表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/67

大吾と双壁の戦乙女②

●前回のあらすじ●

ルナとマールちゃんは大号泣可愛かった。



 俺のクランメンバーって言うか、知り合いはみんなここが地球だよって言われても違和感ない格好をしている。

 俺とマールはクエスト用の服のつなぎとオーバーオール。

 ヴィヴィはパーカーとホットパンツ。

 スズランは白い受付嬢の制服だが、まぁ別にそんな現実離れしてるわけじゃない。

 サンルナ兄妹もどこかのアルプスの農民みたいな服を着ているし、バニラはもっふもふだし。

 でもね?

 このメアちゃんはね?

「…」

 ヘルムはガッチガチのフルフェイスタイプ。

 体も黒紫のフルプレートで覆われていて、可動部などは紫のラインが入った黒のぴっちぴちスーツみたいなものを着ている。

 そしてそんなフルプレートの上にマントのようなサーコートのような布を纏っており、腰には噂のサンダルフォンと呼ばれている剣が差されている。

 フゥワンタズィーですやん!

 一気にフゥワンタズィーですやーん!

 学生が好きそうな格好だよ! 数年後に見返すと顔真っ赤になるやつ!

 いや、異世界で、しかも冒険者稼業をしているんだからメアって人の格好が普通でヴィヴィや俺やマールみたいな格好が異端だっていうのは分かるよ?

 装備無しのインナー縛りでモンスター狩ってるようなもんだからね。

 ギルド内にいても浮いてるのはどっちと問われたら殆どの人が俺たちって言うほどこの格好合ってないからね。どっちかって言うと農民とかの格好だしね。

 でも、それにしてもガッチガチに固め過ぎてしょ。

 確かにこの格好なら‶壁″と呼ばれてもおかしくないかもしれないけどさ!

 返してよ! 壁の意味を勘違いした俺の邪で純情な心を返してよおおおおおおぃ!

「ヴィヴィ様。こちらの方々は?」

 うおっ!?

 しかも顔がフルヘルムで覆われているから声が反響してるみたいで格好いい! 例えるなら赤と金のアイアンの人みたい。もしかしてどこかの社長さんですか?

「この人たちはあたしのクラン仲間! リーダーのダイゴ。と、正妻のマールちゃん」

「初めまして。青木大吾と嫁のマールです。よろしくお願いします」

「ヴィヴィさん!? 大吾さん!? 何言ってるんですか!? いつわたしが大吾さんの正妻になりましたか!? …あっ。すみません。マールです。よろしくお願いします」

 ヴィヴィと俺の言葉にガウガウ怒るマールちゃんマジ正妻。

 ヴィヴィちゃんナイス。

 でも正妻って何? その言い方だと他にも第二、第三の嫁がいるって思われちゃうんだけど。

「初めまして、ダイゴ様、マール様。メアと申します。ヴィヴィ様とは二人で‶双壁の戦乙女″などと呼ばれておりますが至らない点も多く、ご迷惑をおかけする事も多々あると思いますがよろしくお願い致します」

 かたーい!

 見た目と一緒で挨拶もガッチガチですやん。

 同じ双壁の戦乙女でもヴィヴィとは正反対ですやーん!

「スズランちゃんは知ってるよね。あとそっちの子供たちは今回護衛する夫婦の子たちでサンとルナ」

「スズラン様にはいつもクエストの受付をお願いしておりますので、ユリ様にも大変お世話になっております」

「気にしないでいいわ。仕事だもの」

「サン様、ルナ様。今回の依頼、お父様とお母様の護衛確かに承りました。全力を以て任を務めさせていただきます」

「ホント!? ありがとうございます! メア様! …あっ、メアさん!」

「ありがとござます! めあさまん!」

 サンくんまたメア様って言ったね?

 あとルナちゃん? 『めあさまん』って。混ざっちゃったのかな?

