第2章(番外)6
村に帰り着き、重傷を負ったカナを目にしたカルノンは、すぐに回復魔法をかけようとした。しかし、その傷口を見た時、一瞬たじろいだ。そこには明らかに魔法による治療の痕跡が残されていたからである。
カルノンの回復魔法で、カナはすぐに全快した。
カルノンはダンを問い詰めた。ダンは自らの手で回復治療を行った事を認めた。
「でも全然ダメだった。血は止まったけど、傷口はほとんど塞がらなくて。やっぱり父さんみたいにはいかないや。」
それでも、充分に驚くべき事である。回復魔法は、魔法の中でも特に難しいのだ。この程度の効果を発揮する魔法が使えるだけで、魔術師は‘賢者’と称えられ、持てはやされる。
カルノンも素質はあると思っていた。ある程度の年齢になり、本人にその気があれば、ダンに魔法を教えてやるつもりでいたのである。
だが、カルノンは翌日から、ダンに本格的に魔法を教え始めた。
驚いたのは、ザカスも同じである。魔獣化野犬は大人の戦士でも手こずる魔獣である。それが3頭。
「でも全然ダメだった。こんなケガしちゃって。やっぱりパパみたいにはいかないや。」
ザカスはカナとダンが証言した戦闘現場に行ってみた。するとそこには、確かに果物ナイフで斬りつけられた魔獣化野犬の死骸が3つあった。
ザカスも素質はあると思っていた。ある程度の年齢になり、本人にその気があれば、カナに剣技を教えてやるつもりでいたのである。
だが、ザガスは翌日から、カナに本格的に剣技を教え始めた。