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漆黒の戦機  作者: 夏木裕佑
第四章「嵐を凌ぐには」
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一三二年 十二月二十一日~ ②

・アリオス歴一三二年 一二月二一日 大型巡洋船アクトウェイ


 多くの船が入り乱れている。交錯する軌道ベクトルが幾重にも重なっては解れ、複雑なパターンの下に再構成されていくと、両者は三光分の距離を隔てて互いに逆向きで接近、停止するコースを描いた。

 アキは無表情のまま、第一艦隊と第二管区艦隊とがランデブーしようとする様子を見つめた。瞳を閉じ、アクトウェイの外部カメラへとアクセスしてダイレクトリンクを確保すると、鮮明に映し出される大艦隊の姿を見る。どれもが、シヴァ共和国らしい多面形の細長い艦艇で、正面投影面積を極力少なくし、大会戦における敵との砲撃戦を主目的とした船型だ。これは同時に、航行中の超高速で船殻やPSA装甲に衝突する星間物質からも身を守る術となる。たかが原子ひとつでも、惑星上では考えられない高速で移動する宇宙船にとっては、外殻に傷をつけて損傷を早める要因のひとつとなる。特に、気密性の維持が重要課題である船にとっては外殻の保護は常に注意して然るべき事で、その点に関してはぬかりない準備が出来ていると彼女は胸を張って言う事が出来た。

 白髪が揺れるのを感じる。誰かが髪の毛を触っているのかと思い、接続を解除して瞼を持ち上げると、自分の周囲には何やらやり込んでいるリガルの姿しかなかった。自分の額に感じた違和感は、空調で靡いた自分の髪の毛であったことを知る。伸びた白髪はもう少しでセミロングほどにはなりそうだ。

 アキは気を取り直して、今度は目の前で作業をしているリガルを見つめる。彼は広々とした食堂で持ち運び用のラップトップ型コンソールを起動し、アキが船内にある中枢コンピューターを経由して超光速通信により取得している各時事に関する記事を参照している。傍らにはキャロッサが気を利かせて置いていった大きなポットがあり、ちびちびと特製コーヒーを飲みながら一心不乱にコンソールを繰っている。

 彼は何を一心不乱に調べているのだろう。気になり、情報の流れを常にモニターしている船内の保安機構を掌握して精査すると、ここ一ヶ月ほどのバレンティアと銀河帝国残党、ひいては軍の出動までに発展した武装勢力の破壊活動までをマッピングして、オリオン腕全域にカラー表示している。彼の使用しているラップトップコンソールは嬉々として独立しているものの、ほとんどの操作を中枢コンピューターで行っている。アキは船の管理AIとしてあらゆるセクションへのアクセスが許可されているため、その気になればクルーたちの生活リズムや摂取カロリー、どれくらい歩いたかまでを正確に把握する事は出来るが、プライバシーの観点から論外である。しかし、こうしてクルーたちがどんな行動をしているのかについて、昨今の彼女は多大な興味を寄せていた。それは自身の内部で人格形成が進み、長い稼働時間と知識の蓄積により、人間と同等の自我を獲得するに至った彼女ならではの行動といえる。

 と、アキは唐突にモニターをやめる。こんなことをせずとも、彼に直接、口で聞けばいいのだと思いついたからだ。この頃、リガルは空元気で活動している様に見える。無理もない、ジェイスは彼女自身と、リガルに深く関わる因縁を持っている。今はまだ、二人は詳細を知らないが、いちども会った事のない彼がアキとリガルの関係について知っているのは、なにか計り知れない事の様にアキには思えた。


「熱心に何を調べているのですか?」


 彼女から話しかけられる事は予想外だったようで、リガルは驚いた栗鼠のように首を伸ばし、彼女を見た。自分の中で沸き起こる微笑のさざ波を感じながら、アキは一生懸命に言葉をまとめようとしている彼の次の言葉を待つ。


