててを合わせる腹の上のマールちゃん。

 しまったな。

 毛布を払い除けるって選択肢もあった。

 そうすればマールのぷにぷに下半身をもっと堪能出来たのに。

 でもいいや。

 マールのちっぱい触れたし、マールちゃんのおててが俺の胸ぐらを掴んで…えっ?

「大吾さん大変! 大吾さん大変! 大吾さん大変!」

「ちょっ、マ、マールちゃん。おち、おち落ち着いて。な、なにが! 何が大変なの!」

 ガックガク体を揺らされてマールが三人くらいに見えた。

 天国かな? 可愛い天使がたくさんいる天国かな?

 そんな可愛い天使のマールちゃんはガックガク揺するのを止めて俺にグイッと来た。

 ちっ。これは想定してなかった。してればそのタイミングで俺も顔を上げてチューしたのに(ゲス顔)。

「宿の前に騎士の方がいるんですよ! 大吾さん何をやらかしたんですか! どこの牢屋に入れられるんですか!」

「いやちょっとマールちゃん? 勝手に俺を犯罪者扱いしないでね? 俺何もやってないよ? マールちゃんのちっぱいは触ったけど」

 でもまさか現行犯逮捕って事も!?

 そ、そんな事あるかよ!

 ちっぱい天使のちっぱいを触ったら十五年以下の懲役、もしくは3000パルフェ(300万円)以下の罰金、又はその両方が課せられる重罪だぞ。

 俺の異世界生活もここまでか。

 でも牢屋に入ってもヴィヴィは毎日面会に来てくれるって言ってたし、きっとスズランも来てくれるし、何より俺のマールちゃんの事だから示談で円満に解決してくれるはず。

 という冗談はここまでにして…冗談だよね?

 一体どこのどいつだよ。俺のマールちゃんがビックリしてるじゃねーかさっさと身柄を拘束されろ。

「失礼します。三つ輪のクローバークラン長、アオキダイゴ様のお部屋はここ…あっ」

「「あっ」」

 何かいきなり騎士入って来た。

 何かいきなり騎士が俺たちの部屋に入って来た。

 何かいきなり騎士が俺たちの、俺がベッドで寝てその上にマールが跨ってる部屋に入って来た。

 大事な事なので三回言いました。

 これは誤解されちゃうかな(歓喜)!?

 俺とマールが恋仲でそういう事してたって誤解されちゃうかな(大歓喜)!?

「しっ失礼しました。王女メアリー様より親書をお預かり、ダイゴ様へお届けするよう仰せ付かりまして」

 オロオロする騎士新鮮。

 この前見たキッと凛々しい騎士とはかけ離れている。

 男女の営み(語弊有り)を目の当たりにしちゃったからね。そうなるのも仕方ないね。って。

「メアリー様? 王女様が何で俺に?」

「詳しい事は存じ上げませんが、親書を拝見して頂ければその理由もお分かりになるかと」

「えっと…はい。じゃあ貰います」

 判子とか要ります? って聞こうとしたけど、お客様控えも差出人控えも無さそうなので止めておいた。

 それにどっちかって言うとサインだろうしね。判子は日本人ね。

 そんな訳で俺は騎士の人から親書を受け取った。

 親書は封筒に入っており、漫画や映画でしか見た事がないような封蝋がしてあった。

「確かにお届け致しました。では私はこれで失礼します」

 ごゆっくり、とお辞儀をして騎士の人は帰って行った。

 あちゃー。

 やっぱり勘違いされちゃったよマールちゃん! どうしようね(嬉しい)! 誤解なのにね(とても嬉しい)!

「大吾さん、王女様と知り合いだったんですか?」

 でも当のマールちゃんは全然気にしていないご様子。これはこれで辛いです。

 ちょっとはさ? 意識してくれてもさ? いいんじゃないって言うかさ?

 俺はショボーンとしたけどハテ顔マールちゃんが可愛いので答えないと。

「いや、知り合いも何も見た事もない。街に来た時も見に行かなかったし」

 名前を知ったのもアンナからたまたま聞いたからだしね。

 あの時アンナに会わなかったら王女様ってだけで終わってたですの。

「そんな王女様が何で大吾さんなんかに?」

「マールちゃん? 確かに疑問だけど『なんかに』はやめよ? 泣いちゃってもいいの? マールちゃんに抱き着いて胸の中でワンワン泣いちゃってもいいの?」

「す、すみません大吾さん…」

 しゅんとなって素直に謝るマールちゃん素直可愛いけど複雑。

 まぁ本気で言ったんじゃないしね。九割は本気だったけど。

「とにかく読んでみるか」

「そ、そうですね!」

 きゅっと可愛い握り拳をつくるマールの目の前で俺はペリッと蝋の封を解く。

 蝋には何かカッコいい紋章みたいなシンボルが刻まれている。

 これが王家の紋章なのかメアリー王女個人の紋章なのかはわからないが、何か凄い(小並感)! 中の紙も綺麗!

 でもそんな凄い王女の親書を宿屋のベッドで寝っ転がって、しかも腹の上に女の子を乗せたまま読む奴がいるだろうか?

 一体どんな俺なんだろう。どれどれ?