「あと愛狼のバニラ。アイスじゃないから食べちゃダメだよ?」

「何と…、(わたくし)はてっきりアイスだと…。申し訳ありません、バニラ様」

「へっへっへっへっ!」

 バニラを抱っこしてマジマジ見るメア。

 マールちゃんがあわわわ…してる可愛い。でもマールに似た考えを持った人がいる事に驚きを隠せません。もしかしてメア様もフルもっふ族ですか?

「あ、あのー。メア、さん?」

「何でしょう? ダイゴ様」

「さっき護衛は承りましたと仰ってましたが」

「はい。申しました」

「えっと、よろしいのですか? 俺…あー、私から見てもSランクの報酬とは天と地の差があると思うのですが」

「他ならぬヴィヴィ様のお願いですから。それに私用でシルヴェストリにはお伺いをする予定でしたので」

「そうでしたか。ありがとうございます」

 いい人だった! メアさんいい人だった!

 正直タワワニ・ミノった胸部プレートを見た時は落差にカーッ、ペッだったけど、巨乳の人にもいい人はいるんだ! …当たり前か。

 そんな訳でメアさんには失礼ですが、恒例のちっぱいスカウターこと‶看破の神眼″を発動。

 タワワニ・ミノってると言ってもニュウバックさんやユリさん程ではないので、俺の予想では10~20くらいだと思う。どれどれ?

「…?」

 あれ? 変だな。ちっぱいレベルが測れない。

 ……はっ! そうだ。看破の神眼の発動条件は‶相手の顔の一部が見えている事″。

 メアさんはフルヘルムで顔が見えないからちっぱいレベルが測れないんだ。

 まぁでもちっぱいじゃないから測らないでもいいか(クズの考え)。

「っと。そう言えば野営をしたくないので、すぐにミスニーハの街を発ちたいのですがよろしいでしょうか?」

「構いません。サン様とルナ様、ご両親の為にもその方が良いでしょうから」

「ありがとうございます。よし、スズラン。馬車を手配してくれ。オリオンさんとコメットさんがもしかしたら起きれない状態かもしれないから寝ながら運べる大きめの荷台のやつ」

「ん。言ってくるわね」

 カタっと席を立つスズラン。

 全身真っ白なスズランと全身真っ黒なメアさんを隣り合わせると、膨張色だとかフルプレートだとか抜きにしてもスズランがちっちゃく見える可愛い。何がとは言いませんが。

「…だいご。褒めてくれて嬉しいわ」

「えっ。俺今声出てました?」

「目線で分かるのよ」

 スズランはそう言うと、ふふっと笑ってギルドの受付内に入って行った。

 それにしてもスズランちゃん、目良すぎじゃない?

 瞬きレベルでチラ見する俺の目線を感知するとは。人に出来る事なの?

 今度からスズランは俺と対面の席じゃなくて横の席にしよう。

 じゃないとちっぱいガールズとメアさんとではチラ見の回数に明確な差がある事がバレてしまうから。

 でも隣はマールちゃんだからダメよ?

「ダイゴ様はクランの皆様を本当に大切になさっているのですね」

「え?」

「目を見れば分かります。私を見る目と、マール様、ヴィヴィ様、スズラン様を見る目が全く違いますから」

 おっとー? ここにも人外のスキルを持ったお方が?

 Sランカーは皆こんなに凄いのかしら? もしかしてスズランちゃんも本気を出してないだけで実はSランクだったりしないよね? 力が封印されてるだけとかじゃないよね?

