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大吾と双壁の戦乙女⑤

●前回のあらすじ●

マールちゃんはアイスだと思ってバニラをはむはむしてた可愛い。




『リザードマン』



 ヒト型爬虫類モンスター。討伐推奨レベル:(単騎/C。群れ/B)。

 トカゲに似た容姿をしており、ヒトの様に二足歩行し武器や罠を使って群れで行動する。

 単騎での討伐はさほど難しくはないが、群れを成されると厄介な相手。

 種族全体で見て魔力値が低いので使用武器は剣や槍、斧などが多い。

 AGI値が高いので動きに翻弄されないように戦うのがポイント。




「…ですって! 大吾さん!」

 説明ありがとうマールちゃん! そこから動かないでね!

 って事で!

 現在俺たちはシルヴェストリからミスニーハに向けて馬車で移動中です。

 シルヴェストリに来る時はなーんも無かったから帰りも全然余裕やろ、と思ったが全然そんな事なかった。

 オリオンさん一家を乗せた馬車を待ってました! とばかりにリザードマンの群れがわんさか出て来たのだ。

 動きが遅いモンスターならそのまま馬車を走らせて逃げ切れそうなものだけど、負傷のオリオンさんコメットさんがいる手前乱暴に馬車を走らせるわけにはいかないので、迎え撃つ事にしたのだ。

 そこでまず大活躍なのがちっぱい天使マールちゃんの聖域(サンクチュアリ)

 遮断対象は‶武装した爬虫類モンスター″。

 これで結界の外に出ない限りはリザードマンから攻撃を受ける事はない。

 リザードマンが武器をぶん投げてくる可能性や武器を捨てて乗り込んでくる可能性もあるけど、そこはちっぱい魔王のヴィヴィがしっかりと断ってくれている。

 防御に特化したと言われているメアの方がいいのでは? と思ったけど、ヴィヴィは‶食べられる獲物しか狩らない″というポリシーがあるのを前に聞いたからお願いした。

 つってもヴィヴィの近くにリザードマンが白目で何体か転がっているんですがそれは…。

「殺してはいないよ。ちょっと脳を揺らしただけ」

 ふぇぇぇ…。脳を揺らされるの怖いよぉ…。

 気持ちはわかるぞリザードマン。

 俺も誰とは言わないけど某武闘家に脳を揺らされた事があるから。

 でもお前らはまだマシな方だぞ?

 俺なんか脳を揺らされて崩れた所にマウント取られて顔面フルボッコだからな。

 レフェリーも止める暇のないオラオラだったよ。

 怖ぇよ。武闘家怖ぇよ…。

 と、まぁ俺のトラウマは置いといてヴィヴィと出会って結構経っているが、ヴィヴィが狩りっていうかモンスターと戦っているのを見るのは実は初めてだったりする。

 今までも一緒にクエストについて来てもらってたけど、EランクDランクのクエストばかりだったからヴィヴィの出番は少なかったし、何なら野イチゴとか食ってただけだった。

 でもこうして戦っているヴィヴィを見ると改めてAランクなんだって思い知らされるほどにクッソ強ぇ。

 投げ込まれる大剣や槍は裏拳で粉々にするし、武装解除して突っ込んでくるリザードマンがヴィヴィの間合いに入った瞬間に顎をハイキックで打ち抜くし、それを360度で漏れなくやってるんだからサンみたいに口ポッカーン開けるのも頷ける。ってサン、危ないから顔出しちゃダメだって。