「情勢を理解しておこうと思って」凝った肩をほぐしながら、リガルは言った。「各所で超高速通信網が寸断されてはいるが、何とか情報は手に入る位置に、我々はいる。この機会を逃せば、情報収集のチャンスが次にいつやってくるのかわからない」


「正しい判断には正しい情報が必要です。それらのネットワークから得た情報が、ジェイスの流布した偽のものであるという危険もあります」


「それは、現段階ではどの情報にも言える事だ。直近でいえば、第二管区艦隊が味方かどうかも、そのひとつだろう。しかしこのまま何もしないでいるのは、愚かだ。俺はそう思う」


「リガル、あなたはいつもひとりで背負い込もうとします。少しは私にも手伝わせていただけませんか」


 青年は両眉を吊り上げる。が、すぐに優しい表情になると、手に持っているポットをアキのほうへ滑らせた。言うまでもない事であるが、キャロッサ・リーンの淹れるコーヒーは格別だ。船の質はコーヒーの味で決まるという格言もあるくらいで、特に宇宙船では商売の上手くいっている船ほど高い豆を仕入れる傾向にあるため、あながち迷信と笑い飛ばす事も出来ない。

 アキは生体端末に自分の意識を移してからというものの、この茶色い液体をはじめとする数々の食物に唸らされてきた。AIとして、昔の巡洋船アクトウェイの古びた船体を管理していた頃とは違い、センサーではなく身体感覚から感じ取る事の出来る世界に大いに興味を持った。その中で、キャロッサの生み出す手料理の数々には驚き、また、幸福を感じた。人の手によってつくられるものとはこれほど熱を帯びるものなのかと感心し、自分でも作ってみようかと思い立った時もあったが、既にその役割を担っているキャロッサの仕事を奪う訳にもいかないと、自制してきたのだった。


「今日は珍しい事がいくつも起こるな。どうしたんだよ、アキ。何かあったのか?」


 半ば好奇心、半ば心配といった体で彼は問う。アキはポットの中のコーヒーに口を付けてから答えた。


「特に、何も。ただ、あまりにもあなたが無理をしては、メンフィス准将と同じような事になってしまうと思いまして」


「ああ、カルーザか。彼は働き過ぎだ。そうもいっていられない時期だし、彼には大勢の部下がいるから深くは言わなかったが、とても心配だよ。君は、俺が彼みたいになるのが嫌なのか?」


「意地の悪い質問をしますね? あなたがどうにかなってしまうと考える事自体、私は、嫌です」


「人工知能である君が、そんな事を言う様になるなんてな」


 彼の指摘に、アキは侮辱されたと感じたが、その真摯な目線に嘲りの色は無い事から他意はないのだろうと判断した。


「人工知能にあるまじき感情論である事は、私も認めます。ですが、自分自身でも理解できない領域は、何にでも存在するものです。あなただって、どうして私を愛しているのかと言われたら、自分でも納得できる明確な理由は口にはできないでしょう?」


「気恥ずかしい事を言うなぁ。だが、その通りだ。誰でも実感できるのは、相手に対してどんな気持ちを抱いているかでしかない。時には自分の気持ちすらもわからなくなる事がある。君が同じ感覚を共有しているということは、もう人間と区別は無いのかもしれないな」


「いいえ、私は人間ではありません、リガル。私はただの、アクトウェイという船の管制AIです」


 リガルは複雑な顔をした。彼としては、確かに彼女が生体端末に宿った意識を持つ人工知能である事は疑いようが無かったし、他の何物でもないのを実感せざるを得ない立場にいたが、そうとも言い切れぬ何かが胸の内で鎌首をもたげるのを感ぜずにはいられなかった。

 食事をし、コーヒーを嗜み、人と同じ生活を送る人工知能が果たしてあるだろうか。よく考えれば、常識からはかけ離れた別の存在として彼女を認識しつつも、驚くべきことに、なんら違和感を感じていない自分を不思議に思った。