「噂で耳にしておりしたが、今日会った限りダイゴ様は変態でも鬼畜でも視姦魔でもなさそうですね。噂は噂、という事ですか。ヴィヴィ様がお気に召すのも納得です」

「メアさん? そんな噂がミスニーハの街には流れているんですか?」

「大吾さんはお胸が小さもがっ」

「ちょっとマールちゃん? 今それ言っちゃダーメ」

 俺は急いでマールの口を押さえた。

 サンとルナが聞いてるでしょ、あっ。二人してバニラもふもふしてた。聞こえてなかった良かった。

 それに折角評価してくれたメアさんにまで変態扱いされたくないからね。

 他人の評価は気にしないけど、低いよりは高い方がいいに決まっている。だからマールちゃんはちょっとお口にチャックしておこうね。

「クランの皆様が仲良くて見ていて微笑ましいです」

「メアちゃんもこれから一緒にクエスト行くんだから仲間だよ!」

「もがもがっ…!」

 俺の手をポンポンするマールちゃん。

 何か言いたそう。

 また変な事言ったら今度は口で口を塞ぐよ? というゲス顔のアイコンタクトを受けたマールがコクコク頷いたので俺は手を離した。

 いい匂いがする掌になった。

「ぱぁ! ふーふー。そうですよ! メアさんはもうお友達です!」

「友達…」

「そうですね。Dランクな俺たちですけど、仲良くしてくれると嬉しいです」

「そんな、私なんかと」

 フルプレートをカタカタさせるメアさん。

 マールちゃんの優しさに触れたんだ。

「私、何故かギルドの皆様に距離を取られてまして、仲の良いお友達と呼べる方はヴィヴィ様だけでした。そんな私でもよろしいのでしょうか?」

 ハテ? するメアさん。

 何を言うのかと思ったよ。

「全然いいに決まってますよ! サンくんとルナちゃんもいいですよね?」

「僕もメアさ…んと友達になりたい!」

「めあさまん、るな、おともだちー」

「皆様…。ヴィヴィ様、ヴィヴィ様のクランは本当に素晴らしい方々ですね」

「えへへ、クランを褒められるとあたしも嬉しいよ。ね? ダイゴ?」

「だな。スズランだってメアさんとすぐ仲良くなるはずだ」

「で、でしたら…その…」

「ん?」

 今度はモゾモゾもじもじするメアさん。

 フルプレートが可愛いと思ったのは生まれて初めてです。

「わ、私の事は是非、‶メア″とお呼び下さい」

「わかりま、った。じゃあこれからよろしく、メア」

「はい! ダイゴ様!」

「メアは様付けなのね」

「あっ、すみません…。癖でつい」

「まぁメアの言いやすい呼び方でいいよ。ありのままのメアでいいよ」

 手から氷出したり、足でいりえ凍らせたり。

 そうなったら雪だるま作ろう。

「わたしはメアさん!」

「あたしはメアちゃん!」

「僕はメア姉ちゃん!」

「るな、めあおねえちゃん!」

「だったら私もだいごと同じく、めあにするわ」

「うおっ。スズランいつの間に」

 俺たちがメアメア言いまくってたらスズラン帰って来てた。

 と、いう事は?

「馬車の準備が整ったわ。万一の為の往復半日分の水と食料も積んだし、後はシルヴェストリに向かうだけね」

「さすがスズランちゃん。仕事早いな」

「第四の刺客が仲間になるんだもの。遅れを取らないようにしないといけないわ」

「第四の刺客?」

 ハテ? する俺。

 何の事だろう。仲間になるって事はメアの事だろうけど。

 メアは冒険者、スズランは受付嬢。

 お互い活躍の場は違うような気がするんですがそれは。

「ダイゴが真実を知ったらどうなるか見物だね」

 む。ヴィヴィは分かってるようだ。

 という事はマールちゃんも?

「ほぇー?」

 可愛くほぇーしとる。

 全然分かってなさそう。でも大丈夫だよ。俺も全然分からないから! マールちゃんとお揃いだよ!

 っと、まぁとにかく今はシルヴェストリを目指そう。

 サンとルナも早くオリオンさんとコメットさんに会いたいだろうからね。

 こうして俺たち三つ輪のクローバー(+バニラ)とメアのオリオンさん一家の護衛クエストが始まった。



次回、フルメッア&フルヴィッヴィ! になるかならぬかならぬかなるか

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