大吾と休日➂
●前回のあらすじ●
マールは泣いても可愛いちっぱい天使だった。
「それにしてもすげぇ人だな」
俺とマールはミスニーハの中心街まで昼飯を食いに来ていた。
この辺りまで来るとギルド近くでは多く見かける冒険者より商人や市民の方が目立つのだが、今日は冒険者も目立つし、むしろそっちの方が多いくらいだ。
「何かあるんですかね?」
ハテ? するマール。可愛い子。手を繋いで歩きたい。
マールの体内時計での午前中に石工職人の工房やケイの店、ギルドへと足を運んだので結構街を歩いていたが、やはりギルドがある地区と中心街では人の通りが違うな。
「あら」
そこでバッタリ出くわした『串や』の屋台のおばちゃん。
今日もいい匂いでマールの可愛い鼻がピクピクしだしました。
「いつも同じ場所で出してるわけじゃないんですね」
俺たちが異世界に来て初めて買った時とクエスト初日の時はギルド近くのベンチのある広場だったけど。
「今日はヴィヴィちゃんが街に来てるからね。冒険者も商人も集まる中心街に出張ってわけだ」
「ヴィヴィちゃん?」
知らん名だ。王家の人か何かかな? ならば全力でスルーしよう。関わるとろくなことがなさそう。
「アンタ冒険者なのにヴィヴィちゃん知らないのかい。ミスニーハの街で1、2を争う凄腕だよ。ディラゴォン相手にソロ討伐したって」
「そうなんですか」
とにかく凄い人って事は分かったけど、正直そんな凄腕の冒険者と俺たちとでは住む世界が違うだろうし適当に聞き流した。
AランクSランクのクエストを『ちょっとコンビニで金おろしてくる』感覚で行ってそうだもの。
でもディラゴォンは気になる。間違ってもドラゴンじゃないよね?
「有名人は街に出るのも大変ですね。人が集まっちゃって」
「ん? 今日はヴィヴィゲームやってるんだよ」
「…ゲーム?」
また知らない言葉が出て来た。
ゲームって? 電気ないからスマホもハード機も使えなくない? トランプとかかな?
「うーんと、簡単に言えばヴィヴィちゃんに触れれば賞金が貰えるゲーム、かね?」
あたしも実は詳しくは知らないんだ、と笑うおばちゃん。
おばちゃん曰く、そのヴィヴィという凄腕冒険者はデビューから今まで一度も討伐クエストや、街での模擬戦などで被弾をしておらず、その回避の高さを生かしてゲームを開いているんだとか。
参加者は金を出し、見事触れる事が出来れば今まで貯まったジャックポットをゲット出来るというシステムらしい。
多い日には1000パルフェ(100万)近く集まる事もあるんだとか。ほげぇ。凄すぎ。
腕に覚えのある冒険者も今日こそは! と思って挑戦するも失敗、ヴィヴィという子は女の子らしいので体目当てで挑戦する商人や市民も失敗と今まで無敗を続けているらしい。
正直何回かはわざと捕まって客のギャンブル欲を煽っているのかと思ったけど、正真正銘どんな相手にも全力で立ち向かうのが逆に闘争心(と色欲)に火を点けているのかもしれない。
街の人もヴィヴィが来てくれると売り上げも上がるし、ヴィヴィ自体が結構食べる人らしいので宣伝もあって凄く助かっているらしい。
人気実力を兼ねた正に街を代表する冒険者なのであった。
まぁ見かけたら覗いてみるくらいしておこうかな。
俺はマールちゃんとデートするから他の女の子がいかに凄くて魅力的な催し物を開いてても興味ないし。ね、マールちゃ、あっ。ビーストモードになっとる。
そんなマールにほっぺぷに。)3(。柔らかい食べちゃいたい。
「ふぁっ」
「マールちゃん今の話聞いてた?」
「はい。リンゴを使った料理で代表作と言ったらやっぱりアップルパイって話ですよね?」
うん。全然聞いてないね。
それにマールちゃん。出来ればこっち向いて? 屋台の串焼きをじっと見て話しても返事はないよ?
