好奇心で
「ああああ!むかつくなぁ!!」
そう叫んだのは今年で高校一年生の[柳 松葉]だった。生まれつきの女顔と華奢で小柄な体のせいで皆にはいつも馬鹿にされていた。
「俺だって…こんな顔に生まれたくなかったし…」
『うるさいどうした』
「わああああああっ!!??」
柳の肩から顔覗かせたのはいかにも美人です、というような冷めた目付きの女の子だった。
「い、いきなりなんだにょぅ!?」
『あっ噛んだ。やっぱり柳ちゃんは可愛いでちゅねー』
「いい加減にしろおおおおおおおおおっ!!!」
『ハイハイ可愛い可愛い』
「このやろぉおおおおおおおっ!!」
柳の顔は怒りと恥ずかしさで真っ赤だった。嗚呼、早く家に帰りたい。むしろ家が俺を迎えに来てくれ。柳はそう神に願った。
『あっやべ、あたし図書の仕事忘れてた。』
「えっ」
『つーことであたし学校逆戻りしねーといけなくなったからそれじゃあっ!』
柳は神に感謝した。気付けば家から50m付近の場所だった。
「あーーただいまーーー」
誰もおかえりとは返事してくれなかった。そりゃそうだ。この時間には誰もいない。いつものことだ。
重い足取りで自分の部屋に向かった。この時間何やってたっけなーなんて考えながら。
部屋に入る。一気に開放感が自分を包んでくれた。いつもの見慣れた風景――いや、違う。正確には見慣れぬ物が1つだけあった。白い、白い小さな箱が机に置いてあった。
「なんだこれ」
誕生日プレゼントか?でも誕生日は3ヶ月後のはず。誕生日プレゼントにしては随分と早かった。
「開けても……いいのかな…?」
柳は良心と好奇心とで約5分ぐらい葛藤をした。そしてどうやら、好奇心の方が勝ってしまったようだ。
「バレなきゃ大丈夫だよな!!……多分…。」
そしてそうっと、ガラス細工を扱うかのように両手で恐る恐る箱を開けた。