第3章22
クロストリジウム王には、すぐに謁見が叶った。
「賢者ダルノン・キャストスペイが、ケタラールの娘と一緒に消えたと、そう申すのじゃな。」
「はい、その通りです。」
王に対して受け答えしているのは、ナトリウムである。カナはやはり心細そうにナトリウムの影にいる。
王は天井を見上げ、深く溜息をついた。
「実はいなくなったのは、その2人だけではない。ドロペリドールも昨夜のうちに、姿を消したのじゃ。」
「賢者様ばかり、3人も行方知れずになったという事ですね。」
「賢者ばかり?」
「あ、王はご存じなかったかもしれませんが、ケタミンさんも賢者様なのです。」
王は意外な顔をして
「何!?あの娘が賢者?知らなかったわい」
と、答えた。
「ともかく3人の行方を探させよう。賢者に何かあってからでは、遅いからの。」
‘何かある’というのは、‘魔獣化する’という事を意味している。
それはカナやナトリウムにもわかった。
王が全面的に協力してくれるという事なので、国内はしらみつぶしに探してくれるだろう。
カナとナトリウムは、とりあえずケタミンの家に戻って、何か手がかりはないか、探してみる事にした。