「はぁ。これからパイ食べに行くんだから一個だけだぞ」
「いいんですか!?」
返事はないけど手には入れた。
これまた食べたことがないつくねのような練り物を焼いたものだ。お値段一本300コーン。
おばちゃんから『熱いから気を付けてね』と言われて貰ったマールちゃんマジ笑顔。その価値はプライスレス。
そんなマールはおばちゃんの忠告を全く聞かずに一気に半分くらい頬張った。
「はふ! はふ! はふ!」
…。
…尊い。
はふはふマールちゃん尊い。
でもおばちゃんがポッカーンって顔してるから出来ればふーふーして食べなさい。口の中を火傷しても知らないわよ。
「ふましー♡」
くっ…! なんという殺傷能力。
マールちゃんがフードファイターになってテレビに出たら視聴率80%は下らないだろう。正に国民的ちっぱい天使。
「はい! 大吾さん! 美味しいですよ!」
「え?」
なん…だと…。
マールがつくね串(とおもわれる物)を半分だけ食って俺にくれた。
マールが半分食ったつくね串を俺にくれた。
半分食った残りのつくね串を俺にくれた。
いや、今はそれより――
「マールちゃんお腹痛いの? 今日はデートやめとく?」
「頗る調子はいいですけど? あとデートとは?」
「よかった。マールが調子悪いのに無理やりデートに連れてきてたのかって自分を罰するところだった」
「心配してくれてありがとうございます、大吾さん。それでデートとは?」
「いいよいいよ。でも何で? いつもデートでご飯食べる時は間髪入れずにほっぺパンパンにしてフルモッフするのに」
「……わたしもうお金貰ってますから、半分こです」
デートで押し通した。
それに律儀なマールちゃん可愛い。
「それじゃ貰おうかな」
「はい! どうぞ大吾さ」
「はむっ」
食った。マールの手に持たれているつくねをそのまま。
「なっ、何でそのまま食べるんですか!? 自分で持って食べて下さいよ!」
「ふぇ? ふぁってマールふぁんがふぁーんしてくれふぁから」
「誰があーんしましたか! はいどうぞってまぁ確かに捉え方によってはそうかもしれないですけど!」
「だろ? なのでわざと勘違いしてしまった俺は悪くない」
「今わざとって言いました?」
うん。これは確かに美味い。それにやっぱりつくねだった。
もう24になるし関節キッスひゃっほいする年でもないので食うのは全然緊張しなかったけ緊張したああああああああああああ!!!
マールのはいどうぞから涎溢れだして口の中ウツボットみたいになってたし、どうやってあーんして食べても怒られないか考えた結果今に至る。
俺はマールほど一気には食わないのでつくね串は残り1/4程残っている。よし(決意)。俺はガウガウ怒ってるマールから串を受け取った。
「これ以上食うとこの後のアップルパイに差し支えるから残りはマールが食べていいよ」
「えっ」
はいどうぞ、と今度は俺がマールに串を差し出す。
もちろん完璧あーんの位置。マールの関節キッスを頂いた俺はお返しをしないといけない(主観)。
「い、いいですよ。わたしもう半分食べましたし」
「いらないの?」
「……いります、けど」
ふっ。
食べ物に目がないマールちゃんの弱点は知ってるんだよ。
よくビスケットとかクッキーとか二人で食べてる時に最後の一枚どっちが食べるってシーンになるだろ?