 親愛なる三つ輪のクローバーの皆様



 この度は私の親書にお目通し下さり感謝申し上げます。

 先日ミスニーハを訪れた際、クラン長のダイゴ様を始め、クランメンバーのマール様、ヴィヴィ様、スズラン様の互いを信頼し、支え合い、固い絆で結ばれた皆様のお姿に大変心を打たれました。

 私は冒険者としても多くの街や村のギルドを訪れますが皆様のようなクランを見たのは初めてで、僭越ながら皆様のクランへ王家の印を押させて頂きました。

 微力ではありますが冒険者稼業のお力にしていただければ幸いで御座います。


 さて、今回は三つ輪のクローバーの皆様へご依頼したいクエストがあり親書を送らせて頂きました。

 最近発見されたばかりの古代遺跡への調査クエストなのですが、遺跡を発見した調査団や近隣の人々から『絆が試され、見事その絆を示せばより絆が深まるアーティファクトが手に入る』という噂を耳にしたのです。

 今まで数々の調査団やクラン、冒険者がそのアーティファクト入手に挑みましたが未だ成功の声は聞きません。

 私がこの話を聞いた時「これは皆様しかいない」と思い、筆を執らせて頂きました。

 同封してあるクエスト依頼書をスズラン様に拝見していただければ受注出来る手筈を整えておきますので、ご検討のほどよろしくお願い致します。


 結びになりますが、三つ輪のクローバーの皆様の今後ますますのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。



 フェリエ王国 第一王女 メアリー=ガーネット=フェリエ






【絆のアーティファクト発掘調査】


 依頼主:メアリー=ガーネット=フェリエ


 適正ランク:―


 エリア:古代遺跡レゾナンス


 報酬:絆のアーティファクト


 内容:絆のアーティファクトの発見、入手


 依頼主コメント:皆様なら必ず達成出来ると信じております。





 かたーい!

 ガチもガチのガッチガチの親書じゃねーか。

 いや、親書ってそういうものなのかもしれないけど、要は『お前のクランすげーな。報酬はあげるからちょっとクエスト受けてみてくれない?』って事だろ?

 しかもご親切にクエストの依頼書まで同封してあってギルドへ根回し済みとか王家の力怖い!

 これもう断れないやつじゃねーか!

 断ったらさっきの騎士絶対また来るやつじゃねーか!

 正直面倒が臭いのだけど何かの間違いで王家に目を付けられてしまった手前無下にすると後が怖いので受ける、か?

 絆がより深まるアーティファクトって言うのも気になるっちゃ気になるし。

 つまりは今よりもマールちゃんと深い関係になれるって事だろ?

 これは受けますわ。うん。受ける。

 そんな訳で腹の上で俺の音読を聞いて日本語でおkしてるマールちゃん柔らかい可愛い、じゃなくてマールと一緒にクエストへ行く事にした。

 だからマールちゃん。

 せっかくパジャマのキャミソールから普段着の白ワンピに着替えて貰って何なんだけどオーバーオールへ着替えよう。

 その後は三つ輪のクローバーへの依頼なわけだから部屋の隅で大の字で張り付いてるヴィヴィを連れてスズランの家へ行こう。

 今日はユリさんが受付嬢の日だしスズランが頼めば快く受けさせてくれそうだからね。

 でも古代遺跡レゾナンスなんて聞いた事ないけどミスニーハからどれくらいなのだろうか。

 まぁいいや。

 マールちゃんや皆と一緒なら俺はどこでも行きますよ。

 あっ。もちろんバニラも連れて。





「あっ」

「あれ、メアじゃん。何してんのこんな所で」

 俺とマールがクエスト用のつなぎとオーバーオールに着替えて、ヴィヴィと一緒にバニラを連れて宿を出た時偶然にメアと出会った。

 建物の陰からDの字で顔を出してたけど誰かを待っていたのだろうか?

「え、えっと…(わたくし)はちょっと野暮用で」

「そうだ! メアさんも一緒に行きましょう! 王女様からクエストを受けたんですけど、大吾さんが言うには仲がいい人同士で行けばクリア出来るって話なので!」

 ね? とグイグイ攻めるマールちゃんマジ大天使。

 俺がこんなお願いされたらコンマ台で頷く自信があるよ。

「えぇ!? …っと、も、申し訳ありませんが私が一緒に行くわけには」

 しかしメアはそんな大天使のお願いを断った。なんて精神力だ!

「わ、わたしたちとは仲良くないって事ですか…?」

「そのような事は言っておりません! 断じて!」

「じゃあいいじゃないですか! 行きましょう?」

「え? あっ、はい」

 堕ちた。

 けど、マールちゃんそれはダメだよ。

 その涙目からのお願いはダメだよ。

 誰だって折れるし堕ちるよそりゃ。

「うぅーん…、王女様のクエストをメアちゃんが受けるっていうのはどうなんだろ…?」

 ヴィヴィは何やら難しい顔(可愛い)してうーんうーん腕を組んでいる。

 何か問題なのだろうか?

 国を護る騎士なら王女の依頼なら飛びつきそうなもんだけどな。

 まだまだ王家と騎士の関係に詳しくない俺がいくら考えたって分からないのでそのうち俺は考えるのをやめた。カーズった。

 バニラは相変わらずへっへっへっへっしとる。

 そんな訳でメアも入れての四人と一匹でスズランの家へ向かった。

 道中メアにバニラのリードを持たせたけど、犬(狼)の散歩させた事があるのかバニラの引く力にも動じず立派な飼い主みたいだった。

 まぁ双壁の戦乙女って言われてるだけあってメアはクソ強いし、バニラくらいの力で引っ張られても体幹がしっかりしてるからビクともしないのだろう。

 俺は咄嗟にあの時のちぱ様を思い出したけどやっぱりメアとちぱ様とでは決定的に(胸部に)違いがあるので、この件に関してもそのうち俺は考えるのをやめた。



丁寧語とか二重敬語とかで間違いがあっても目を瞑って下さいもうグーグル先生で調べるの疲れたんです

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