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108界目の正直:異世界召喚はもうイヤだ!  作者: 阿都
第2章「ほのぼの冒険者ライフ」

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05,討伐の終わり

 奇襲してきたザルバ種は返り討ちにしたけれど、これで全てが終わったとは限らない。


 事前の情報では、確認できたのは10体程度だったそうだ。

 先ほど討ち取った数は11体。

 ザルバ種は戦う際に必ず1グループ5、6体で行動するから、数としてはとりあえず一致している。


 でも、油断はできない。そもそも全体数をごまかしていた可能性だってある。

 楽勝気分でラトール村まで行った途端に、奇襲をやり返されて最終的にこっちが壊滅しました、では目も当てられない。


「皆、まだ気を抜かないで! 村の無事と残党がいないことを確認するまでは、戦闘続行よ!」


 トリーシャの言葉に、その場の全員が頷く。


 ここに集っているのは階梯1級パーティーのみ。個人でも最低2級もちの冒険者だ。さすがに心得たもので、みんな抜かりなく次の戦闘の準備に取り掛かっている。


 ……って、最低ランクは3級の俺でした。

 もっとも油断しちゃいけないのは俺じゃないか。


 たとえ107回も召喚転生して経験を積んだとしても、前世界で魔王を倒したのだとしても、この世界においては俺はまだまだ新米だ。

 今までだってスキルと経験にあぐらをかいて、死に戻ったことが何度かあった。

 107回目の世界とこの世界は双界の関係にあってあまりずれはないし、今回はスペックを完璧に持ち越しているから、今までよりはマシかもしれない。

 でも、本番のこの世界では死に戻りは許されないんだ。

 油断してはいけない。さらに慎重に動かないと。


 各パーティーから何名か選出して先行部隊をつくり、その後に本隊が続くことになった。

 俺達からはブラムとイネスが先に行く。

 二人とも隠密行動が得意だし、タイプは違うけれど冷静沈着だ。前衛と後衛に分かれての連携も息がぴったりだから、滅多なことでは不覚を取らないだろう。


「イネス、大丈夫かなぁ……」

「ハリエットも心配性ねぇ。あのイネスよ? 殺しても死なないわよ」

「……シアさんのなかでイネスってどんな存在になってるんですか?」


 不安そうなハリエットを慰める(で、合ってるよな?)シア。

 それを見て苦笑するトリーシャとチャド。


 イネスとハリエットは幼馴染らしい。

 傍から見ていると、自由気ままなイネスと、それをハラハラ見守っているハリエットは、まぁ、なんというか。

 うん、リア充だね。爆発してしまえって感じだ。


「そして、それを見守るチャドお父さんとトリーシャお母さん……」

「……カズマ、討伐が終わったらちょっと訓練につき合ってね」

「あ、いや。シアと約束があるから遠慮します」

「あら、私の誘いよりシアとの約束が大切なんだ。ふーん、いつの間にか仲良くなったみたいねぇ」

「……えっと、トリーシャお嬢様。その不穏な手甲の輝きは何でしょうか」

「おいおい、いい加減にしろ二人とも。じゃれあっている場合か」


 チャドが苦笑しながら間に入るけれど、それも分かってやっていることだ。

 どんなにバカ話をしているように見えても、俺もトリーシャも、目はぜんぜん遊んでいない。

 シアとハリエットは霊力探査を常に発動させている。

 チャドはもちろん、俺もトリーシャも、気配を探るために霊力で身体能力を上げて、神経を研ぎすませていた。


 村が無事で、魔族も残っていないことを心の底から望んでいる。

 でも、そうじゃないなら、すぐにでも全力を出せるように準備は怠らない。



 先行部隊から、連絡係がきた。


「村は無事です。情報にあった1級パーティーと接触しました。教会に立てこもって徹底的に籠城することで、なんとか防衛していたそうです。数は11体で間違いなしと確認しました」


 その瞬間、確かに皆、肩の荷が下りたのだろう。

 誰ともなく大きく息をついて、やっと笑顔がうかび、伝染し始めた。


「よし。でも村に着くまではまだ油断するなよ!」


 他のパーティーのリーダーが、念には念を入れて皆に呼びかける。

 俺たちも頷いたけれど、笑みが溢れるのは止められなかった。


 これで一件落着! のはずだったのだけれど……。


「……カズマ。あとで訓練につき合ってもらうからね。忘れないように」

「あ、本気だったのか……。リョーカイです」


 伏兵はどんなところに潜んでいるか、分からない。

 予想外の奇襲を受けて、俺は背筋が凍りつく羽目になるのだった……。



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