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第3章35
火炎で焦がされたカナの右腕はひどい状態だが、やられたのは腕だけなので、立てないというわけではない。「カナさん、逃げて!」というナトリウムの叫び声が聞こえていたが、カナは逃げようともしなかった。
カナの目の前まで来たダンは、跪き、左手をかざした。
(あぁ、やっぱり最後は魔法か…。)
カナがそう思った時、ダンの左手が淡い光を放った。
「すまん、カナ。やり過ぎた。」
ダンがそう呟くと、カナの焼け爛れた右腕に、元の白い素肌が戻った。
と、次の瞬間、ナトリウムに絡まっていた蔦が瞬時に解けた。