「すげぇ! やっぱりヴィヴィ姉ちゃんはすげぇ!」

 サンくんめっちゃ興奮してます。わかるけど。

 今のヴィヴィくっそ格好いいからね。

 格好可愛いちっぱい女子だからね。

 きゅっと締めるタイプのチューブブラを付けているからパーカーのお胸様が全く揺れません。

 たまらん。たまらん。

「…あの、ダイゴ。そんなに見られる? と戦いづらいんだけど」

 嬉しいけど、と頬をポリポリ掻くヴィヴィ。

 おっと。ついつい見入ってしまったようだ。

 ちなみに今の俺はというと。

「*」

「大吾さん。ヴィヴィさんを助けようと出て行ったのはいいですけど一瞬で男梅じゃないですか!」

 そうなんです。

 武装解除して殴りかかってきたリザードマンに顔面一発貰って馬車で治療中です。

 ちっぱい女子対象の攻撃だったので‶不屈のちっぱい愛″が発動し倒れないのはいいけど足手まといなので下がりました。調子乗って出て行ってすみませんでした。

 右隣にはちっぱい天使マールちゃんが俺の顔をサスサス。

 左隣には心配して来てくれたスズランが俺の顔をサスサス。

 で、俺は今馬車の荷台に座っているわけだが、俺のももの上にルナが跨って顔をサスサス。

 うーん。ここは天国かしら。

 顔の腫れも痛みも見る見るうちに引いていきます。

 今まで説明したのはまだ見えていた時の出来事なのです。

 今は前が見えねぇ。

 でも右からいい匂い。

 左からもいい匂い。

 ももの上にはちっちゃい子が乗ってるから多分そうだと思うの。

「…ぷぇ。ふー、何とか喋れるようになった。ありがとな三人とも」

 開ける視界。

 やっぱり俺が言った通りのフォーメーションだった。

 とりあえず目の前のルナをよしよしした。

「えへ♡ えへ♡」

「全く何やってるのだいご。リザードマンは単騎でもだいごやまーるにはまだ早いモンスターよ。大人しくしてなさい」

「そうですよ大吾さん。あれ? 俺いる意味なくね? って思うかもしれないですけど危ないのでヴィヴィさんとメアさんにお任せしましょう?」

「マールちゃんは結界張って活躍してるからいいけど、俺なんてマジで何もやってない」

 ウルウルする俺。

 悔しさが溢れ出します。

「そんな事ないわ」

「スズラン…、お前俺を慰めてく」

「顔が『*』だった時、ぷーぷー言ってて面白かった。これはあなたにしか出来ない事よ、だいご」

「あは♡ あは♡ だいごおにいちゃんぷーぷーおもしろかったー♡」

 芸人ポジションじゃねーか。

 ぷーぷー言うのは顔が陥没して息吸うのに鳴るんだからね。狙ってやってるわけじゃないからね。

 オリオンさんとコメットさんも言いはしないけど、顔を背けてプルプル震えてるんですが。お体に障りますよ。安静にしてて下さい(元凶)。

「ふぅ。あらかた片付いたかな」

「え?」

 ヴィヴィがふぃ~って言いながら帰って来た。

 お疲れ様&ありがとうなんだけど、あれだけいたリザードマンをもう片づけたの? 早ない?

 確か3、40体くらいいたはずだけど。

「リーダーのリザードマンが出て来たからね。あいつさえ倒せばリザードマンは戦意喪失でもう襲ってくることはないと思うよ」

「出て来たって、メアが一人で戦ってるの?」

「ぜーんぜん大丈夫。メアちゃん滅茶苦茶強いから」

「まぁSランクだしな…。やっぱりヴィヴィより強いの?」

「んー、どうだろ。本気でやった事ないけど、軽く手合わせした時はお互い一発も入れられずに引き分けだったよ」

 えっ…? 双壁の戦乙女のレベル高すぎ…?

 今のヴィヴィが一発も入れられないなんて。

 そう言われればメアは防御特化の冒険者なんだって分かるけど、どんな戦い方をするのは非常に気になります! ので見てみよう。

「あっ。大吾さん危ないですよ。またお顔が『*』になったらどうするんですか」

「マールちゃん…。そんなに俺の事を?」

「お、お顔が『*』の時に大吾さんの台詞を代読するのが大変なんです!」

 顔真っ赤でがうがう言ってくるマールちゃん可愛い。

 マールちゃんは俺の言ってる事が分かるからね。

 心が通じ合ってる証拠。嬉しい可愛い辛い。

「大丈夫。ちょっと見るだけだから」

 そんな訳でちょっと顔出し――た瞬間。



『ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!!!!』



 ビリビリビリビリッ! と馬車が軋む程の咆哮。

 声の主はリザードマンリーダー。

 うるせぇ。つかデケェ。

 普通のリザードマンも俺の1.5倍くらいあるけど、リーダーは更に倍くらいありそう。三倍速そう。色も赤いし角もある。ついでにサングラスっぽいのもしてる(ような気がする)。

 リーダーの武器は大剣。

 三倍デカイ体よりもデカイ大剣なのでそれはもうデカイ。

 メアのサンダルフォンが爪楊枝に見える程の刀身差。

「ヴィヴィヴィヴィヴィ! あれヤバない!? 助けないとヤバない!?」

 超テンパリングの俺氏。

 ヴィヴィヴィの肩を持って優しくガクガク揺らします(矛盾)。

 だって爪楊枝vs斬馬刀だよ? 二重の極みで遠当てされない? 和尚みたいに関節攻撃してこない?

