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第3章36
「は?」
間抜けな声をあげたドロペリドールの右腕が、炎に包まれる。
先程、カナに放ったのと同じ火炎魔法をダンはドロペリドールに放ったのだ。カナと同じ苦痛を味あわせるために。
のた打ち回るドロペリドールの手から、ダンは杖を奪った。
「カナさん、ナトリウムさん、申し訳ありませんでした。」
ケタミンはナトリウムに歩み寄り、回復魔法をかけた。
「実は、私達は魔人になったわけではありませんでした。魔人になったふりをして、ドロペリドールに従い、‘魔獣落とし’を奪う機会をうかがっていたのです。」
そこまで言うと、ダンとケタミンはドロペリドールに向き直った。
「おのれぇ…。」
ドロペリドールは焼け爛れた右腕を抱えて立ち上がっていた。
「このマジックアイテムは、生き物の脳に作用して、魔獣化させるというものだったんだ。しかし、‘魔獣落とし’をどこで手に入れたのか、何が目的なのか探る必要があった。」