ここで最後の一枚まで仲良く半分こするような事は正直少ない。どちらかが食って終わりだ。
それでお互いに確認して譲る譲られるか、争奪戦になるか。
俺は一人っ子なのでそんなシーンは学生時代友達とハンディングゲームしてた時くらいしかないが、最後の一枚を譲った友達の物欲しそうな目は今でも忘れない。自分に嘘をついて譲るからである。
マールも恐らくはその部類なのだろうが、そういう人は総じて譲って来てもこっちが断ると九分九厘受け取る。これ豆な。
なので俺はマールの半分こを断りました。
「あーん」
「じ、自分で食べれます」
「あーん」
「あ、あの…」
「あーん」
俺のあーん攻撃に顔真っ赤であうあうするマールちゃん可愛い。
もう長い付き合い(3日目)になって俺がどういう性格なのか知ったマールは、これは食べないと終わらないやつだと理解し、恥ずかしさから目を瞑り口を開けた。
「あ、あーん」
「…」
なんだろう。
なんだろうこの気持ち。
俺は今、マールにつくねを食べさせてあげているだけなんだけど、何故か物凄くいけない事をしているような気がする!
よし、整理しよう。
目の前には顔真っ赤で目を瞑り口を開けているマールちゃん。
口の中は舌もほっぺの内側も綺麗なピンク色。キラキラ輝いている。
歯も虫歯無く真っ白。綺麗に並んで輝いている。
そんなマールの中(語弊有り)をマジマジと確認していると待ちきれなくなったマールはちょっと背伸びして戻って背伸びして戻ってを繰り返し、『早くちょうだい』をアピールしてきた。
たまらんかった。
「ほい。まだ熱いから気を付けてな」
「はふっ」
そして俺はマールにあーんしました(達成感)。
いやー。もう今のやり取りだけで今日の不幸を全部帳消しに出来ましたわー。
でも多分これまたマールちゃんからの好感度ガックーン下がるやつだよね。
そんなマールちゃんはほっぺた片方につくねを頬張ってもふもふしてます。よく伸びるぷにぷにほっぺですね。
「食べやすい味付けだし、軟骨がいい食感になってるよな」
「……味がわかりません」
もふもふマールちゃんからつくねをもらった感謝と辱めを受けた怨嗟の入り混じった視線を頂きました。そんなマールちゃんも可愛いです。
そしてそんなやり取りを一部始終見ていた屋台のおばちゃんからも微笑ましい眼差しを向けられていた。
俺とマールの仲の良さが分かってもらえたようで何よりだった。
―――
アップルパイは美味かった(省略)。
いや違うんだよ。俺の話を聞いてほしい。
まず俺がアップルパイが食える店にマールを連れて行きますやん?
そしてテーブルに通されて注文しますやん?
それでアップルパイ来ますやん?
食べますやん?
外はパリパリ、中はしっとり、リンゴはシャキとろで激うまですやん?
そんなアップルパイを食べたマールちゃんはそれはもうトロットロですやん?
終始笑顔を撒き散らして店員や客も和みますやん?
な? 可愛いだろ?
だからそんなトロトロマールちゃん可愛いと思って見てたらいつの間にかランチが終わってたんだよ(満足)。
そんなわけで今は広場のベンチで食休み中だ。
「アップルパイ美味しかったですね」
「あぁ。デザートのシャーベットも美味かったしあの店は当たりだな」
マールちゃんからすればどの店も大当たりなんだろうけど。
そしてそんな店に行けば笑顔で食べるマールが見れるので俺も大当たり。
「お土産にリンゴも買ったし、クエストの道中にでも食べよう」
「えっ」
今食べないの? と、ばかりに見てくるマール。
今は我慢しようね。デザートも食べた後だからね。
「代わりと言ってはなんだけど、何か飲み物買ってくる」
「あっ。じゃあわたしも行きます」
「え? いいよ大丈夫。ベンチで休んでて」
「まだ腹一分目なので休まないでも全然動けます!」
「あ、そうなんだ」
結構な食い応えがあったアップルパイだったんですけどね。
それにシャーベットも食ったし、つくね串だって冒険者サイズでそこそこ大きかった。
これはあれだな。
本当はお腹いっぱいなのに俺と離れたくなくて嘘言って付いてくるパターンだな。可愛い子なんだから。それならそうと言ってくれた方が俺は嬉しいよ。
あれ? マールちゃん何見てるの? あれはじゃがバターの屋台だよ? 飲み物じゃないよ?