「大丈夫だってば。メアちゃんの防御力は世界一なんだから」

 せやかてシュトロハイム!

 リザードマンリーダーは力の限り大剣をメアに向かって振り下ろしたぞ!

 だがしかし。

 その大剣がメアに届く事はなかった。

 何故ならメアのサンダルフォンが大剣を根元からぶった斬っていたから。

「うっそ」

 滅茶苦茶頑丈そうな大剣をハサミ開いてシャーってやるみたいに斬ったんですけど。

 何あの切れ味。やばすぎでしょ。

 あれが『切断』スキルを極めたメアの剣技か。

「ね? 大丈夫だったでしょ? メアちゃんが何で防御特化にしてるかって言うと、相手の攻撃をサンダルフォンで‶受ける″事で武器破壊が出来る事なんだよ」

 はー。

 確かにそうすれば武器を使うモンスターはもちろん、素手や牙で攻撃してくるモンスターにもザックリ行けますもんね。

 でも受けきれない程の四方八方から攻撃されたら…? と聞く前にリーダーのピンチに子分リザードマン数匹がメアに向かって突っ込んできた。

 今度こそヤバイのでは?

 いくら何でもぶった斬れるって言っても斬れないと斬れないのでは?

 しかしやっぱりその心配も杞憂に終わった。

「ギ?」

「ギャッ?」

「ギギッ??」

 一瞬で子分リザードマンの武器がぶった斬れた。

 今のシーン、スーパースローモーションカメラでもう一度観てみましょう。

 …あー、ここですね。

 メアが付けているマントというかサーコートを体を回転させてなびかせて全方位攻撃を行っていますね。

 確かにサンダルフォンで攻撃しないでも切れ味が落ちやすいだけで獲物は何を使ってもぶった斬れますもんね。

 あのマント格好いいから着けてるんじゃなくてちゃんと理由があったんですね。

 それにこの一瞬の出来事で子分リザードマンは完全に戦意消失しちゃってるし、リーダーも武器がないからギギギしてるし。

 これは勝負あったな、と思ったけど、さすがはリーダーというか意地を見せて素手でメアに殴りかかって来た。

 そこで俺の頭をよぎったのはヴィヴィみたいに顎を打ち抜かれるんじゃなくて殴って来た手をぶった斬られる、という事だったのだが、一つ引っかかる事がある。

 それは体格差。

 いくらサンダルフォンやマントが切れ味抜群でも爪楊枝やハンカチではリザードマンクラスは倒せるかもだが巨大なドラゴンは倒せない。

 このリザードマンリーダーのように肉を切らせて骨を断つ攻撃を仕掛けてくるかもしれない。

 では何故メアは最高のSランクまで上がる事が出来たのか。

 そんな疑問をメアは即座に解決してくれた。

 メアは殴りかかってきたリザードマンリーダーを、

「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!???」

 紫色の巨大な剣でぶった斬ったのだ。

 忘れていたがメアは普通の剣士ではなく‶魔″剣士。

 メアが創り出した‶魔剣″はサンダルフォンを柄にし、巨大な刀身は紫色に光り輝いていた。

 侍が持ち霊のゆるい少年が二段媒介した時に出す剣みたい。

 今まで見た中で一番ファンタジーだった。




  ―――




「ヴィヴィさんもメアさんも凄いです! とっても格好良かったです!」

「双壁の戦乙女の名は伊達じゃないわね」

「ヴィヴィ姉ちゃんすげぇ! メア姉ちゃんもすげぇ!」

「すげー! すげー!」

「ちくしょう…! 俺も見たかったなぁ…!」

「あなた、怪我してるんだから無理しちゃダメでしょ」

「へっへっへっへっへっ!」

 リザードマンの群れを見事追い払った俺たち。

 ちなみに俺は顔面に一発もらって笑われただけ。

 でもちっぱい女子やオリオンさん一家が傷一つないのは喜ばしい事なので俺は全然構いません。

 俺tueeeeやりたいわけではないし! ちょっとはやりたいけど!