 というのも、アキは自分が父から受け継いだアクトウェイに乗り組んでからの知古であるからだろう。父の代から放浪者ノーマッドの船に搭載される管理AIとして機能し続けた彼女は、今や膨大なアーカイブと自身の改良を重ねて洗練されたプログラム、そして複雑、密接化した意識の発生によって、アキは感情を得た。人と接するために組まれた仕草のプログラムではなく、彼女の意思によって気を配るようになった。

 その変化が、好ましいものであるのかどうかはわからない。少なくとも、彼女自身にとっては、全てが新鮮で興味深く、目の前の青年を確固とした個人として捉える事が出来るようになったのは、まだ感情を会得して間もない故に自覚は出来ていないが、大きな喜びであった。


「俺は、君が人工知能でもなくても、どうでもいい」


 遂に言い切ったリガルへ、アキは小首を傾げる。伸びた髪の毛が頬にかかるのも気にせず、黄色がかったブラウンの瞳が、黒い青年を捉えて離さない。


「だから、いつまでも待つ。君が答えをくれるその時まで。決まったら教えてくれ、その時は星でも見に行こう」


「不思議な事をいいますね? 星なんて、いつも見ているではありませんか」


「馬鹿だな、自分の眼で直に見る星ほど美しいものはないんだ。アキも体を得てからわかったろう、情報として知っているものと、実際に体の感覚を通して感じるものはまるっきり違うということが。ま、何かあればいつでも話しに来いよ。いつだって相手をするぜ」


「今はいいです。どうぞ調べものをなさってください」


「君はどうする?」


「コーヒーを飲みます」


 リガルは肩を竦め、座りなおしてからラップトップコンソールを操作しなおす。彼の仕事をする様を横からこうして見る事が自分の役目なのだと、アキはコーヒーの温かさと共に実感していた。





 レイズ星間連合第一艦隊は滑らかな動きで減速を開始した。アクトウェイとコンプレクターも、もれなくその動きに従う。巨大な黒と紫の船に挟まれる格好となった旗艦のスペランツァが灰色の外殻をきらめかせ、高速巡航から両舷微速へと徐々に減速していく。

 リガルはもちろん、アクトウェイの艦橋でクルーと共に緊張の一瞬を過ごしていた。セシルは片時もレーダー画面から目を離さず、イーライはいつでも発砲できる様にトリガーに指をかけたまま、フィリップはPSA装甲の強度を最大にしている。ジュリーはする事がないとばかりにポケットウィスキーを煽り、キャロッサとアキはいつでもクルーの補助に回れるように身構えている。

 もし万が一、第二管区艦隊が敵であった場合、それは第一艦隊と二隻のノーマッドにとって最悪のシナリオとなる。至近距離からシヴァ共和国の第二管区艦隊の砲撃を受ければ無事では済まない。こちらは数で劣勢であると同時に、装備の面でも一日の長が相手にはある。

 シヴァ共和国はバレンティアに次ぐ軍事力を保持している。特に旧銀河帝国領に属していた各国と国境を接し、百年前の第一次オリオン腕大戦終結から、戦場となった各宙域の復興支援や技術供与に尽力した経緯から、多くの国々から受ける印象は総じて素晴らしいものとなっている。銀河連合評議会でも大きな発言力を持ち、武力で統制を図るバレンティアに比べ、人道支援や経済的格差の埋め合わせにより平和維持に努めるその姿勢には多くの人々が共感を覚えたものだ。だが、そうした平和主義を謳う一方で、しっかりとした軍事力を保持している。

 旧地球の日本という島国に住み着いていた東洋民族が人口の過半を占めるこの国は、昔ながらの技術大国として知られてもいる。精密な工業製品はこの国の売りだ。しかし、リガルの調べた所、国々の間にまたがる広大な宙域は今や戦時下にあり、どこから出現するかもわからない銀河帝国軍残党によって各所の輸送網は寸断されつつあった。物流の流れが止まる事は、人体において血液が廻らない事と等しい。

