表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔獣物語  作者: ひよく
序章
5/155

序章5

「カナぁぁー!」

 タミナが、悲痛な声で我が子の名を叫んだ。


 だが、ダンは動じなかった。


 カナは咄嗟に体をひねり、魔人の攻撃を背負っていた鉄製の鞘で受け止めていた。地面に叩き付けられる時に受け身をとったのも、確認できた。

 大した怪我はしていないはずである。


 吹っ飛ばされたカナにさらに攻撃をしかけようとする魔人に向かって、ダンは次の魔法を繰り出した。

 強烈な光をフラッシュのようにたいて、目くらましをかけたのである。


「ぬぉ!」

「きゃぁー!」


 魔人だけではなく、その場にいた村人達まで目がくらんでしまった。突然、視界を奪われた村人達は、パニックに陥っているが、この際、それは二の次である。

 ダンは当然、その瞬間だけは目を閉じて自分の目を保護していたし、カナが顔を伏せているのも確認していたから、カナの目も無事なはずだ。


 目くらましの魔法は、鎌鼬の魔法に比べて、ずっと初歩的で簡単な魔法なのだが、こちらの方が魔人には効果があったようである。


『高等魔法を無闇に使うより、簡単な魔法を自在に使いこなす方が、はるかに有効』


 ダンは父の教えを初めて実戦で実感していた。


「グォォォー!」

 魔人が目を押さえて仰け反った。


 その最大の好機に、カナは魔人の右腕を肩から切り落とした。

 目くらましの効果が解け、視力の回復した村人達が最初に目にした光景は、片腕を失くし、ほとばしる鮮血を押さえてうめく魔人の姿であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