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私のわがままな異世界転移   作者: とみQ
ピスタの街編
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美奈の想い

私はどうして見てることしか出来ないんだろう。

隼人くんとめぐみちゃんがこんなに大変で、一生懸命戦っているっていうのに。

――分かってる。

今の自分じゃ魔族との戦いに身を投じても、足手まといだということは。

隼人くんとめぐみちゃんはアリーシャに危険が迫らないように、魔族の意識を自分たちに向けるように仕向けるって提案してきた。

今も顔面蒼白で意識を失っていて。そんな彼女を庇いながら戦っても到底勝ち目なんかないって言った。

でもそれは実は暗に私を守ることも含まれてるんだって分かった。

二人の優しさなんだって。

だからって――。

だからといって私はここで、二人が傷ついていくのを見守ることしか出来ないの?

私は本当にそれでいいの?

二人の優しさに何を甘えていたんだろう。楽観的な自分が嫌になる。恥ずかしくて、悔しくて、消えてしまいたくなる。

魔族はどうしてこんなにも私たちを傷つけようとするんだろう。

どうしてこんなに酷いことが出来るのか理解出来ない。こんなの間違ってる。

だけど間違ってると思っていても、私にはどうすることも出来ない。

無力だから。

どうしようもないくらい何にも出来ない自分に今さらながらに気づかされた。

私はこの数日、そしてネストの村で皆が修行に励んでいる時に一体何をしていたんだろう。

別に何もしなかったわけじゃない。

けれど私は、私の努力はきっと圧倒的に足りなかったんだ。

考えると涙が溢れそうになる。

悔しくて、情けなくて。

自分の無力さに嫌気がさして気分が悪くなって吐きそうだ。

この世界に来てからの私は守られてばかり。ううん、元の世界にいた時からそうだったのかもしれない。

少なくとも隼人くんやめぐみちゃんや工藤くんを私が守ったなんて、そんな記憶はこれっぽっちも無い。

私も皆を守りたいのに、届かない。

皆どんどん先へと行ってしまう。

そんな現実をまざまざと見せられて、焦燥感だけがどんどんと膨らんでいく。

少しくらい頑張ったって全然追いつけない。引き離されていく。

そしてその結果がこれだ。最悪だ。心底自分が嫌いになりそう。

世界を救う手助けなんて、今の私には出来ないのに。困っている人を助けるなんて、今の私には到底出来っこないのに。私は隼人くんに残酷な事を言った。

結局私は皆が危険に身を投じる手助けをしただけ。ただそれだけ。

それでも隼人くんは、めぐみちゃんは、工藤くんは、きっとそんな事で私を責めたりなんかしない。

きっと優しく私のせいなんかじゃないって否定してくれる。

実際隼人くんは私に言ってくれた。優しい言葉をくれた。

そして自分もそう思うからって。美奈だけの意見じゃない。皆の意見だったんだからって、私の心を軽くしようとしてくれた。

それに甘えてしまった。私の考えが足りなすぎたんだ。浅はかだった。

自分の無力さを知りもせず。知ろうともせず。

目の前で必死に戦う隼人くんが傷ついていく。めぐみちゃんが歯を食いしばって物凄い速さで戦場を駆け抜けていく。

確かに二人はすごい。あんなに恐ろしい魔族を何体も倒していく。

でも、向こうは明らかに戦力が多すぎる。勝てるかどうか……いやむしろ……。

堪らなくなって、とうとう視界が滲んできた。


「……っ!!」


ダメだ。

私は慌てて目を擦り、溢れそうになるものを唇を噛んでぐっと堪える。

今はそんな時じゃない。

二人が命を粉にして頑張っているのに、涙を流すなんて、ましてや目を逸らすなんてあんまりだ。それだけはやっちゃいけない。

私は絶対に目を逸らしちゃいけない。

二人を信じて、この戦いを見届けなくちゃいけない。

そして二人の勝利の瞬間を信じてその軌跡をこの目に、胸に焼きつけるんだ。

目を見れば分かる。二人はまだ全く諦めてなんかいないんだから。

この戦いをただ見守ることしか出来ないんだとしても。

この戦いを見守ることぐらいは全うしなきゃ。

私は拳をぎゅっと握り締めて唇を再び引き結ぶ。

今この瞬間も流れていく時間を。一分一秒を。一瞬たりとも取りこぼさないようにすっと前を向く。

今も眠り続けるアリーシャをこの胸に抱きしめて。

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