第3章7
一先ず3人はレプトスピラの城下町にまで戻って、魔獣化カラスの死骸を現金に換えた。
クロストリジウムまでは街道が整備されていて、険しい道程ではない。それでも重い甲冑のため、途中でへばるナトリウムに、ダンは何度も回復魔法を使う破目になった。
カナは、初めは走るようなスピードで進んでいたが、今はナトリウムに合わせて、のんびりと歩いている。
「お前、本当に情けない奴だなぁ。」
そんな事を言うカナだが、ナトリウムの事は気に入ったようだ。ナトリウムの背を押したり、腕を引っ張ったりしながら歩いている。
「いい加減にしろ、ナトリウム!貴様のおかげでクロストリジウムまで倍以上の時間がかかる!」
ダンのイライラは日増しに強くなっていった。カナとダンの2人であれば、3,4日の道程である。しかし、今日で4日目だというのに、まだ半分も進んでいない。
「ま、誠に、申し訳、ございませ、ん…。」
ナトリウムと言えば、またもや息も絶え絶えになっている。
「甲冑が重いなら、脱ぎ捨ててしまえ!」
そんな事できないとわかっていてダンが言う。
レプトスピラの騎士である事を示す甲冑を身に着けているからこそ、クロストリジウムの王への謁見も可能になる。ナトリウムはレプトスピラの王妃からクロストリジウムの王への親書も携えていた。王妃の父、つまりレプトスピラの先王は、クロストリジウム王家出身だったのだ。