 そんな訳で俺たちは再びミスニーハに向けて馬車を走らせることにした。

「しかしマジで強いんだなメア」

「いえ、(わたくし)はまだまだです。鎧を着こんでいる分、俊敏に動けませんので馬車の護衛はヴィヴィ様にお任せしてしまいましたし」

 確かにメアの弱点は俊敏性に欠ける事や魔法に弱い事だろうか。

 圧倒的防御力と言う名の攻撃力を持っているが、護衛対象の反対側にいる敵に対しての有効な攻撃手段というか護衛手段がない。

 なので今回もヴィヴィを後衛、メアを前衛で馬車を守る陣形にしたらしい。

 でも前衛でタンク役と見せかけてのポイントゲッターとはビックリです。

「ヴィヴィも見直したよマジで。ただの大食い可愛いちっぱい警備員じゃなかったんだな」

「えへへ、そうでしょ…ってダイゴ!? あたしの事そーいう風に思ってたの!?」

 シャッ! っと一瞬で背中に回られておんぶされる。

 は、はえぇ…。

 流石はパンサー。俺はガゼル。勝ち目はない。

 でもおんぶしてるので背中にヴィヴィのちっぱいが当たります幸せ。

「大吾さん、お顔が見るに堪えない程ふにゃふにゃになってますよ」

「はっ」

 しまった! 

 正妻マールちゃんの前でちっぱいと言えど他の女の子にひゃっほいするとは!

 でもジト目で言ってくるマールちゃん可愛い。

「昨日の夜もプリーンのお店で大吾さん好みの女の子を見てふにゃふにゃしてましたもんね」

「えっ。何それ。初めて聞いたわ。ホントなのだいご? 盛られたいの?」

「スズランちゃん? 確かに本当だけど何を盛るつもりなの? 寝るやつだよね? せめて寝るやつだよね?」

「寝るやつよ。ちょっと痺れて血とか吐くかもしれないけど」

 永遠に寝るやつじゃねーか。

 スズランちゃん怒らせたら毒毒攻撃してくるからな。俺は何とか進化して鋼タイプを手に入れないとこの先生き残れない。

「でもダイゴ好みの女の子なんてあの店にいたっけ? あたし全然気付かなかったなぁ」

「ヴィヴィさんとスズランさんがお手洗い行ってる時にお店に入って来たお客さんでしたからね。ピンクっぽい紫色の綺麗な髪をした女性でした!」

「えっ…?」

 ピタァ…と俺とマール、ルナ、バニラ以外の時が止まる。

 その止まった皆の視線の先にはメア。

 そしてその見られているメアは微振動。

 何がどうしたのよ。

「えっえっえっ。だ、ダイゴ様が…?」

「え? メアもあの店にいたのか? いたなら言ってくれれば一緒に食べたのに」

「なっななななにを仰いましゅか! い、いませんいましぇん! 私は昨夜、私用で疲れ果て宿の部屋でそれはもうぐっすりと!」

「ですよね! わたしも見ましたけど中身入ってないんじゃないのかと思うほど微動だにしなかったですもんね!」

「ままままマール様!? 入りましたか!? 入ったんですか!?」

 メアがめっちゃくちゃ動揺しとる。

 仮にマールが見たメアが空のフルプレートだったとしても、俺が見たちぱ娘には当てはまらないと思うけどな。特に胸。

 ちぱ娘はちっぱいレベル99。

 メアは顔が隠れているので測れないが10~20だと予想。ちぱ娘とは全然違う。

「そういえばその子がメアの部屋に入ろうとしてたんだけど、何か聞きたい事でもあったんじゃないのか? 宿出る時何か聞かれた?」

 という俺の言葉にメアとマール、ルナ、バニラ以外の皆は『うわぁ…』という表情。

 おいおい。なんだよ。言いたいことがあるならハッキリ言いなさいハッキリ。

「え? 宿の方ってブラウンのショートの人じゃなかったでしたっけ?」

「え? いやいや。ピンクパープルのロングヘアだっただろ?」

 俺とマールちゃんが見た宿屋の人が違う。

 確かに俺が部屋を取った時も受付してくれたのはブラウンショートの女の子だった。ちっぱいレベルは62だった。

 それなのに俺が深夜に見た女の子はちっぱいレベル99のピンクパープルロングヘアの女の子。

 つ、つまりこれって…!