 即ち、死である。ジェイスは銀河を敵に回すにあたり、銃弾を放つのではなく、血栓を作る事によって、巨大な人類社会を打倒そうとしている。

 だが、ここまで大きな影響を与えている彼に対しても、人々は古い銀河帝国軍艦艇を目の当たりにしない限り、その脅威を感じる事はないだろう。その不感性を、リガルは恥とは思わない。人類社会は広がりすぎた。経済活動こそ直結しているものの、社会の構造は惑星単位で完結する。広がりこそすれ、人間が一生のうちに活動できる範囲はたかが知れているからだ。ワセリージャンプと呼ばれる超光速航法の開発によって大きくその範囲は拡大したものの、まだ社会全体を網羅するには至らない。


「こちらメンフィス。艦隊、一分後に停止。機動を同調せよ」


 一分後、じりじりと第一艦隊は停止した。第二管区艦隊も目前で停止している。二百隻の威容を見せつけながら、巨大な推進装置と武装格納モジュールなどがわかるブロック構造の船体が灰色に輝いている。お互いに砲門は開いたままだが、斜向かいに艦首を向けているため、突然主砲を放たれる事はない。が、全周攻撃兵器、たとえばプラズマ弾頭ミサイルや対空レールガン、中には荷電粒子砲塔を搭載した戦艦もいるから、決して安心はできない。


「みんな、警戒を怠るな。いつでも即応できる状態で待機しろ」


「了解」


 アクトウェイの艦橋は静まり返る。聞こえてくるのはそれぞれがコンソールを打つ音と、遠くから響くパワーコアの唸りだけだ。他、電子機器のにおいと、航宙艦特有の二酸化炭素を還元して酸素へ戻した冷たさが肌を冷やす。黒い航宙服の襟を正しながら、リガルは船長席の前にあるコンソールを操作して立体映像投影装置から、艦隊、および自船、味方の相対位置などの環境情報を表示し、各部署から入る情報を一覧表示して状況を把握する事に努める。


「船長、スペランツァより連絡。これよりシャトルによる航海記録の輸送を開始、注意されたし、とのことです」


「了解だ」


 それから、三十分ほどが過ぎた。過度の緊張状態を強いられたせいか、クルーたちの額には汗が浮かび、リガル自身も両掌がじっとりと濡れている事に気付かないまま、座席のホルダーに止めてあるキャロッサの作った微炭酸ドリンクを口元に運ぶ。お互いにシャトルを派遣し、必要以上の接触を避けるために、レイズ星間連合第一艦隊の旗艦であるスペランツァと、第二管区艦隊旗艦であるアマクサが、互いのシャトルを格納庫へ入れ、さらに互いの下へ戻す事をしてから、航海記録を確認する時間が流れる。

 この間は放浪者ノーマッドであるリガルとハンスリッヒは蚊帳の外だ。軍の機密に値する航海記録をいちノーマッドへも公開したとあらば、間違いなく処罰の対象となる。

 ままある事だが、こうして意識して待つ時間は途方もなく長く感じられる。極度の緊張状態にあるとなればなおさらだ。

 そうして耐え難い一時間が過ぎた時、ようやく、カルーザ・メンフィスからの通信が入った。驚くべきことに、ホログラフの上に表示された彼の顔ははつらつとしていて、つい先ほどとは打って変わって健康な顔色をしている。少しは休憩をした上にシャワーまで浴びたらしく、剃られた髭と整えた髪型、さらには顔の真中にある一対の金色の瞳が輝きを取り戻している。どうやら、彼もいい部下に恵まれているらしい。友人として一安心だと、リガルはこの状況をしばし忘れて笑みを浮かべた。