「わっ。大吾さん見て下さい。凄い行列」
「マジだ。何かの順番待ちか?」
目の前に二列で並ぶ長蛇の列。
ちょっと列から顔を出して前を確認するが、人混みで何に並んでいるのか分からなかった。
「すみません。この列って何の順番待ちですか?」
なので最後尾の人に聞いてみた。
分からない事はどんな事でもすぐに聞くのは社畜時代の癖であった。
「んぁ? あぁ、トロピカルジュースの屋台が出てるからそれを買いに並んでるんだ。色々な味があるし、濃厚で美味しいんだよ」
「そうね。私はパイナップル味がオススメよ」
そう教えてくれた最後尾のカップル。夫婦かしら? 僕とマールも夫婦なんです(片想い)。
「そうでしたか。ありがとうございます。マール、ちょっと並ぶけど飲んでみるか?」
「飲んでみたいです! …あっ。教えてくれてありがとうございました」
ぺこり笑顔でお礼を言うマールちゃん。
その笑顔に旦那さん(?)も思わず頬を染める。
そしてそれを見逃さない嫁さん。尻の肉を力の限り抓った。でも俺たちには笑顔を絶やしません。
旦那さんは『いって!』と声を上げ、嫁さんに一言物申そうとしたらしいが(表面上は)笑顔の嫁さんの目を見るなり大人しくなった。相手を目で制す嫁tueeee。
すみません旦那さん。
マールちゃんが可愛かったばっかりに。
「ジュース楽しみですね、大吾さん!」
そんな夫婦の一方的な攻防戦が行われているとは露知らずなマールは笑顔です。
でも確かに楽しみだ。
二人で違う味のジュースを買って飲み比べとかね! 夢が広がる。でも飲み比べたらその後は全部マール味になりそうなんですがそれは。
「そう言えば」
ステータス・オープン、と言ってモニターを表示する。
前の夫婦ももう普通に並んでいるし、後ろにも並び始めているが背中で陰になって見えないので大丈夫だろう。
見えるとしたら隣でハテ? してる可愛いマールちゃんだけ。可愛い。
「収集クエストでも一応はクリアしたからレベルアップとかスキル覚えてないかなって」
「なるほど」
マールもぽん! と手を打って頭の上に豆電球を出した。…えっ? 電化製品? でもこの時代じゃ使えなピカピカ光っとりゅううう。
昨日コーコー鳥の卵の殻納品した際にモンスターは討伐してないが殻割るのにやたら斧振ったし、マールも色々やったし何か上がってないかなぁと思ってステータス・オープンしたのだ。
したのだが。
「んー、わたしは特に変わらないですね。前回と同じです」
「だな。俺も相変わらずレベル1のままだし、あれ?」
ステータスの上がりはないがスキルが増えていた。それも二個。
これはあれか?
