第3章9
「クロストリジウムは久しぶりだなぁ。」
カナは城下町の様子を眺めながら言った。
カナとダンは、パスツレラ大陸のほぼ全土を旅してまわっているので、クロストリジウムも初めてではないが、最後に来たのは5年も前だ。街並みも少々変わったようである。
「私も、クロストリジウムは久しぶりです。」
ナトリウムもキョロキョロと辺りを眺めている。
「お前はこのままクロストリジウムの王に謁見を願い出るのだろう。俺達とはここで別れよう。」
ダンは街で聞き込みをしながら、魔人について調べるつもりなのだ。
「え!?城へは一緒に行って下さらないのですか?」
「お前は王妃からの書状を携えたレプトスピラの騎士だが、俺達はただの旅の者だ。王が簡単に会ってくれるか。」
「ダン様は賢者様ではありませんか。賢者様がお力をお貸し下さるなら、クロストリジウム王も喜んで会って下さいますよ。」
そういうナトリウムに
「王様に会ってみようよ。街で聞き込みするのは、後からでも出来るじゃないか。王様なら、いい情報、持ってるかもしれないぞ。」
と、カナが続ける。
結局、3人は揃ってクロストリジウム王の下を訪ねる事になった。