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魔王城の魔王

 「はっはっはっ、我が魔王なのだよ。勇者君。(かわいい女の子の勇者がいいなぁ。)」


 「なっ、なんだと・・・・・・。(僕のカッコよさに一目ぼれする美少女勇者。)」


 「驚いたかねぇ。そうか、驚いたか。はっはっはっはっ。(そうだろ、そうだろ、僕はかっこいいだろ。)」


 今日も一人で勇者が来た時のための演出の練習。部下から冷めた目で見られる。


 「魔王さま、なんでそんな一人芝居してるんですか。いつもいつも見るたびにきもい悪いと思います。」と部下のミラエルが言った。


 「だって、勇者が来たときに、僕が魔王だよ、ってなんていうの、かっこ悪いじゃん。僕はあまり威厳のあるしゃべり方なんて普段はしてないから練習しないと、いざ、本番の時にかっこいい演出できないじゃん。(重要なのは第一印象。それをどれだけかっこよく見せるかによってその後美少女勇者と僕が付き合えるかどうかが決まる)」


 「はぁ・・・。」とミラエルはため息をつくと、


 「魔王様にお聞きしますけど、勇者なんて来たことありましたか。魔王様が就任してから1度も勇者はおろか、人族すら魔王様のところには現れていませんよ。」


 「!!」


「まさか気づいていらっしゃらなかったんですか。」ミラエルはあきれたように言った。


「ミラエルちゃん。僕決めたよ。少し、人の世界に旅に行ってくる。」


「魔王様・・・・・・、何をしに行くんですか?」


僕はサムズアップして


「勇者を探しに行くんだよ。(美少女勇者+可愛い娘をさがしにいこう)」といった。


「・・・・・・。魔王様、もう一度おっしゃってください。なんと。」


「だからぁ、勇者を探しに行くんだよ。(美少女勇者+可愛い娘をさがしにいこう)」


「魔王様、勇者を探しにいってどうするんですか。」


「そりゃ、勇者を魔王城ここに連れてきて、戦うんだよ。(そんでかわいい子をここに連れてきて、、結婚して住むんだ。)」


「魔王様、わかっていますか?魔王様はこの魔王城の中で実力は中の上ぐらいなんですよ。そんな、魔王様が勇者と戦ったとして、かてますか?といいますか、その前に人間界を旅するぐらい実力ありますか?」


「・・・・・・。(ミラエルはかわいいんだけど、少しこわいなぁ。)」


「仕方ないですね、私が鍛えてあげましょう。」


「いいねぇ・・・・・・。(かわいい美少女と一つ屋根の下で暮らして、ぐひぃひぃ。)」


「わかりました。今まで、さぼってきた分、厳しく鍛えますね。それじゃ、私は早速準備してきます。」ときれいな顔をにっこりとさせてさらっとそんなことを吐いて、去っていった。


「!!」


いつもなら、「かわいいなぁ。」と思う彼女の笑顔も今は寒気を感じる。


*****


 結局、ミラエルは明日から鍛錬を開始するといっていた。

 ミラエルはこの魔王城で一番強い存在だ。彼女がいつもかわいらしい可憐な美少女だとしても、その実力は本物であり、彼女がやると言ったらもう、僕ですら止めることができない。

昔、少しの間だけミラエルから鍛錬してもらったことがある。あの時は一応やり遂げたものの地獄だったとしか言いようがない。もう、いっそ、ミラエルが魔王になってしまってもいいんじゃないだろうか?


 正直言って、魔族といえども人間よりも少し体が丈夫なだけで違いなんてほとんどない。だから、人間界に行っても誰も僕が魔族だなんて気づかないだろう。ミラエルに魔王職を押し付けて、これを機会に人間界に美少女を探しに行くか・・・。


*****


 そう決めた後の行動は早かった。ミラエルを魔王にするという内容の置き手紙を自分の執務室の机の上に置き、荷物をまとめ、みんなが眠っている深夜に隠し通路を通って魔王城を抜け出した。


 抜け出した後に、「魔王城からどう行けば人間たちがいる場所に行けるんだろう?」となったが後の祭り。

 もう日が明けていて、魔王城に取りに帰れなかったのは今回の計画の一つだけの汚点だろう。


 そんな小さな失敗に目をつむればうまく魔王城から脱出できたといえよう。


 まずは、道なりに進むか・・・・・・。






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