俺はステータスが低い代わりにスキルなどで無双するタイプなのかもしれない。
最近流行りの弱すぎて追放されたが実はチートキャラでした系主人公なのかもしれない。
マールもどんなスキルなのか興味津々なようなので早速スキルタップ。
『ちぱロケーション』
ちっぱいの神専用スキル。消費MP0。
自分中心に周囲のちっぱい女子を探知出来る捜索スキル。捜索範囲はINTに依存する。
しかし‶ちぱロケーション″で探知出来るちっぱい女子は‶看破の神眼″でちっぱいレベルを測定した者に限る。
スキル展開の際にちっぱいレベルを設定すれば限定探知する事も出来る。
例)捜索ちっぱいレベルを99に設定…マールのみ探知、など。
「また神スキルを手に入れた、か」
「えぇぇ…」
モニターを見てお互い反応が違う俺とマール。
神スキルを得た俺は気分上々。一方マールはとても冷めた目をされています。
「このスキル使う機会あります?」
「あるある」
「例えば?」
「例えば…、そうだな。もし俺とマールが喧嘩してマールが宿を飛び出しちゃったとするだろ?」
「はい」
「喧嘩した時はお互い熱くなってたけど、いざ一人になると何でこんな些細な事で喧嘩してしまったんだって思うわけだ」
「よくあるパターンですね」
「んだ。こんなにもお互いに愛し合っているのに、と思うわけだ」
「お互いとは」
「しかし飛び出して行った手前、宿には戻りづらいマールちゃん。路地裏の外階段下で体育座りをしてすんすん泣くマールちゃん」
「漫画やドラマの見過ぎです」
「そこへ優しく迎えに行く俺。手にはだんだん焼き」
「大吾さん結構だんだん焼き推してきますけど、わたしその他の食べ物も好きですよ?」
「そして仲直りした二人は宿に戻って激しく熱い夜を」
「過ごしません」
と、まぁこんな感じよ、とマールに話す。
マールはうーんうーんと難しい顔(可愛い)をしていたが、街中ならいざ知らずクエストに行った時など土地勘がない場所では結構な良スキルのはずだ。万一の可能性で、お互いを見失うって事もある。
まぁこのスキルも対ちっぱい女子限定だけど。
むしろ対マール限定。攻撃してるわけじゃないからスキルも発動出来るだろうし。
てかこっちを言った方がマールは納得してくれたかもしれないし、評価も上がったかもしれない(後悔)。
「もう一個はなんですか?」
ジト目で聞いてくるマールちゃん可愛い。
そんなわけでもう一個のスキルをタップ。ぽちっとな。
『ちっぱバインド』
ちっぱいの神専用スキル。消費MP1。
ちっぱい女子に対してのみ効果がある拘束スキル。
拘束力は想いに比例する。相手を想うほど拘束力が上がる。
拘束具はイメージで具現化する事が出来る。
明確なイメージを持てばその通りにちっぱい女子の体を拘束出来る。
スキル発動にはスキル名の詠唱が必要。
「…」
「…」
ちらりマールを見る。
マールはふるふると首を振った。
勘のいい皆様ならお分かりと思うが、今のアイコンタクトで俺はマールに『このスキル使っていい?』と聞き、マールは『外ですよ大吾さん。使うなら宿に帰ってベッドの上でして下さい』と返したのだ。ちょっと違うかもしれないけど。
「これこそ使う機会ないですね」
「そんな事ない! 絶対いつか必ず使う機会はある!」
「だって大吾さん職ボーナスで攻撃に規制かかってるんですよ?」
「そう…だけど!」
正に死にスキル。
無限の可能性を秘めた神スキルなのに‶ちっぱい慈愛″の効果で完全に無にされとる。なんて可哀そうなスキルなんだろう。
「分かっていたつもりでしたけど、大吾さんの、その…ち、ちっぱ、ぃ愛には未だ驚かされますよ」
ちっぱいを言うのを恥ずかしがるマールちゃん可愛い。俺もマールの可愛さには未だ驚かされますよ。
それに何となくだけど俺がスキルを覚えるタイミングが分かったような気がした。
ちっぱい女子に対して、正確にはマールに対して何か不利不都合な事があった場合にスキルを獲得出来ているのかもしれない。
ちぱロケーションの捜索スキルはギルドでの人混みでマールを見失ってしまったから。
ちっぱバインドは天使捜索クエストでマールが遠くへ行ってしまうかもという不安から。
うん。
俺のスキル獲得はマールにかかっている(ような気がする)!
思えば看破の神眼もマールのちっぱいどのくらいなんだろう? と思ったのが影響したのかもしれないし。
と、思ったその時。
「ハイ! ヴィヴィゲームの参加料は1パルフェだよ!」
と女の子に言われた。
ちっぱいレベルは27。巨乳レベルのお胸様をお持ちの女の子だった。
って、え?
