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第一話 大和魂、乱心!!!!!

俺の名前は大和、魂(やまと、たましい)。

え?名前がクソダサいって?

俺もそう思う。何しろ、ガキの頃からこの名前でからかわれてきたからな。

親父のネーミングセンスの無さは、嫌と言うほど身に染みている。

だが、それが良い!

クソダサい名前ってことは、永遠に通じる名前。って事だからな!

趣味は男飯作り!特技は爆睡!俺の日常は、基本的に食っちゃぁ寝、食っちゃぁ寝の毎日だ!

歳は19。高校は去年卒業しているが、大学にも会社にも入った事は無い。

つまりは、絶賛ニート中だ!

クズだなって?ほっとけ!ふははははは!

さて、そんな俺だが、今途轍も無い状況に巻き込まれている。


「邪神様!我等の願いをお聞き届け下さい!」

「邪神様!奴等に、ボードワン家の者共に鉄槌を!天誅を!」

「大邪神様!」「大邪神様!」「大邪神様!」


親子丼を作って食ってたら、エルフ?に大邪神と崇められていた。


……………自分で言ってて、意味わかんねー。

いや、もう一度、一から思い出そう。

そう、俺は今日、いつものように朝の10時に起きて、昼飯がてらの朝飯として、親子丼を作ったんだ。

ニートの俺は、当然の様に実家暮らしをしているが、実家の寺である『三領寺』の住職である、親父の法界和尚は、寺には居なかった。確か、今日は檀家の葬式と法事があるっつってたから、それだろう。

ガキの頃からそうだった。まぁ、珍しいこっちゃ無い。

俺は、台所に立って、親父と俺、二人分の飯を作ると、親父の分の飯にラップをして、居間に行って作りたての親子丼を食ってた。

畳に卓袱台、蛍光灯と昔懐かしいスタイルの部屋に、今時の最新家電である薄型の液晶テレビが鎮座している風景は、いつ見てもしっくりこねえな。つっても、薄いテレビももう普通になっちまってるけどな。

親子丼の味は上々。そりゃ、自分好みに作っているから、当たり前。

………………そしたら、エルフ?に大邪神と崇められていた。

周囲は、古めかしい石造りの神殿の様な建物であり、今迄俺が過ごしてきた寺の居間とは似ても似つかない場所だ。


やっぱり意味わかんねー!!!!????


「はあ?何?何?何何?一体何があったの?起こったの?」

「邪神様!我等の血と魂を差し出す準備はできています!早速、奴等を迎え撃ちましょう!」

「じゃがましい!!!飯位食わさせろ!!!!!!」

「ブロロロロロ!!!!!」


あまりの混乱にパニクる俺は、何か調子よく俺に話しかけてきたエルフのリーダーらしき男の頰げたを思い切り殴りつけると、そのまま馬乗りになって、そいつの顔を殴り続けた。


「乱心!邪神様が乱心を起こしたぞおおおおお!」

「食べ物だ!食べ物を持ってこい!早く!」

「ブロロロロロ!!!!!」


俺の暴挙に驚いた周りにいるエルフ?共は、まるで蜂の巣を突いた様に大騒ぎを起こして、慌てまくると、急いで飯の準備をし始めた。





それから、一時間後。

薄暗い石造りの神殿から場所を移した俺は、テーブルの上に並べられた空になった皿を目の前にして、満腹になった腹を撫でて、満足した溜息を盛大についていた。


「ふー。食った、食った。やっぱ、あれだな。腹減ると腹立つもんだな。悪かったな。暴れて」


そう言って俺は、ダークエルフ達に即興で作らせた爪楊枝を咥えながら、片手を振って軽く謝罪をして見せた。

流石は俺だな。俺の作った親子丼は、こんな状況にも関わらず、きちんと良い味を出してくれた。

それに加えて、ダークエルフ達が出してくれた飯も、食材も美味い物ばかりで、最高だったぜ。

例えば、エニフンの実。こいつは、見た目は林檎か梨に見えるのに、味は蜜柑に似ていて、食感はトマトに近かった。

いや、あれは不思議な食体験だったぜ。何せ、林檎と蜜柑とトマトを同時に食っても、こうはならないからなぁ。

次に目を引いたのは、ウバドロスの実とそれで出来た料理の数々だな。

このウバドロスの実というのは、どうもこの山周辺の主食らしく、至るところで栽培されてるらしい。

見た目はトウモロコシに似ていたが、最大の違いとして、トウモロコシの様に小さな種子は無く、丸ごと一つを料理や加工に利用するということだろう。主な利用方法はパンを作る事だろう。

このウバドロスの実で作ったパンは、パンというよりもピザ生地に近く、もっちりとした食感が何とも口当たり良い。この上に、肉や魚、野菜や調味料を乗せたりかけたりして食う訳だが、これがまた美味い。

そして、最大の美味が、ユニコーンの肉で作られた鍋と焼肉だな。

最初聞いた時には、え?と思ったが、どうも、この村近辺の風習では、ユニコーンは神聖な動物という以上に、生活に密着した家畜らしく、ユニコーンの死体をただ放置したり、無造作に葬る事は、神への侮辱に等しい行為らしい。

その為、ユニコーンの肉は、時に村のみんなで分け合い、時に村の財産として保存する重要な食材であり、この村で最大のご馳走とのことだった。

味は極めて、美味!もう一度言おう、味は極めて美味!

できればもう一度食いたいなぁ、ユニコーンの肉。

それはさて置き。

飯を食いながらに聞いた話によると、この村はスパルトイ村といい、何とかという険しい山の中腹にある小さな村で、ダークエルフと呼ばれる種族の作った村らしく、村には幾つかの例外を除いて、ダークエルフしか暮らしていないとの事だ。

そうして、どうやら俺はこの村の連中に大邪神として召喚されたらしい。とのことだった。


「まぁ、色々と言いたい事はあるが、一先ず大邪神ってのは何だよ?つーか、そんなもんを呼び出してお前らは何がしたいんだよ?」

「はい。大邪神様。それは私に説明させてください」


そう言って、俺の前に恭しく進み出たのは、褐色の肌に、金色の髪と翠色の瞳をした美しい顔立ちと、しなやかな体に豊満な胸を備えた、一人の美少女だった。

どうやら、この村の中でも特別な地位にあるらしく、皆一様に同じ服装に身を包んでいる中で、その少女だけは、特殊な装飾を施された民族衣装に、やたらと細かい細工を施されたネックレスを下げていた。


「へー。アンタが、説明してくれるのかい?」

「はい。私は、アルマと言います。この村で代々、巫女を務める一族の現在の当主です。先ずは、私達の話をお聞き下さい。邪神様。その上で、貴方様のお力をお貸し頂けます様、お願い申し上げます」


ダークエルフの少女は、そう自己紹介と前置きをすると、ゆっくりと話を話し始めた。

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