第3章46
4人は連れだって、ナトリウムの案内で馬小屋に辿り着いた。そこには馬屋番と思われる初老の男が馬の世話をしていた。
すると、「お父様!」と言って、コカリ姫がその馬屋番に抱き付いた。
「は?」
カナが不思議そうな顔をする。ダンは少し事情を知っていそうだ。
「カナさん、ダン様。紹介します。僕とコカリ姫の父、レプトスピラ国王クロール・チャネルです。」
国王と紹介された馬屋番は、人の良さそうな、それでいてどこか情けない顔で挨拶してきた。
「いやいや、ナトリウムのお友達でしたか。ナトリウムの父のクロールです。一応、この国では国王という事になっております。」
「なんで、国王が馬の世話しているんだ?」
カナが尋ねる。
「いやぁ、これが私の本来の仕事です。それを遠乗りが好きだった王妃に見初められましてな。それで国王となったわけです。」
「すごいな!馬屋番から国王か。」
「すごくはないのですよ。私は王妃に個人的に気に入られたというだけで、出来る事は馬の世話しかありません。今でもそれは同じで、政は全くわかりません。この国の政は、王妃であるカリウム一世が取り仕切っています。」