第3章18
「現に父は魔人と化した後、7人の兵士と13人の一般市民を殺しました。中には子供も居たそうです。」
ケタミンの声は今にも消え入りそうだった。だが、それでもケタミンは話を続けた。
「父が魔獣化したのが、半年程前。その1ヶ月後には別の賢者が、さらにその3か月後にはまた別の賢者が、それぞれ魔獣化しました。」
自分の知っている話はここまでと、ケタミンは頭を下げた。
「ありがとう。大体の話はわかった。」
「いいえ。お役に立てたかどうかはわかりませんが。」
「いや、時にケタミンさん。あなたに魔法を教えたのはお父上ですか?あなたは魔術師でしょう?しかも、相当レベルの。」
というダンの言葉に、ケタミンは、カナやナトリウムまで、意外な顔をした。
「一定レベル以上の魔術師なら、相手の魔法力を感じる事ができる。だからあなたも、俺が魔術師である事はすぐに気が付いたはずだ。」
ケタミンは、深いため息をついた。
「全くもっておっしゃる通りです。私は多少の魔法を使えます。あなたが魔術師である事もすぐにわかりました。それだけの魔法力をお持ちなのですもの。気付かないわけがありませんわ。ですが、この事はこの国の王さえも知らないのです。父は生前、私が成人するまでは、私が魔術師である事は周囲に知られないようにして教育したかったのだと言っていました。」