「第一艦隊の各艦、およびノーマッドへ告げる。第二管区艦隊は完全な味方である事が確認された。全艦砲門閉鎖、第一級戦闘態勢を解除せよ」


「やれやれだぜ」フィリップが伸びをしながら言った。「これで、味方は二百隻増えたってことか。敵じゃなくて何よりだ」


 凝った肩を自分でほぐしながら、イーライが答えた。


「本当にな。だが、第二管区艦隊がここに来た理由が重要だろう。ただこの宙域の防衛に派遣されただけとは思えない」


「同感だ、イーライ。カルーザもその点を考慮してコミュニケーションを図るだろう。推測しかできないが、この状況で考えれば第二管区艦隊は姿をくらましたジェイスの艦隊と第六機動艦隊の捜索と撃滅を任務としているだろう」


「船長の言う通りだとしたら、シヴァは、我が母国は危ない賭けをしたことになりますね。敵は総勢七〇〇隻に迫る大艦隊ですよ。まさか第二管区艦隊だけでどうにかなると考える程の楽観主義に基づいている訳でもないでしょうが」


「どうだろうな。先ほど情勢を調べてみたが、バレンティア航宙軍で反旗を翻したのは第六機動艦隊、第三機動艦隊、そして第七機動艦隊だ」


 新しい情報に、クルーたちがどよめいた。リガルは落ち着いて、第七機動艦隊が蜂起したのは旧銀河帝国領のグローティム国であり、情報網の攪乱によって発覚が遅れたのだ、と注釈を付けた。同時に、既にバレンティア航宙軍、機動艦隊司令長官ジョン・テイラー大将が、迅速に艦隊の準備を整えて討伐軍を編成したという報せも入っており、驚くほど迅速な対応を取ったバレンティア航宙軍の残りの機動艦隊が各国に駆けつけるまで、手持ちの部隊でどれだけ反逆者へと対抗できるかが第二次オリオン腕大戦の戦いといえた。


「そうした意味では、第二管区艦隊でもうまく立ち回ればなんとかなる可能性はある。銀河連合軍は総出でジェイスら銀河帝国残党を駆逐しにかかるだろうし、そうなれば、いくら彼らといえども敗北は必至だ。時間はかかりこそすれ、戦いに勝利する事はないだろう」


 セシルがレーダーから目を離して、会話に加わった。


「バルハザールにいる第三機動艦隊の件もありますし、レイズを中心とした周辺諸国で蜂起を起こしているとなれば、バレンティア機動艦隊の展開を見越した戦略を取っているともいえます。これだけ広範囲に戦場が広がっているとすれば、答えはひとつでしょう」


「時間稼ぎか」イーライが唸る。キャロッサが、各人のポットを取り換えに歩き、彼は軽く礼を言ってから新しいドリンクへ口を付けた。「時間を稼ぐということは、何かそれだけの目的があるということだ。どう思います、船長?」


「イーライの指摘はもっともだと、俺も思う。それを探るためにも、ジェイスの居所を知ると同時に、必要とあらばあの巨大戦艦を撃沈するに足る仲間もいる。そのためにも、ジェームス・エッカートとリッキオ・ディプサドルを頼るという話だが、どうやら彼らはレイズにはいない。つい数日前に、ダハク星系連邦領宙へと移ったらしい」


 クルーたちから落胆の嘆息が漏れる。放浪者は、その所在をころころと変えるが故にそう呼ばれる。なれば、一カ所に彼らが留まっていると確信できる根拠は何処にもない。それがトップランカーともなれば尚更だ。


「では、どうするんですか。とにかく、レイズにはいかなければならないのでしょう?」キャロッサがリガルの分のポットを交換しながら問うた。「第一艦隊にも随伴していなければなりませんし」


「そうだな。だが、逆の発想だよ、キャロッサ。第一艦隊が来るのなら、俺達はどこへでもいける。そうじゃないか?」


「そんなに上手くいくでしょうか。確かに、メンフィス准将はいい人ですし、分別もありますけど、彼は軍人です。命令に背くことなどできませんよ、きっと」


「フム。君のいう事も一理あるが、とにかく試してみたい事がある。ま、詳しい事は後で話そう。ハンスも呼んで、ランチタイムといこうじゃないか」

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