表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔獣物語  作者: ひよく
第1章
41/155

第1章26

「えぇぇい!」

 カナが再び斬りかかろうとした時、キメラが言葉を発した。

「無駄な事を。」

 古代語ではなく、カナやオルソでも理解できる標準語である。

「どういう意味だ。」

 ダンが警戒しながら、訊き返す。

「我が守りし宝は、既に先の侵入者によって持ち去られたわ。」

 キメラは台座に戻って、座りなおした。

「どういう意味だ?」

 ダンが問う。

「そのままの意味だ。宝は既に持ち去られておる。しかし、我はこの遺跡に魔法で縛られている。宝はなくなろうとも、我は動くことは出来ん。」

 キメラは苦々しそうに、そう吐き捨てた。

「なんだって!?ここまで来て、マジックアイテムはねえのかよ!」

 オルソは頭を抱えて、大げさに膝をついた。

「どんなマジックアイテムだったんだよ。」

 オルソがキメラに訊く。

「そうさな。使い方は難しいが、コツさえ掴めば、それを手にいれた者はこの大陸を制覇するだろう。」

「大陸制覇?そこまでかよ…。」

 ダンはキメラの話を興味深く聞いていた。

 おそらくキメラは、古代魔術師による魔法の制約を受けている。制約は「宝を守れ」というものだろう。


「1つ訊いていいか?」

 ダンがキメラに訊いた。

「宝の守り人のはずのあんたが生きているのに、何故、侵入者は宝を持ち去る事が出来たんだ?」

 よく考えれば、不思議な話である。

「愚かな者よ…。」

 キメラは嘆息するように呟いた。

「我の肉体は、とうに失われておるわ。」

「何!?」

「肉体は滅んだが、魂はいまだ制約に従わされておる。天に還る事も許されず、ここに留まっておるのだ。それに気付いておる者は、我の攻撃を受けても、何の傷も受けん。」

 キメラは実態のない霊体だったのだ。霊体の攻撃は幻覚と同じである。それが幻と気付いていれば、何の効力もない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