ヴィヴィゲーム?
俺たちはトロピカルジュースの列に並んでいたはずでは? と思ったけど前に並んでたあの夫婦がいねぇ。
どうやらこの列は途中から二股に分かれており、片方はトロピカルジュースの店へ、そして片方はヴィヴィゲームの会場へと続いていたらしい。
スキル確認しながら並んでたから全然気付かんかった。
「大吾さん大吾さん。ヴィヴィゲームって?」
「あー。マールちゃんビーストモードになってたからね。聞こえてなかったよね」
そんなわけで内容説明。
「1000パルフェ!? 凄いじゃないですか! やってみる価値あるんじゃないですか!?」
「いやいやいや。普通に無理だろ。街で1、2の冒険者相手に、しかも無敗の女の子相手になんて金を捨てるような…も、ん」
…待てよ?
女の子、だと?
マールもそれに勘付いたらしい。もふもふ可愛いだけじゃなかったんだねマールちゃん。
「わたしでは無理ですが大吾さんなら!」
「そ、そうだ。ちっぱい女子に対してのみチートの力を発揮できる俺なら…!」
攻撃は出来ずとも触れる事は出来る、と。
幸いヴィヴィゲームのルールも触れたらOKだったはずだし。
「よし。俺は運がないけど、隣にはマールがいる。俺はその運に賭ける」
そう言って受付をしてる女の子に1パルフェを支払った。
女の子はそのお金を受け取るとデカイ貯金箱みたいな物に入れた。
外からでも分かるように貯金箱は透明で、客のギャンブル欲も煽る効果もありそうだ。
そして女の子は貯金箱の隣に置かれた手で捲るタイプのスコアボードみたいなものを一枚捲った。
そこに表示されている数字は『555』。
恐らくこの数字は今のジャックポット値555パルフェ(55万5000円)だろう。
さっき屋台のおばちゃんから一日で1000パルフェ稼ぐと聞いたので、昼過ぎの今の時間ではそれくらいなのだろうが十分過ぎる。向こう三か月分は宿代に困らない。
このシステムだと早い時間のうちは参加が渋られそうだが、力を示したい冒険者もいるし、聞けば今日は200パルフェからスタートしたらしい。
それなら1パルフェで200パルフェが入る可能性があるので客も寄ってくるだろう。
200パルフェを餌に1000パルフェを釣る。うーん、この海老鯛感。それも入れ食いじゃねぇか。釣り堀かな? ちゃんとリリースしてね?
「ではどうぞ~。詳しいルールなんかはヴィヴィさんが言ってくれると思いますので」
よし。やってやる。
あとはそのヴィヴィって冒険者がちっぱいであるか、そうでないかだけだ。
お願いちっぱいの天使様。我を救い給え。我を導き給え。
そうして通される会場へ、と言っても周りをギャラリーで囲んだだけのものだったがその熱気が凄かった。
そしてその輪の中心に立つ女の子。
噂の凄腕冒険者にしてヴィヴィゲームの主催者である彼女は――、
「おっ。キミは初顔だね。あたしがヴィヴィ。よろしくね」
マールよりも少し高いくらいの身長にスリムな体型でボーイッシュな性格。
パーカーのフードを被ってはいるが銀色の髪をしているのが分かる。
ダメージデニムのホットパンツから伸びる足も綺麗に引き締まっており、メッシュのスニーカーを裸足で履いているのが一層足を長く綺麗に際立たせていた。
肌はほんのり褐色でそしてなにより――、ちっぱいだった。
俺とマールは人知れず小さくガッツポーズをした。
褐色銀髪ボーイッシュちっぱいとマールに負けず劣らず属性テンコ盛りのチートキャラヴィヴィちゃん登場。