「姉妹でやってたんだな!」

 ドンガラガッシャーン! と、ドッドッドリフみたいに皆ズッコケた。

 スズランちゃんは白。ルナは白と水色のボーダー。コメットさんは青のレースショーツだった。

 マールちゃんは『なるほど!』と納得したのでズッコケなかった。おしい。

 でも今日のマールちゃんは水色の下着の日って事は知ってる。抜かりはない。

 ヴィヴィはホットパンツだし、未だに俺におんぶしたままだからちっぱいの感触最高だった。

 ここまで来て何で分からないんだアホ! って思うかもしれないが、俺にはメア≠ちっぱいレベル99のちぱ娘っていう絶対の自信があるんだよ。

 何故なら朝にシルヴェストリを発つ時、また会えるんじゃないかと思って‶ちぱロケーション″でレベル99縛りをして探知してみたが反応があったのはマールだけだったから。

 メアには反応が無かった。

 そもそもちぱロケーションの発動条件は看破の神眼で見た事のある人だけ。

 メアはフルメイルで顔を隠しているので看破の神眼が使えない。

 使えないならちぱロケーションにも反応しない。

 しかしもしレベル99のちぱ娘がメアだった場合は見た事になるのでちぱロケーションに反応があるはず。

 試しにレベルを95くらいまで1単位で下げて探知してみたがかかるのはヴィヴィだけだった。

 なので俺はメア≠ちっぱいレベル99という結論に至ったのだ。

 だが、そうなるとあのちぱ娘はどこへ行ってしまったのだろう…?

 まさか俺の欲望が生み出した幻影だったのだろうか…?

「それにしてもメアさんの鎧格好いいですよね! わたしも着たいです!」

 そしてマールちゃんから唐突の話題チェンジ。

 確かにメアのフルプレートは格好いいもんね! 俺もあと十年若かったら着たかったよ!

「まーる。めあのフルプレートはこの世に二つとない特注品で『アレキサンドライトスピネル』っていう鉱石から作られているの。それはそれはお高いわよ」

「ど、どのくらいですか…?」

「私の予想では………くらいね」

「ぴえー!?」

 マールを御者の席に呼んで小声で話すスズラン。

 ってマールちゃん!? いくらなの!? だんだん焼き何個買えるの!?

 するとマールちゃんは律儀に両手で数えだしてくれた。

 可愛かったのでそのままにしておいた。

「アレキサンドライトスピネルはアンチマジック効果が高いからね。メアちゃんの弱点である魔法もそのフルプレートで完全防御って事だよ」

「メアって金持ちだったんだな…」

「いえ、私は自分で取って自分で加工致しました。アレキサンドライトスピネルは加工が難しい為、装飾品などは高く値付けられておりますので」

「…なるほど。切断のスキルはこういう時でも役立つってわけだな」

 加工不可能レベルの硬度の物体でもメアにかかれば粘土細工や折り紙切るみたいにスイスイいじれるもんな。

 つまりは今メアが着ているフルプレートはメアデザインと言う事。

 メアちゃん男心っていうか少年心が分かってるね!

 自分が着るのはゴメンだけど滅茶苦茶格好いいもんね!

「私たちが強大なモンスターと戦うには優れた武器防具が必要です」

 確かに本体がチートのヴィヴィと違って、メアはどっちかって言うと武器や防具がチートの冒険者だからな。

 でも普通の人間族はほとんどがそうだろう。

 聖剣を手にした勇者がいたとしても聖剣を使わなければ並レベルの剣士になりそうだし、伝説の盾を持っていても鍋の蓋を使っては貫通されて致命傷を負う。

 つまりメアはロールプレイングゲームの終盤なんかに完成する最強装備を揃えた魔剣士って事だな。

 もちろん切断や一閃のスキルの恩恵も大きいだろうけどね。

「だいご。一般スキルと言っても極める程のレベルにするには相当の技術が必要よ。私もギルドで調べてみたけど、ミスニーハでは過去に例はなかったわ」

「だろうな。メアは武器防具云々よりそこが凄いと思うよ」

「そ、そんな事はありません。優れた武器、防具があって成せるだけです。しかし皆が皆、手にできるものではないのでそんな方々を護るのが私の使命だと思っております。ですから私は護衛クエスト、防衛クエストを主に受けるようにしているのです」

 報酬もスキルのレベルアップもそのおまけに過ぎません、と。

 おい聞いたかタワワニ・ミノルの全メンバーたちよ。

 自分の事より他人の事だぞ。

 同じタワワニ・ミノったメアを少しは見習え。

 しかし何ていい子なのかしら。

 もしメアがちっぱい女子だったらおんぶしてちっぱいの感触確かめるんだがな。

「わかりました大吾さん!」

「何だマール! いきなりどうした!?」

「メアさんの鎧でとにかくいーーーーーーーっぱいだんだん焼きが買えます!」

 両手を広げていーっぱいするマール。

 まだ数えてたのねマールちゃん。くっそ可愛いじゃねーか。

 あとでだんだん焼き買ってあげようね。

 だからメアの鎧を指咥えて見るのやめなさい。



デカイ武器を女の子が使うのはファンタジーものの特権だと思うの。

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